「表紙」2022年02月10日[No.1918]号
女性の地位向上目指し 互いに啓発
1984年から年に1回、女性の地位向上に貢献するリーダーの育成を目的に、県内女性有志が海外研修に派遣されていることをご存じだろうか。「沖縄県女性の翼(以下、女性の翼)」は、この研修に参加した女性たちを中心に結成された会。結束が固く、先輩が後輩を育てる気風があり「女性の翼に育てられた」と語る会員も多いという。現在は一般社団法人として、男女共同参画社会の実現に寄与するため、さまざまな事業に取り組んでいる。会長の奥村啓子さん、副会長の垣花悦子さんと崎原末子さん、OK基金運営委員長の座間味万佳さん、国際交流事業実行委員長の大浜るみ子さんに話を聞いた。
「20歳の時、第1期の団員が出発する様子をテレビのニュースで見て、感動しました」と振り返る崎原さん。「こんなすばらしい人たちが海外に行って学んでくるというので、とても憧れていました」と目を輝かせる。それから24年後、自身も25期の団員としてベトナムへ赴いた。
大浜さんは、34期の団員として2017年に女性進出の国といわれるニュージーランドへ。「ちょうどアーダーン首相の選挙時期。私が住む石垣市においても、男女共同参画が地域で言われている時期だったので刺激を受けました」と振り返る。
女性の翼の柱となる事業「沖縄県女性海外セミナー」では、1984年から年1回、平均15人前後の団員を海外に派遣している。グローバルな視点で女性の社会参画の促進に貢献する女性リーダーを育成することが目的だ。
女性の翼は、海外セミナーに参加した女性たちを中心に結成された会。「海外セミナーの成果を多くの女性たちや社会に伝えていきたい」との思いが活動の原動力だ。「海外で啓発された皆さんは、各地の市町村で頑張っています」と話すのは、18期の団員としてオランダ・ドイツを視察した垣花さん。「同期の団員の中には議員になった方もいれば、酒屋さんの女将さんになった人もいますよ」と笑う。
強いつながり
「女性の翼は会員同士のつながりも強い」(大浜さん)。会員がお互いを支え合い、先輩が後輩を育てる気風が受け継がれているという。
現在、正会員は20〜90代の252人。副市長を含め9人の県・市町村議員が含まれ、行政に携わる会員もいれば、経営者もいる。職種や活動分野はさまざまだ。
「いろんな仕事をされている方とお付き合いするのはすごく勉強になる。いろいろな領域での女性の視点を学ぶことができ、私自身の勉強になっています」(座間味さん)
「同期の皆さんとは月1回集まって親睦を深めています。冠婚葬祭の場でも協力し合うほどの仲で、きょうだい以上の付き合い」(垣花さん)
職種も人生経験も違う会員との交流が、お互いの刺激と支えになっているようだ。
さまざまな取り組み
1987年の結成後、任意団体として運営を続けてきたが、2019年に会の継承と発展のため社会からより信頼される組織を目指し、一般社団法人化。海外セミナーの事業のほかにも、企業訪問や宿泊研修、県内外の著名人を招いた講演会などの国際交流事業に取り組む。
20年の8月には、「沖縄県女性の翼・OK基金」を設立。県内の母子家庭やDV被害者等の自立を支援している。海外セミナーを継続させ、次世代会員の育成と活動基盤の確立のため「あしたの翼基金」も設置した。
「事務局の職員以外は、みんなボランティア。仕事しながらよく頑張っているなと。みなさん頑張るものだから、触発されて私も頑張らないと、となります」(奥村さん)
みんな懸命に事業に取り組むが「女性の翼の活動は、寛容で楽しい雰囲気。笑いがある」(崎原さん)、「楽しく活動できることが持続できる源だと思っています」(奥村さん)と、ムードはなごやかだ。
コロナ禍の20年と21年には海外セミナーの中止を余儀なくされたが、代わりに入会資格が得られる2泊3日の県内セミナーを実施。時間・費用の負担も少なく、若手の参加者が多かったため、今後も同様の県内セミナーを開催していきたいと意気込む。
「女性の意識の向上ができる会として、私たちから子どもにもつなげていきたい」(大浜さん)。女性の翼の今後の活動に期待したい。
(日平勝也)
女性の翼主催国際交流事業
2022年3月20日(日)
佐久本嗣男氏チャリティー講演会「世界制覇への道」パシフィックホテル沖縄(※コロナの感染状況によって変更の可能性もあります)