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[No.1625]

  • (金)

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「表紙」2016年06月16日[No.1625]号

父娘日和

父娘日和 11



糸満トレーニングジム所属ボディービルダー 儀間 光広さんん
儀間 ゆり江さん

目指すは、日本一

 隆々とした上腕二頭筋、体脂肪を絞りきった腹筋。トレーニングとタンパク質で作り上げた肉体美を表現するボディービルダー。儀間光広さん(58)は全国大会8位の鍛え上げた肉体を持つ。ボディービルダー歴42年、50代にして県内唯一の現役だ。厳しいトレーニングも日本一になりたいという勝負魂で乗り越える。娘のゆり江さん(28)は、女性らしいラインを作りたくてボディービルを始め、県大会優勝を果たした。今は、大会出場から一歩身を引くが、ボディービルは心身のコントロールという親子共通の意志で来年の大会出場を目指す。



ボディービル、強い心身の鍛錬

 きっかけは「ヘラクレス」だったという。小学3年の光広少年、テレビで放映していたギリシャ神話の半神ヘラクレスを演じた俳優の隆々とした筋肉に感動し、「男はこれだ」と思った。スポーツ少年でもなく、身内にボディービルダーがいるわけでない。ただ「ヘラクレス」のような筋肉のある体になりたかった。まだ成長期のこと、「筋肉を付けたら成長は遅い」と周囲に諭されて、トレーニングを先延ばすことになる。

 初めてマシンに触れたのは、南部農林高校在学中。体育館倉庫でバーベル、ベンチプレスを見つけた。見よう見まねの筋トレで、高校生の上腕は盛り上がり、胸板は厚く腹筋は割れてくる。

 「トレーニングをすれば効果があるのがボディービルだ」と、肉体の進化を実感する。鏡を見れば両腕を折り曲げ盛り上がった力こぶにほくそ笑む、まさにボディービルダーがナルシストといわれるさまを演じた高校生のころ。

 光広さんは本格的にトレーニングに取り組もうとジムを探した。「16歳のこと、極限を知らずマシンと格闘する苦しさを乗り越えるのは、強い精神力だと知った」

60代が勝負

 高校卒業後、ボディービルと併行できるよう看護職に就いた。以来42年間、同じジムでトレーニングに励み続ける光広さんの姿がある。「まだ日本一になっていないから、やめる理由がない」

 初優勝は25歳。県大会に出場した40人の中から、栄冠を勝ち得た。ボディービルダーは、オンシーズンの9月から翌年の5月にかけて開催される大会でトレーニングの成果を競う。光広さんは今、9月11日の大会に向けて調整中だ。

 その筋肉は、トレーニングと食事で作り上げる。食事は鶏のササミにプロテインなど、タンパク質が中心、調味料を加えない淡白な味付けだが、それも慣れてくるという。量は少なく1日4食を取る。「少カロリーでのトレーニングはきつい」と本音も語るが、それでも体の調子はオフシーズンよりも大会前がベストだという。

 年齢別部門の大会に臨んできた光さんは、「40代の部でやっと全国9位、50代で8位、60代のこれからが勝負。ボディービルは人生そのもの」と、ますます肉体作りに磨きをかける。



父娘共に大会出場

 昨年、光広さんとゆり江さん親子は県の大会に出場。それぞれの部門で優勝を果たし評判を呼んだが、それまでゆり江さんは父を尊敬こそすれ、ボディービルは避けていたという。

 「ボディービルダーといえば筋肉ムキムキのイメージ。でもそれは違うと実感した」

 見直すきっかけは、体を絞ろうと女性トレーナーに付いてラインを作り始めたフィットネストレーニングだった。成果が表れるうちコンテストに出場できる部門があると知らされて、途中から出場を見据えたトレーニングへ転向した。ボディービルは今、「細マッチョ」といわれるスレンダー路線が若い世代に人気だ。

 「トレーニングによっては女性らしいきれいな体付きに変わる。年代問わずできて努力するほど結果が得られるスポーツでもあります」と熱く語るゆり江さん。何より実感できたのは、ささいなことに気を取られない精神力の鍛錬だという。得たものは食事を見直し、体に害を及ぼすものを吸収しない識別ができるなど、心身をコントロールする強さ、そして父同様ボディービルダーに共通する精神力だ。

 9月の大会出場に臨みトレーニングに拍車を掛ける父の後を追って、長男の光さんも初めて大会へ出場する。2人をサポートするゆり江さんは来年の大会出場を見据えている。 

(伊芸久子)



プロフィール

ぎま みつひろ
 1958年糸満市生まれ。南部農林高校3年の時糸満トレーニングセンターに通い、ボディービルを本格的に始める。同ジムから県大会2番めの優勝者となる。1983年沖縄、九州大会優勝、1993年西日本大会優勝、2002年全日本大会40代の部9位、2008年全日本大会50代の部8位、2014年沖縄大会50代の部優勝、2015年沖縄大会50代の部優勝

ぎま ゆりえ
 1988年糸満市生まれ。2年前にフィットネストレーニングを始める。2015年OKINAWAオープン大会フィットネスビキニ158cm以上2位。株式会社ハロぺ勤務。来年のコンテスト出場を目標とする



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儀間 光広さん 儀間 ゆり江さん
胸の厚みを強調する「サイドチェスト」のポーズを取る儀間光広さんと、フィットネス「サイドチェスト」のポーズを取るゆり江さん=糸満市阿波根の糸満トレーニングジム  
写真・喜瀬守昭(サザンウェイブ)
儀間 光広さん 儀間 ゆり江さん
県ボディービル・フィットネス選手権大会で選手宣誓をする儀間光広さん・ゆり江さん 2015年
儀間 光広さん 儀間 ゆり江さん
「サイドポーズ」で驚異の上腕二頭筋を見せる光広さん。県内ボディービルダーから「超人」と評価も。カット(ふくらはぎ)もストロングポイントだ
儀間 光広さん 儀間 ゆり江さん
県ボディービル・フィットネス選手権大会50代の部優勝 2015年
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