「表紙」2021年07月29日[No.1890]号
厳しい稽古で成長 ステージで輝く
結成25周年を迎え、8月1日(日)に宜野湾市民会館で記念公演を行う舞踊集団「花やから」。琉球舞踊をベースにしつつ、古典民謡、童謡、歌謡曲、ポップスなど多岐にわたるジャンルの音楽を取り入れた創作舞踊を県内外のイベント等で披露している。有限会社花やから 代表取締役の大城隆慈さんは、「ステージは観客の皆さんにとって、非日常の癒やしのひと時。ストレスや悩みを忘れるようなステージを作りたい」と話す。
結成25周年公演を間近に控えた7月の週末、那覇市小禄の稽古場では、メンバーが踊りの稽古に励んでいた。皆、真剣な表情を浮かべていたが、記者の姿を見るや、表情が一変。輝くような笑顔を浮かべ、ハキハキした明るい声で元気にあいさつをしてくれた。芸事の世界では、芸の技と共に、礼儀作法が重んじられる。その一瞬で、彼女らがプロ意識をしっかりと身に付けていることを感じた。
自立心を養う
花やからは、1996年に大城さんの母・秀子さんが立ち上げた。琉球舞踊を嗜んでいた秀子さんが稽古をしてい ると、近所の少女たち数人がいつも見に来た。「母がその子たちに教えてみると、大人でも難しい踊りを子どもたちがすぐマスターし驚いたそうです」と大城さん。
結成後、花やからは県内のイベント等のステージはもちろん、県外や国外での舞台にも多数出演を重ねてきた。結成以来、秀子さんが踊りの指導にあたってきたが、今年、その役割を古参メンバーの上原舞さん(31)に譲った。「稽古では、熱くなってしまう部分がある」と自身が語るように、上原さんは指導の際は厳しい一面も見せる。「でも、稽古が終わったら和気あいあいとしていますよ」
現在のメンバーの年齢層は7歳から30代までと幅広いが、年上のメンバーに親しみをこめて「○○ねえ」「おねえちゃん」と呼ぶなど、家族のように親密だ。メンバーの具志堅梓さん(13)も、「練習はきついこともあるけど、メンバーとの仲がよく稽古も教えてくれるので楽しい」、宮崎美羽音(みはね)さん(12)は「最初は不安で、手数を覚えるのが大変だったけど、おねえちゃんたちが優しく教えてくれた」と話す。
稽古は無償で、メンバーにステージ出演料を支払うが、その分、求められるレベルも高い。稽古は平日の放課後と週末の週5回。ハードに思えるが、自分で踊りたいという意思を持っていれば続く、と大城さん。花城凛々夢(りりい)さん(8)は「みんなと踊れるのが楽しい」と笑う。
花やからでは、「縦の関係」の大事さも指導する。厳しさの背後には、「花やからの活動を通して、自分で何でもする自立心を養ってほしいという思いがある」と大城さんは言う。「ツアーで県外公演に行き帰ってくると『挨拶から何から見違えるようによくなった』という親御さんもいらっしゃいますよ」。厳しい稽古は、メンバーの心の成長にもつながっているようだ。
観客に夢と癒やしを
厳しい稽古を重ねて立つステージは、観客に夢と癒やし、感動を与える非日常の世界。 現在最年少の塩川菫(すみれ)さん(7)は「お客さんがいっぱいいてドキドキしたけど、踊っていて楽しかった」とステージに立つ喜びを伝える。上地愛美さん(30)も、「ブラジルでのステージを見てくれた現地のウチナーンチュのおばあちゃんが、 泣きながら『帰らないで』と行ってくれて、その時は本当にやっていてよかったと思いました」と振り返る。
今週末、8月1日に行われる公演は、5年に1回行っている記念公演。民謡歌手、芸人、津軽三味線奏者、ダンスパフォーマーなど、多彩なゲストも登場する。演出を務める知念だしんいちろうさんは「ずっと舞台ができなくて、待ちに待ったステージ。はじける感じを見てほしい」と話し、大城さんも「コロナ禍で笑顔が足りない今、人々の笑顔の花を咲かせたい」と意気込む。
定番の琉球民謡から童謡、歌謡曲、ポップスまで、楽しさ満載のステージを満喫してほしい。
(日平勝也)
花やから25周年 記念公演
8月1日(日)宜野湾市民会館大ホール
昼の部 12:00(開場11:00)
夕の部 16:30(開場15:30)
・前売り 大人3000円、中高生 1500円、小学生1000円
※当日券各500円増。
・オンライン視聴 1,500円
※詳しくは HPへ
主催・問い合わせ 有限会社花やから
☎︎098-857-2254