「表紙」2025年05月08日[No.2086]号
確かな技術で安心の日帰り手術を提供
レキオおしりクリニック 院長 前川 忠康さん
来院の垣根を下げる優しい診療
「レキオおしりクリニック」は、今年3月豊見城市与根に開院した大腸肛門科。恥ずかしさや不安を抱きがちな痔の患者さんに対して、優しく安心して治療できる環境を整えることを心がけ、負担の少ない日帰り手術を提供しているのが特徴だ。同院の前川忠康院長は、兵庫県のクリニックで24 年間にわたり、約5 千件の手術を行ってきた実績の持ち主。「沖縄に痔の日帰り手術を根付かせたい」との思いでクリニックを立ち上げた。「もっと早く相談すればよかった、という患者さんは少なくありません。おしりの悩みを一人で抱え込まず、ぜひ気軽にご相談を」と呼び掛ける。
「痔は、ほとんど全てと言ってもいいぐらい、一般的な薬では治らないんです」と前川院長。症状が一時的に治まることはあっても、外科手術をしなければ根本的な治療にはならないという。
ところが、患者さんの外科手術に対する心理的なハードルは高い。一般に痔の外科手術は入院手術であることが多く、仕事を休まなければならないという意識が障害になる。
「定年になってやっと手術に来ました、という方もおられますが、やっぱりすごくひどくなっているんです」
そういった事情から、前川院長はほぼ全てのケースで、ジオン注射による硬化療法を含めた負担の少ない日帰り手術を提供している。
手術自体は15〜20分
日帰り手術と入院手術の大きな違いは、麻酔の種類。入院手術の場合、腰椎麻酔や全身麻酔を行うが、患者さんが立てなくなるため日帰りはできなくなる。
「だから僕は、局所麻酔でやっています。手術自体は15〜20分ぐらいで終わりますよ。術後、点滴して休んで、出血していないか確認してからお帰りいただくのですが、それも含めてだいたい合計2時間ぐらいです」
一方で、局所麻酔の手術には、医師の高い技術が要求される。「腰椎麻酔や全身麻酔は筋肉が緩みますが、局所麻酔では緩みません。なので、手術の視野が狭くなって、難易度が上がるんです」
日帰り手術には、それを可能にする確かな技術と豊富な経験の裏付けが必要となるのだ。前川院長自身も、大阪の日帰り手術専門の病院に修行に行くなどして技術を磨き上げていったという。
恥ずかしさや不安に配慮
「やっぱり肛門科って、皆さん怖いんですよ」と前川院長。恥ずかしさや不安を抱えて受診をためらう患者さんのことを考え、徹底的に優しい診療を心がけている、とにこやかな笑顔で話す。分かりやすい言葉で優しく説明を行い、診察も患 者さんが恥ずかしくないように、着衣で横向きになってもらうスタイルで行う。
「診察や手術は、患者さんとおしゃべりしながら行います。会話には、けっこう麻酔効果がありますよ(笑)」
垣根を下げるため、予約不要で受診が可能。手術当日も、食事の制限や下剤を設けていない。術後は、自分で運転して帰る患者さんも多いという。シャワーも翌日から可能だ。「ふらっと来てもらって手術を受け、そのまま日常に戻っていただきます」と説明する。
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2000年に兵庫県芦屋市に前川クリニックを開院し、開業医として24年にわたって約5千件の手術を積み重ねてきた前川院長。「空気感が合う」と感じる沖縄には、以前から家族で頻繁に足を運んでいたそうだ。
「沖縄の患者さんのために、日帰り手術を根付かせたい」との思いから、8年前からクリニックの開院を計画していたが、コロナ禍で延期。この3月に念願の開院を果たした。「クリニックの名前に私個人の名前ではなく、『レキオ』と名付けたのは、ゆくゆくはどなたかに継承したいから」。後継者の育成にも取り組みたい、と意気込む。
海が好きで、これからの季節は趣味の釣りに出かけるのも楽しみ、と前川院長。その優しい口調、柔和な人柄が印象に残った。
(日平 勝也)
レキオおしりクリニック
豊見城市与根50-90ルーツメディカルビル1-11
☎098-987-5130
※診療時間・手術日・休診日についてはホームページまたは1面下の広告からご確認ください。
https://www.lequiooshiriclinic.com/

写真・村山 望


