「表紙」2017年05月18日[No.1673]号
沖縄にもっと幸せな夫婦を
沖縄で唯一、夫婦で結婚カウンセラーとして活動する友寄由起子(39)さんと友寄隆令さん(39)。「この人と本当に結婚していいの?」「円満な結婚生活を送るには?」——。相談者から打ち明けられる悩みは、かつて由起子さんと隆令さん自身が直面し、苦しんだ問題だ。葛藤を乗り越えようと受講した心理学講座で出会い、結ばれた2人。「結婚して10年ですが、年々夫婦関係が良くなっています。沖縄に、自分たちのような幸せな夫婦をもっと増やしたい」と話す。
年を追うごとに幸せに
「私は、9歳の頃から『幸せな結婚をするにはどうすればいんだろう?』って考えていたんです」
亭主関白な父親に奴隷のように従う母親——。横浜のそんな家庭に育った由起子さんは、両親を反面教師として、父親と真逆のタイプの男性と交際を始めたが、6年後に破局した。
その後、また違うタイプの男性と交際を始め、婚約までしたものの、「この人と本当に結婚していいの?」という思いが拭えず、悶々(もんもん)と思い悩む日々が続いた。
転機となったのは、書店で目にした一冊の本だった。タイトルは『この人と結婚していいの?』。本を一気に読み終えた由起子さんは、「私にピッタリ当てはまる」と驚き、著者の石井希尚さんと連絡を取った。
石井さんのカウンセリングを受けることになった由起子さんは、心理学講座の受講も勧められた。訪れた教室で、隣に座っていたのが、将来の夫となる隆令さんだった。
出会いは心理学講座
「僕の場合も、複雑な家庭環境の中、苦しい子ども時代を送ったので、幼い頃から幸せな結婚生活に憧れていました」と隆令さんは振りかえる。
うまくいかない結婚は、家族を不幸にする。そう実感した隆令さんは、由起子さんと同じように『この人と結婚していいの?』を手に取り、著者の石井さんの心理学講座を受講。隣に座った由起子さんとの出会いを果たした。
カウンセリングと講座を通して自分を見つめ直した由起子さんは婚約を解消。その頃沖縄にUターンし、以後も定期的に上京していた隆令さんと講座で何度も顔を合わせ、お互いの身の上を話し合ううち、2人はお互いに「これが運命の人かもしれない」と思うようになった。それから慎重に距離を縮めた2人は、約1年後に遠距離交際をスタート。
さらに1年の交際を経て2007年、由起子さんは横浜から沖縄へ。2人は夫婦として同じ人生を歩み始めた。
伝えることが大切
「離婚の理由のベスト1は、性格の不一致。でも、性格が一致しないのは当たり前。その裏には、男女の持つ考え方の違いもあります。違いを尊重して、受け入れることが大切なんです」と隆令さんは力を込める。
男性は自分が正義と考える「ウルトラマン」、女性は自分が一番愛されることを求める「シンデレラ」——。隆令さんは、男女の考え方の違いをこう例える。男女の考え方の違いを知ることで、すれ違いの原因を客観的に理解することができ、相手を責めることが減るという。
隆令さんはIT系の企業で働く一方、11年、由起子さんと共に結婚カウンセラーとしての活動を開始。由起子さんの補助的な役割を担うことが多いが、夫婦でセミナーやカウンセリングを行うことで、相談者に男性、女性それぞれの視点の違いに気づかせることができるのが強みだ。
「私たちは結婚して10年になりますが、年々夫婦関係が良くなっていると感じています」とほほ笑む由起子さん。結婚当初は小さなすれ違いもあったが、そのつど、お互いの気持ちや考え、そして感謝を丁寧に伝える努力を積み重ねることで、夫婦の絆を深めてきた。
「沖縄は離婚率が全国ワースト。その犠牲となる人々を減らし、幸せな夫婦をもっと増やしたい」という思いが夫婦の原動力。2人は力を合わせ、人々を幸せにする手助けを続けていく。
(日平勝也)
円満の秘訣は?
由起子さん:「ありがとう」「ごめんね」など、思ったことをすぐに伝えること。メールやLINEでもいいので、伝えることが大切です。隆令さん:まめにコミュニケーションを取る。自分の状況を伝えて、相手の話を聞いてあげることですね。
プロフィール
ともよせ・ゆきこ:1978年神奈川県横浜市生まれ。男と女の心理学講座やカウンセリングを通して、幸せな結婚生活を送るための知識を学ぶ。講座で出会った隆令さんと2007年に結婚し、来沖。11年、隆令さんと共に結婚カウンセラーの活動を開始。プリマリタル・カウンセリング検定1級。全米NLP協会認定プラクティショナーともよせ・たかよし:1977年豊見城市生まれ。琉球大学卒業後、東京で5年間外資系会社に勤務。沖縄にUターンする直前に男と女の心理学講座を受講。現在は株式会社マグナデザインネットでエンジニアとして働く一方、結婚カウンセラーとしての活動も行っている。プリマリタル・カウンセリング検定1級
ゆっこの部屋 http://yukkonoheya.ti-da.net
撮影協力 Cinderella Atelier(沖縄市大里1-26-20)
写真・喜瀨守昭(サザンウェイブ)