「島ネタCHOSA班」2014年08月28日[No.1533]号
那覇市の前島で、看板に「フランス風おでん」と書かれたお店を見つけました。興味はあるのですが、扉を開ける勇気がありません。どんな料理が食べられるのか、かわりに調べてきてください。
(那覇市 チビ太のおでんさん)
おでんがフランス風に!?
フ、フランス風おでんですか…? あまりに意外な組み合わせに、脳みそのイメージ能力が追いつきません。「今晩のディナーはガンモドキにしませんこと、ピエール?」「そいつはとってもステキな考えだね、フランソワーズ」…。
…違う。何かが、違う。実態を確かめるには、直接お店に乗り込むしかないようです。
共通点は「煮込み」
というわけで、やってきたのは那覇市前島。とまりんから安里川沿いに少し歩くと、見つかりました! 看板には、「フランス風おでん 楽しんで 銀座パリ」と書かれています。ちょっぴりシュールな雰囲気に一抹の不安を抱く調査員でしたが、勇気をふりしぼってドアを開きます。
まずは、出迎えてくれたオーナーの奥平秀光さん(64)に話を聞いてみました。
「私は、もともとフランス料理の職人として、大阪で修行しました。東京オリンピックの翌年の1965年ごろかな。船で3日もかかっていた時代ですよ」
筋金入りのフランス料理人なんですね。
「12年後に沖縄に戻ってきたのですが、その時はまだフランス料理がまったく根付いていなくて。それで居酒屋をやっていたんですが、ずっとフレンチができないかと考えていたんです」
それでおでんを? でも、フランス料理とイメージが結びつかないのですが…。
「でもおでんは煮込み料理なんですよ。煮込みといえばフランス料理の得意技。日本風のおでんを、フランス風だし汁のフォン・ド・ヴォーで煮込んで出したら面白いだろうなと思い、今年の5月にお店をオープンしました」
絶妙なハーモニー
何はともあれ、論より証拠。奥平さんに人気のメニューを選んでもらい、試食タイム!
まず運ばれてきたのは、かき氷。え? おでんを頼んだはずですけど…。
「とにかく食べてみてください」と促され、かき氷を口に運ぶ調査員。えっ! このかき氷、おでんのだし汁の味がする〜!!
「これは『夏野菜のおでん氷』。だし汁をシャーベット状にして、ゼリーと一緒に夏野菜にかけた料理です。こんなのは、世界でも他に例がないでしょうね」
続いては、「厚揚げオランデーズソース」。舌をかみそうな名前ですが、これが、う・ま〜い! バターと卵黄たっぷりの濃厚なウニのソースが、素朴かつジューシーな厚揚げとハーモニーを奏でます。うーん、トレビア〜ン♪ しらたきに、ワインを煮詰めてバターをからめたソースをのせた「しらたきブールブラン・ブリューレー風」も絶品。しらたきがこんなにオシャレになっていいんでしょうか。おお、シャンゼリゼ!
そしてフランス料理の真骨頂である煮込み技を駆使した「テビチの田舎風」。長時間煮込んだテビチは、まさにとろっとろ。肉の臭みがまったくなく、上品でぜいたくな味わい。トマトソースもたまりません。ボンジュール! モナムール!!
絶品のフランス風おでんに、頭の中がすっかりフランスになってしまった調査員。値段が1種100円〜400円と庶民的なのも魅力的。読者のマドモワゼル、ムッシューたちも、ぜひ味わってみてシル・ヴ・プレ〜☆