「島ネタCHOSA班」2014年06月05日[No.1521]号
浦添市仲西の住宅街に、変わった花が飾られています。よく見ると手作りのようです。誰が作ったのか調べてください。
(浦添市・Iさん)
浦添に変わった花?
変わった花ですか? 変わったもの大好きな調査員、早速現場へ行ってみましょう。
訪ねたのは、浦添市仲西の住宅街。高さ5㍍ほどの石垣沿いに、色とりどりの花…? これ、果物などが入っている赤と黄色の網を丸めたものです。よく見ると、所々に造花も結び付けられています。
誰がこんな粋なことを? としげしげ眺めていると、石垣の向かいの住宅から女性が出てきました。
「かわいいでしょう」と笑顔で話し始めたのは、山里キヨさん(75)。キヨさんが作ったんですか?「そうですよ」。あっさり作者が分かりました。
捨てる物再利用
「『おはよう』『きれいだねー』って話し掛けながら、毎日手入れしていますよ」とキヨさん。なぜ花を飾ろうと思ったんですか?
「1943年にこちらに引っ越してきたんだけど、当時は忙しくて手入れをする時間もなかったんですよ」。子育てや仕事で、植物を愛でる余裕はなかったといいます。
「70歳を過ぎてから、少し落ち着いて。最初はドラゴンフルーツでいっぱいにしていたんですよ。夜、大きな花が咲いてね、きれいだったよ」。一度に20個も実が採れたそうです。
「次はレンギョウとか挿し木で増える植物を植えたわけ。でも、ちょっと寂しいなと思って」。捨てればごみになる果物の網や造花を飾ったところ、華やかになりました。
「雑草なんかも毎日取ってますよ。中途半端なのが嫌いなのよ。ま、上がってコーヒー飲みなさい」と促され、お邪魔したキヨさんの家は、モデルルームのように片付いて、ほこり一つありません。
おや、花瓶や壁なども紙の花で飾られていますね。「ティッシュペーパーの箱なんかに書かれているものを、一つ一つ切り取って組み合わせているのよ」。器用に小さな模様を切り取るキヨさん。
「植物も人間と同じよ。かわいがったら伸びるのよ」
うーん、深い。道路沿いの花壇も手入れし、地域の人に喜ばれているそうです。
桜まつり目指す
花で地域を喜ばせるといえば、浦添市仲間に花を咲かせる活動をしている団体があると聞き、訪ねてみました。
その名は「仲間がじまる会」。「浦添桜まつり」開催を目標に、13年12月、浦添大公園内の遊歩道に桜の木を植える、第1回植樹祭を開催しました。中心メンバーの又吉武市さん(76)は、「仲間区は、戦後自然発生的に育った緑は豊かだけど、花があまりないんです。そこで、桜を植えて地域の宝にしようと思ったんですよ」と話します。
「浦添市まちづくりプラン賞」の助成金に加え、「仲間区の予算と寄付を募ったところ、多くの市民に賛同いただいたんですよ」と自治会長の比嘉鉦由さん(66)。30本を予定していた第1回は50本の植樹がかないました。
「草刈りや台風対策など、維持管理は大変。でも、『不法投棄がなくなった』とか『僕たちが植えた桜が大きくなってる』とか言われると、やって良かったなと思います」と宮城重哲さん(73)は笑顔で話します。
「仲間区は、湧き水が豊富な場所であり、浦添ようどれなど琉球王朝のルーツでもあります。古いものは大事にしつつ、新たな魅力を生み出していきたいですね」と又吉さん。次回は30本の植樹を目標にしているそうです。
形は違えど、地域を愛す「花咲か〇〇」さん。あなたの周りにもいませんか。まずはプランターから始めてみようと思った調査員でした。