「表紙」2019年09月26日[No.1795]号
県内外の音楽好きが集まる有名店
国際通りで70年間営業を続けている「高良レコード店」。同じ場所に店舗を構えているのは、通りの中で最長級の記録を誇るのかもしれない。県民に親しまれ、音楽を愛する人々が集まる老舗有名店の取締役兼レコード部部長を務める高良雅弘さんに、お店にまつわるエピソードや思い出などを聞いた。
店内に入るとギターがずらりと並び、沖縄音楽のCDを選ぶ観光客の姿を見ることができる「高良レコード店」。
「1949年に両親が創業しました。当時はサングラスや万年筆など生活雑貨を販売していて、店名は『高良商店』だったんですよ」と説明する、高良雅弘さん。
お店の一角に沖縄民謡のレコードを置いていたとのこと。枚数がだんだんと増え、レコード中心の品ぞろえとなり、店名を「高良レコード店」に変えたそうだ。
「テレビやステレオ、ピアノや電子オルガンなど、音に関連する家電や楽器も売るようになりました。二階で楽器教室をやっていたり、ビデオデッキやカメラなどの当時の最新家電も身近にあって、学生時代は友達にうらやましがられました」と高良さんは笑う。海外アーティストを紹介する番組などを録画して見て、音楽通になっていった。
高良さんが物心ついたのは創業から20年近く経っていたころで、テレビやピアノがあったことを覚えているという。
「出始め当時のテレビは、10台仕入れたら1台は不良品だったと両親が話していました。配達先で映らなかったので、時々持ち帰っていたそうです」
アルバムを見せてもらったが、懐かしいデザインの家電が店内に並ぶ様子、田端義夫さん・仲宗根美樹さんら当時の人気スターが店先でサイン会を行う姿など、当時の雰囲気が伝わる白黒写真だった。
いつでもミュージシャンと共に
「2階はライブハウスとスタジオをやっていた時代もあって、Coccoやかりゆし58なども使っていましたよ」と高良さん。
有名ミュージシャンが顔を出すことも少なくないそうで、小田和正さん・桑田佳祐さん・福山雅治さんなども来店したことがあるという。
高良さん自らが行動した中では、とある情報誌とビデオコンサートを共催したことや、輸入盤を扱う本土の有名レコード店の沖縄進出の知らせを聞き、「ニューヨークとロンドンに飛び、卸業者と契約をして輸入盤を置くようになったこと」が、特に印象深いという。有名店よりも価格を安く設定でき、売り上げ好調だったそうだ。
また15年前からは、ライブイベントの主催も始めた。
「東京の知り合いから沖縄でライブをやりたいというミュージシャンを紹介され、引き受けました。それからはミュージシャン同士のつながりで、希望者が次々と出てきたんです」
80〜90年代にヒット曲を連発してきたバンドが解散や休止し、現在はソロ活動を地道に続けているミュージシャンが多い。そんな彼らを応援したいという高良さん。
「昔はコンサート会場のCD販売でお世話になりましたから、恩返しの気持ちもあるんです」とほほ笑む。特に今年は創業70周年記念で、毎月のように主催ライブを行っている。ロック界の実力派たちが県内ミュージシャンと共演するなど、見どころたっぷりのライブは毎回大盛り上がりだ。
音楽の楽しさ伝える発信地
レコード店の三男として生まれ、大学卒業後から経営に携わってきた高良さんは、個人としても音楽にまつわるエピソードに事欠かない。80年代のトップアイドル「キョンキョン」こと小泉今日子さんを沖縄に呼ぼうと一万人の署名を集め、願いをかなえた。小泉さんとスタッフの心を動かし、1988年にコンサートで来沖を実現させたのだ。
また、洋楽ロックをかけるラジオ番組 「ROCK BOTTOM」(RBCiラジオ/日曜深夜1時30分〜)のパーソナリティーを10数年続け、DJとしてのイベント参加もこなす。
「人と音楽の触れ合い方は時代と共に変化しますが、僕は変わらず店を守りイベントも続けます。一つの県の音楽がジャンルとして確立しているのは沖縄だけだと思っていますし、その文化を大切にしたいですね」と高良さん。ネットやダウンロードで気軽に音楽が聞ける時代でも、「高良レコード店」はまだまだ頼もしい。
(饒波貴子)
高良レコード店
那覇市牧志3-11-2
☎098-863-3061
営業時間=10時〜20時
定休日=元旦のみ
3人の有名ギタリスト「山本恭司/ROLLY/マーティ・フリードマン」が豪華共演!
70th Anniversary Takara Records Presents Guitar! ×Guitar!×Guitar! Special! in Okinawa
12月21日(土)18時開場・18時30分開演
場所:桜坂セントラル(那覇市牧志)
チケット代8,000円(120席限定・整理番号付き
自由席・ドリンク代別)
チケット一般発売日:10/13(日)10時〜