「表紙」2021年08月26日[No.1894]号
「中城村ここにあり!」と伝えるためにソロデビュー
琉球王国時代の1440年ごろに中城城(なかぐすくじょう)の城主となった護佐丸(ごさまる)。琉球の英雄として語り継がれる人物の志を現代に受け継ぐ、「MC護佐丸」と名乗るラッパーが登場。中城村の情景を歌詞にしたため、ラップに乗せて歌うデビュー曲「中城村In The House」をリリースした。ミュージックビデオ(MV)撮影中に出会った村の情報通「いーちふぁ君」と、今後活動を広げていくそうだ。その思いと決意を聞いた。
2018年、沖縄民謡界の大物歌手・護得久栄昇(ごえく・えいしょう)さんの楽曲「わかるよね口説〜護得久栄昇は常に用意周到」にゲスト参加し、謎のラッパーとして注目を浴びたMC護佐丸さん。
「この数年、自分の曲を作って発表するために準備を続けてきました。ある日枕元に護佐丸が立ち、『中城村を広めるために歌いなさい』とお告げを受けたんです。大好きな中城村を紹介したい気持ちになり、歌詞を完成させましたよ」と語り、今年5月30日(護佐丸の日)にデビューがかなったと笑顔を見せる。
中城村民のMC護佐丸さんは、昔ながらの文化や風景を残しつつ発展する様子をリアルに感じる村を誇らしく思っているそうだ。
「国道329号を境に海側は漁港と畑があり、代々住み続けている方が多いと思います。一方で琉球大学東口がある丘側の南上原(みなみうえばる)周辺は、人口が増え発展中。医療施設や育児環境が整い住みやすさ抜群です」
このように新旧が混在するのが村の魅力で大好きだというが、その魅力が村民以外には伝わっていない現実も。
「沖縄県民でも本島のどこに位置するのかさえ分かっていない人がいる。デビュー曲の歌詞に、村の風景や情報を詰め込みました。1つずつ理解することでどんな地域か知ってもらえると思います」
コロナ禍が落ち着き楽しくドライブできるころには、たくさんの人が訪れることを願っている。
歴史感じるのどかな風景
MC護佐丸さんと共に活動するいーちふぁ君は、大学進学を目指す浪人生。吉の浦公園で勉強するのが日課だ。
「通りがかったMC護佐丸さんに声を掛けられ、おしゃべりしました。僕が中城に詳しいと驚き、MVに出ないかと誘われてそのまま出演したんです」といーちふぁ君。
その後家に招待し、一緒に村内を散策しながら、中城村を愛する者同士で意気投合となったそうだ。
「MVの見どころは中城クイズ。最後までしっかり見てください。僕は歴史や社会は大得意ですが、他の教科が全然できない。勉強しながら、MC護佐丸さんと中城村を広めていきます」と決意を語る。
「歴史を感じる遺跡やオジーオバーが住んでいる地域など、のどかさと自然に包まれた昔ながらの村の光景が好きです。見ていると気持ちが落ち着くんです」と目を細めるいーちふぁ君。住んでいるのが海側の津覇(つは)というエリアで、沖縄の言葉で「ちふぁ」と発音する。 「上(いー)の方の津覇、というのが名前の由来なんです」と教えてくれた。
文化と暮らしを歌詞で紹介
MC護佐丸さんといーちふぁ君の会話に耳を傾けると、「中城城跡につながるハンタ道は延長中で、整えば城の正門に到着できる。現在利用できるのは裏門」、「中城海岸で大きなタマン(ハマフエフキ)が釣れて県記録に認定された。実は釣りスポットの穴場だ」など興味深い内容が次々と聞こえてくる。
「自慢できる話題をアピールしつつ、あまり知られていない現実も交えながら楽しく紹介したい。多くを学ぶことができる村ですよ!」と意気込むMC護佐丸さん。祭りなどイベント出演の相談を受けたりしているが、村長はじめたくさんの人が応援してくれることがとにかくうれしいそうだ。今後はガイド役になって村歩きしたい、地元企業のCMキャラクターになれたらなど目標が飛び出す中、「年内に新曲を発表します!」と宣言した。
ところで記者が気になったのがMC護佐丸さんといーちふぁ君が、お笑いコンビ「ゴリラコーポレーション」の二人にそっくりなこと。「仲良しで近しい存在ですが別人です」と答えが返ってきたので、記者の勘違いだったようだ(笑)。中城愛あふれる歌詞が軽快なリズムに乗り、楽しい気持ちにさせてくれるMC護佐丸の紹介ソング。第二弾が今から待ち遠しい。
(饒波貴子)
MC護佐丸がデビュー!
Qwacchi-Noiz第16弾シングル「中城村 In The House」
iTunes、LINE MUSIC、amazon music他、音楽サイトで配信中!
ミュージックビデオは、YouTube「ちゃんねるFEC」で無料公開中。
※最新情報は「FEC公式サイト」をご確認ください。
http://www.fec.okinawa