「表紙」2020年06月25日[No.1833]号
祝・ラジオ沖縄開局60周年
アナウンサー&制作担当者 4者トーク
私たちのラジオ沖縄
7月1日(水)に、開局60周年を迎えるラジオ沖縄(ROK)。「ローカルに徹せよ」を社是に、地域に根ざした番組を県民に届けてきました。今週の週刊レキオはそんなラジオ沖縄の話題を集中的にピックアップ。巻頭では、アナウンサーとディレクター(※1)、AD(※2)の4人に、ラジオ沖縄での仕事やこれからの展望について2ページにわたりたっぷり語ってもらいました。
実はおっちょこちょい? 金城アナ
金城奈々絵 私はラジオ沖縄に入社して10年ぐらいのアナウンサーなんですけど、大学生のころからアルバイトでDJ、リポーターをさせていただいています。キャラクターとしては、よく真面目と言われるんですけど、その一方で「ちょっと抜けてるよ」とも…。
與那嶺綾子 彼女はおっちょこちょいです(笑)。
金城 本人としてはわりと真剣にやっていますよ(笑)
でも、そういう部分も含めて、ラジオではリスナーさんと共感で結ばれている気がします。私が「こんなことがあったんです」というと、リスナーさんも「ああ、分かります」と。日常のエピソードに反応していただける時はうれしいですね。
読書家、時々マニアック 小橋川アナ
小橋川響 私は2008年入社で、報道部でアナウンサーをやっています。キャラクター は金城アナと通じると思うんですが、真面目かな?
一同 (笑)
小橋川 なんで笑うんですか! そうじゃないですか〜?
波平勇気 いや、真面目だよなー、と。
小橋川 それが番組にも出てしまって、崩し方がよく分からないんですよ。
與那嶺・金城 いや、面白いよ〜。
金城 彼は本当によく本を読んでいて、語彙(ごい)力が豊富。テーマについて掘り下げて、すごく伝わってくる。
與那嶺 言葉の魔術師。聴き応えがあるよね。彼は昼食の時間を惜しんで、車の中で本を読んでいる。
小橋川 ばれてる! 書籍の本もそうですし、ネット上の小説なんかも読む。漫画やアニメも僕の得意分野。入社3年目ぐらいに台風特番を担当させてもらった時に、マニアックなアニメソングばっかりかけていたら、制作部長に「やりすぎだ」と…(笑)。最近はラジコ(※3)で全国で番組を聴いてもらえるようになって、本土の方に「ラジオ沖縄の台風特番がけっこうマニアックだぞ」と言って いただき、1人でガッツポーズしてました。でも社内には響かなかった(笑)
頼れるお姉さん的存在 與那嶺AD
與那嶺 ADの與那嶺綾子です。この4人の中では勤務歴が一番長いです。20年以上かな?
波平 綾子さんはレコードやCDがライブラリ(※4)のどこにあるのかだいたい分かる。
與那嶺 昔はそうでしたね。パソコンでメールが送られてく る前は、リスナーの皆さんからハガキ、電話でリクエストを受け、私たちADがメッセージに書き起こして、レコードやCDと一緒にスタジオに届けるっていう時代でしたから。
小橋川 それは2000年になるよりも前ぐらい?
與那嶺 はい。最近はもうメールがほとんどですけどね。ただご年配の方たちは、直接お電話をしてこられる方が多いですね。あとは、ハガキや電報とか。
一同 電報!?
與那嶺 うふふ、電報で来る方もいますよ。
金城 綾子さんはリスナーさんからも「綾子ねえさん」と呼ばれて、パーソナリティーと同じように愛されているADさんですね。私たちパーソナリティーの相談にも乗ってくれて、本当に頼れる先輩です。
ラジオっ子から制作側へ 波平ディレクター
波平 制作報道局制作部ディレクターの波平勇気です。僕がラジオ沖縄に出入りするようになったのは高校生のころなので、もう20年以上前ですね。当時はラジオ沖縄の夜の番組「へのへのうしし」を聴いてそのままオールナイトニッポンを聴いて、みたいな感じでした。
編集 ラジオっ子だった?
波平 そうですね。それでラジオ沖縄の曲を歌ってくれるリスナーを募集するという企画に応募したことをきっかけに番組にも顔を出すようになって、大学生の時に玉城美香さん、アイモコのアイロウさんと一緒にへのへのうししを1年ぐらいやってました。
大学卒業後、一度ラジオ沖縄を離れたんですが、20代後半で番組のスタッフとして戻ってきて、いろいろな仕事を経験して、ディレクターになりました。
與那嶺 勇気さんは職人気質。
波平 でも、僕としては遊びや余白を持たせて作ろうと思っているんですよ。番組は生ものなので「こうやりたい」と思ってもならない時がある。ある程度、これぐらいっていうのを作って、そこにどれだけ足していけるか。大枠で作るようにしています。
金城 とは言ってもお仕事がとても丁寧なんですよね、勇気さんは。
波平 かっちりやっておかないとうまくいかないというのもありますが、「番組は出ている人とリスナーさんのもの」という意識があるんですよ。
リスナーの生活に寄り添う ローカルに徹せよ!
編 ラジオ沖縄の特徴は?
小橋川 社是は「ローカルに徹せよ」なので、暮らしに根付いたおしゃべりが特徴だなと感じます。
與那嶺 毎日の日常に寄り添っているというか…。
一同 うんうん。
與那嶺 生活感があるよね。あと、リスナーさんが毎日のことを送ってくださるんですけど、やっぱり家族のような感じで皆さんお話してくれる。
編 リスナーさんとの距離が近い?
一同 近いですね〜。
金城 あと、自由な社風だと思います。番組を作るときにも、自分が思っているような番組を作っていいよ、と上司が言ってくれる。そういう自由な気質がラジオ沖縄の明るさにつながっているのかな、と思いますね。
仕事の大変さとやりがい
編 ラジオのお仕事の大変さとやりがいについて教えて下さい。
小橋川 どうやってリスナーさんに自分の見たものや思いを正確に伝えるかはいつも難しいですね。言葉一つで誤解させてしまい、お叱りのメールをいただくこともあります。
金城 リアルタイムで発信したことに対してリスナーさんがアンサーをくださる。みんなで思いを共有できるというか…。そういうところが、ラジオの仕事をしていて楽しいなと思いますね。
與那嶺 いいこととしては、番組を聴くことで幸せな気持ちになったとか、番組が楽しみだとおっしゃっていただくとやっぱりうれしいですね。あと3世代で聴いていらっしゃるとか。
これからのラジオ沖縄
編 ラジオ沖縄は7月1日に開局60周年を迎えます。今後の課題や展望についてお聞かせください。
金城 日頃感じている育児の大変さや、子どもたちを取り巻く環境について、特に沖縄は貧困問題などで過酷な部分もあると思うので、そこも母親目線で伝えていけたらなと思っています。
小橋川 いま、ラジオ以外にアクセスできる媒体がいろいろ増えているので、その中でラジオを選んでもらうにはどうすればいいのかっていうのは課題ですよね。若い世代にもラジオを聴いてもらって、裾野を広げていかないと。
波平 今、ラジコで全国の番組を聴けるようになっています。その中で、他の局と同じではなくて、沖縄っぽさをどうアピールしていくか。
例えば「暁で〜びる」や「方言ニュース」はウチナーグチでしゃべっているので、県外のリスナーさんから「何を言っているのか分からない、でも面白い」という反応がすごくある。そういうオリジナリティーある番組をこれからも作っていければと思いますね。
(聞き手・日平勝也)
※1 ディレクター ラジオ番組の現場をまとめる監督。番組の企画・構成や選曲、パーソナリティーへの指示出し、進行管理などを行う。
※2 AD(アシスタント・ディレクター) ディレクターの補佐役として、番組制作に必要な幅広い業務を担う。ADの手腕が番組の円滑な進行を左右するともいわれる縁の下の力持ち。
※3ラジコ インターネットを経由して日本のラジオ放送をスマホやパソコン上で聴けるサービス。有料のプレミアム会員に登録すれば、全国の放送を聴くことができる。
※4ライブラリ 番組でかけるレコードやCDを保管する部屋。
制作報道局 制作部ディレクター
糸満市出身、2012年入社。高校生・大学生の時からラジオ沖縄の番組に出演。大学卒業後、20代後半から制作スタッフとしてラジオ沖縄の番組に参加。現在はディレクターとして活躍中。担当番組は「グートゥーミートゥー」「NANBUアワー」他
制作報道局 制作部AD(アシスタント・ディレクター)
那覇市出身。1990年代からラジオ沖縄でADとして活躍。担当番組「前田すえこのミュージックCafe」「山原麗華の元気なナツメロ(爆笑)」他。リスナーからも「綾子ねえさん」として親しまれている
制作報道局 報道部 副部長・アナウンサー
糸満市出身。大学時代からラジオ沖縄のDJ、リポーターを担当し、2007年から同社のアナウンサーに。担当番組「SPLASH!!!」「金城奈々絵のHELLO! ベイビー」「恋はななえやえ」他。1児の母
制作報道局 報道部 アナウンサー
沖縄市出身。2008年入社。担当番組「西町にちよう学園」、「沖国大ラジオ講座」、「ROKアーカイブ」他。月に10冊以上を読破する読書家でアニメや漫画などサブカルも得意分野。愛称はひびき坊主