沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1470]

  • (土)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2013年06月06日[No.1470]号

さんしん英会話

 豊見城市の豊見城交差点手前に「さんしん英会話」と書かれた看板があります。車で通るたびに見ていて、どんな教室なのか想像が膨らんでいます。ぜひ調査をお願いします!   (豊見城市 K・Tさん)

「さんしん英会話」って何?

 「さんしん英会話」ですか…。英語で三線が習えるのか!? 三線を習いながら英語も学ぶのか!?英語の歌を三線で弾くのか???確かに想像が膨らみますね。それに先生は外国人なんでしょうか? うーん、気になってきました。  情報を元に看板を探しに車を走らせた調査員。大きく「さんしん英会話」と書かれた黄色の看板を発見! 問い合わせてみると、看板が掛かっている建物内に教室があるとのこと。突撃調査へゴー!

 まさかの答えが!?

 こんにちは! 生徒さんと三線の稽古をしているところへお邪魔し、琉球民謡伝統協会松絃流教師の法恵(のりえ)・サンダースさん(31)に話を聞きました。

 「さんしん英会話」はどんなスタイルの教室なんですか? いきなり直球ですが…。

 「私は『三線』『琉舞』『英会話』の三つを別々にアピールしているつもりなんですが…」

 「さんしん英会話」ってつながってるようにしか見えませんよ〜、法恵さん!

 「実は、一つの道場で三線と琉舞、英会話の教室を開いているんです」

 え〜! まさかの調査打ち切り?と心配になった調査員ですが、とにかく詳細を聞くことに。

 三線と琉舞は分かるのですが、なぜ英会話教室も設けたのですか?

 「私は生まれ育ちも沖縄ですが、アメリカで暮らした経験があり、自分も子どもたちも英語を忘れないようにと思いました。アメリカでは『okinawan traditional  dance and sanshinmusic』を開き、幼少から続けている琉舞と三線を在米ウチナーンチュに教えていたんですよ。70代の人が多く集い、民謡などを教えると、みなさん懐かしがって涙を流していましたね。沖縄料理を持ち寄ったりして…」

 沖縄文化の親睦会というか音楽模合のような場を設けていたんですね。結婚を機にアメリカに渡った法恵さん。約5年ほど滞在し、アメリカ人の生徒にも英語で琉舞と三線を教えていたそうです。5年前に沖縄に戻り、「さんしん英会話」を開きました。

音楽で福祉活動も

 英会話教室は週に2回、インド出身のクリティ・チョードリーさんが担当していますが、今月はお休みで残念ながら見学できませんでした。話によると、歌ったり、カードを使ったりしながら楽しむ英語ユンタク教室のようです。

 琉舞は週3回、三線教室は週4回、初心者から最高賞保持者、外国人まで約40人を本格的に指導しています。外国人の生徒にはどのように教えるのですか?

 「楽しいというのがモットーなんです。英語、日本語、ウチナーグチを交えて弾き方と工工四を説明。ウチナーグチの歌詞は復唱しながら意味を教えていきます。音楽は言葉を越えるので、皆さん上達が早いですね」

 確かに、稽古を見学していると、コーヒータイムは和気あいあいとおしゃべりを楽しんでいましたが、第19回民謡コンクールのリハーサルは真剣。

 生徒からは「教室で声を出したり、踊って体を動かしたり、快適なコミュニケーションがとれたりすることが楽しい。舞台は全員で立つのでチームワークがよく、絆が深い」という声も聞かれました。楽しく遊びながら、目標を持ち、技術もしっかり取得というのがポイントですね。

 さらに、法恵さんは介護福祉士の資格を生かし、沖縄音楽を通した福祉活動を積極的に広げています。老人ホームへの訪問演奏交流会の他、障がいのある人たちに教室に参加してもらうことで社会復帰に向けた就労支援も行っているそうです。

 看板に引かれて入った教室でしたが、沖縄文化を嗜(たしな)み沖縄の心を学ぶ→語で国際交流→社会との橋渡しに発展—という奥深き連鎖に感激。とはいえ、コミュニケーション能力を身に付けながら、さらに英語で三線を学べたら一石三鳥でいいなぁと思う欲張りな調査員でした。


さんしん英会話
法恵・サンダースさん
さんしん英会話
「さんしん英会話」って一体? 気になる看板=豊見城市高安
さんしん英会話
松絃流民謡三線教室の和やかな一コマ
>> [No.1470]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>