「表紙」2011年06月23日[No.1369]号
お仕事燃焼系 魅ちびけインストラクター 25(2011年06月23日掲載)
バイク操り人の輪拡大
オートバイ・ジムカーナー 奥濱定彦さん
風を切って路上を駆けるオートバイは、爽快な気分を味わえる一方で、無謀な運転をすれば、命の危険にさらされることも。普段から交通安全を指導する奥濱定彦さんは、「安全なバイクライフを送って欲しい」という思いのもと「沖縄バイクジムカーナー協会」を立ち上げた。通勤、通学で使用する愛車で参加できる同会では、「走る、止まる、曲がる」といった基本操作の技術指導を行い、ライダーの育成に力を入れている。
初心者、性別問わず 技術上げ、危険回避
久しぶりに太陽が顔を出した、梅雨真っ只中の5月の日曜日。豊見城市にある「JAおきなわ豊崎奈々色畑」の駐車場には、オートバイを愛する人たちが県内各地から集まり、会場はライダーたちの笑顔であふれていた。この日は、「沖縄バイクジムカーナー協会」が主催するミニ走行会が行われていた。
ジムカーナーとは、舗装路面にパイロン(コーン)など障害物を置いた特設コースを作り、スタートからゴールまでの時間を競うタイムトライアル競技。公道専用のオートバイで出場することができ、運転の技術向上を図る目的がある。「安全・的確にバイクをコントロールできれば、公道での事故も防ぐことができます」と語るのは、同会発起人の奥濱さん。この協会は、奥濱さんが友人とともに4年前に立ち上げた。コザ自動車学校で開催する月一度の走行会には、毎回50台近くのオートバイが集まり、技術指導とタイムアタックが行われる。
「初心者から上級者まで年齢や性別に関係なく楽しんでいますよ。メンバーの中には沖縄のトップレベルの技術を持つライダーもいます」
「ジムカーナー」と呼ばれる競技は、沖縄ではあまり聞き慣れない人も多いかもしれないが、毎年全国大会が開催されるなど、本土では競技人口も多い。5月15日に行われた「第39回二輪安全運転沖縄県大会」で優秀な成績を収めたライダーが、今年も県代表として出場する。同協会からも数名のライダーが全国大会への切符を手に入れた。
「優秀なライダーのコース取りを間近で見ることは、大変勉強になります。オートバイを操るのは、腕力ではありません。体格が小さい人や女性でも練習すれば、リッターバイク(1000cc以上の大型バイク)でも自由自在に操ることができますよ」
とにこやかな顔で話す奥濱さんが挙げた運転が上手になるための条件は、「時間と場所と指導者」の3つ。この条件を満たす場を作るため、自らが率先して協会を立ち上げたそうだ。
過去に約90台を乗り継いできた奥濱さんは、オートバイの性能についても熟知している。
「最近のオートバイの性能はすごい。誰でもすぐにスピードを出すことができます。安全に乗りこなすには、危険を回避できる、技術が必要です。交差点での急なUターン運転など、教習所では教えてくれないことも指導しています」
コース内には一本橋、コンビネーションスラローム、千鳥走行などの難所がいくつも用意されている。その難易度の高いコースを繰り返し練習することで技術が上達していく。
メンバーには、消防士や学校の教員、会社の社長、自動車学校の教官など様々な職種の方が参加しているという。
「年齢に関係なく、知り合いも増やせますよ。ライダー同士話せば気持ちが通じることも多く、コミュニケーションも生まれやすいです」
技術だけではなく、ライダー同士の交流を深めることができるのも同会の魅力のひとつと言えそうだ。
オートバイのことを誰よりも愛する奥濱さんだからこそ、”危険な目にはあってほしくない“という強い気持ちを持つ。そんな奥濱さんの思いに賛同して、年々メンバーも増えて広がりを見せている。
毎月第二日曜日にコザ自動車学校にてジムカーナーを開催。参加費は会員1,500円、非会員2,000円。受付は午前9時~9時30分。排気量の制限はなく、スクターでも出走可。
■連絡先
「沖縄バイクジムカーナー協会」
TEL090-9408-2357(真栄城)
http://okinawajim.web.fc2.com/
編集・草野裕樹/写真・島袋常貴