「表紙」2021年03月11日[No.1870]号
やりたいことをやり続けて
空間を花やインテリアで彩り、CMの撮影空間、カフェや店舗などの居心地のよい空間へと変貌させる「空間デザイナー」として活躍する友寄わかこさん。大手ブライダル会社でのウエディングプランナーからキャリアをスタートさせ、独立後はフォトウエディングやCMのコーディネート、衣装スタイリング、店舗運営、フォトスポットプロデュース、講師業まで仕事の幅を広げてきた。自分らしく輝く道を一直線に進んできたように見えるわかこさん。しかし、意外にも「20代の私は何をしたらいいか迷っていました」と苦笑いする。
「やりたいことはいっぱいあったんです」
学生時代から両親のように自分も経営者になるという目標を持っていたわかこさん。しかし琉球大学でマーケティングを専攻したものの、当初は具体的な職種のビジョンは持っていなかったという。
そんなわかこさんに影響を与えたのが、恩師・平敷徹男教授から教わった「自分マーケティング」の考え方だ。自分は何を持っているのか―。そう自問した時、「趣味も特技も、本当に何もないな、と思った」と回想する。
そこから「まずは資格を取ろう」と決意したわかこさんは、ダブルスクールで簿記や、フラワーアレンジメントなどさまざまな資格を取得した。
資格取得のためのスクール通いはその後の人生でも続き、現在では25もの資格を持っているというが、その裏には「自分で何かを身に付けるという平敷先生の『自分マーケティング』がずっと頭の中にあった」と恩師に感謝する。
大学卒業後の2006年、県内の大手ブライダル会社に就職。プランナーとして5年間勤務するも、体調を崩して退職、フリーとなった。
入院で天職を自覚
その後は、専門学校のブライダル講師、雑誌やCMのコーディネート、衣装スタイリング、週刊レキオでのコラム執筆、フォトウエディングスタジオの開設と仕事の幅を広げていく。意識して幅を広げたというより、「人との出会いを大切にし、またお客さまから求められることに応じるうちに、こうなった」とわかこさんはほほ笑む。
その一方、2013年には那覇市内でカフェをプロデュース。わかこさんが手掛けた独特のインテリアが評判となり、空間デザインの仕事も依頼されるようになった。
現在、わかこさんは宜野湾市大山でフォトウエディングスタジオ「シンデレラデコレーション」を運営する。スタジオのインテリアは淡い色調でまとめられ、季節の花が並ぶ。やさしさ、繊細さを感じられる空間に、心が安らぐ。
わかこさんがプロデュースする空間のテーマは、女性が一人で過ごしても癒やされる空間。「20代後半で初めて入院、手術をした時、死と向き合った。いつか死ぬんだな、と思ったら『自分をもう少し大事にしてあげればよかった』と思ったんです」。その経験から「空間を通して、一人でも多くの人へ癒やしを提供したい」と思ったことが、人生のテーマとなったと語る。
自分も大事にして働く
「私が手掛けた空間を見て、夢のようだとおっしゃってくださる方もいる。そういう時、お客さまの目が輝いているんですね。それを見るのが一番のやりがいです」
コロナ禍で人生を見つめ直した時に、たくさんの人が訪れる店舗の空間デザインをやりたい、という思いはさらに募った。現在、北谷町にオープン予定の美容室兼キッズスタジオの空間プロデュースを手掛けており、新都心へのウエディングスタジオの出店も計画中だ。
「私は人が好きで、人に会って元気をもらっているタイプなんですけど、でもやっぱり一人で過ごしたり、考えたりする時間はすごく大事だと思っています」
頑張りすぎて体を壊した経験から、自身の働き方も意識して変革。体を休めたり、アートを見たり、自然の中やパワースポットに出かけるなど、心身のメンテナンスを行う日を必ず設けるようになった。過去にハードな日々を乗り越えてきたからこそ、自然な笑顔で仕事に取り組む今のわかこさんの姿があるのだろう。
「やりたいことをやってきたら、空間に行き着いた。人生は不思議だなと思います」。実感を込めて語るわかこさんの言葉が印象に残った。
(日平勝也)
シンデレラデコレーション
宜野湾市大山4-4-3 1F
(国道58号沿い) ※完全予約制
ホームページ
cinderella-decoration.com
wakakotomoyose.com