「表紙」2018年12月06日[No.1754]号
バルーンの世界に魅了されて
バルーンファクトリー
宜野湾市と那覇市に店を構える「バルーンファクトリー」は、誕生日・結婚・開店祝いの贈り物やイベント装飾などに使われるバルーンの専門店。ここ最近では、沖縄でのフォトウエディング用にバルーンを注文する県外や海外の客も増えているそうだ。ふわふわ浮くタイプや卓上に置くタイプ、形もアレンジもさまざまなバルーン。その世界に魅了されたオーナーの末吉めぐみさんとスタッフに話を聞いた。
「子どもから大人まで、もらうとワクワクするのがバルーンの魅力」だというオーナーの末吉めぐみさん。誕生日プレゼントに夫からバルーンをもらい、そのとりこになったのがバルーンショップを始めるきっかけだったという。
当初は会社勤めをしながら、サイドビジネスとして自宅アパートからのスタート。独学で知識を習得し、結婚式などイベントの装飾も手掛けるように。その後、2005年に宜野湾市内に店を構え、1年後には会社を辞め、本格的にバルーンの仕事を開始した。
ヘリウム危機
もともと色に興味があり、色彩も学んだという末吉さん。「バルーンの色の組み合わせを考えるのがとても楽しい」と話す。また、「プレゼントに贈ったらとても喜ばれた」という声や、イベント会場の装飾をした際に感謝の言葉をもらったりすると「とてもうれしい」と笑顔を見せる。
宜野湾店のほか、08年に新都心店、14年には宜野湾店のそばにギフトショップもオープン。これまで順調に進んできたかのように思えるが、12年にはヘリウムガスの世界的な供給不足が起こり、大変な思いも経験している。当時はヘリウムガスが手に入らず、バルーン業界は危機的状況に陥ったという。
人気なのは浮くタイプのバルーン。「浮いてなければバルーンじゃない」と言って買わずに帰る人もいた。そんな状況をなんとか抜け出すため、売れる商品をと考えたのが、花束タイプのアレンジやバルーンをつなげて重ねるバルーンタワー。必死にアイデアを練り、危機を乗り越えた。
一番の繁忙期である3月の卒業シーズンには、スタッフの多くがインフルエンザにかかってしまったことも。そのときは数少ないスタッフで、ひたすらバルーンを膨らます作業のために徹夜した。
また、大きなイベント会場で直前の装飾内容の変更があったときも時間との勝負だったが、スタッフ一丸となり予定時刻までに設営。末吉さんは、「やり遂げたときの達成感は大きかった。スタッフに感謝すると同時に、みんなの成長を感じました」と振り返る。
スッタフ育成にも注力
働き始めて3年半のスタッフ安里育美さんは「オーナーの才能はすごい。意外なバルーンの組み合わせで、想像もつかなかったものが出来上がる。とても勉強になります。県外の研修など学ぶ機会も与えてくれて本当にありがたいです」と話す。まだ2週間目の神谷賀子(よりこ)さんは「仕事を覚えるのに必死。ガスをパンパンに入れてバルーンが割れちゃったりとかして…。日々勉強ですね」と初々しい。
一方、末吉さんはリピーターとして再来店する客がいるのは「なぜ」なのかを考え、「やはりスタッフの対応が一番」だということに行き着いた。その大切さを教えるなどスタッフの育成にも力を入れる。
さらに、バルーンの魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいという末吉さん。客に飽きられない店づくりや、新商品の提案をし続け「バルーンといえばバルーンファクトリー!」と言われるようになりたいと目を輝かせた。
(﨑山裕子)
【宜野湾店】宜野湾市真栄原3-1-7
☎098-897-9690
【新都心店】那覇市天久2-30-28
☎098-979-9442
【ギフトショップ】宜野湾市真栄原3-4-3
☎098-943-5066