「島ネタCHOSA班」2014年10月16日[No.1540]号
宮古島に宮古方言が上手なフランス人がいるとの話を聞きました。言い回しもネーティブとのことです。調査をお願いします。
(アララガマ3世 中城村・30代男性)
宮古方言が得意な仏人!?
インターネットで検索してみたら、それらしき人を発見。宮古島の知人をたどり、見事接触することに成功しました!
たった4カ月で習得
話を伺ったのは、パリ出身のセリック・ケナンさん(27)。セリックさんは今年7月に開催された「みゃーく方言大会」で、文化協会賞を受賞しました。語彙(ごい)力や話の面白さ、会場の笑い声が審査基準で、標準語を使うと減点されます。
「外国人の参加は初めてだったようなので、この顔で方言で話すと違和感があったのか、すごいウケました。ヤギ汁やうずまきパンなどの食べ物がおいしいという話をしました。うずまきパンがおいしすぎて1日4個食べて太ったというエピソードなどですね。今はもう食べすぎて飽きましたが(笑)」
ただでさえアクが強い宮古方言をすらすら話す外国人がいたらインパクト大です。
「若者が方言を使わなくなっている中、地元の人は伝統や文化が失われる心配をしています。そんな時に、外国人がわずか4カ月で方言を身に付けたのは前向きな気持ちになったと喜んでもらえました」
えっ、たった4カ月で方言を話せるようになったのですか!?なぜここまで究めようと思ったのか気になります。
「宮古島には研究のために来てるんです」
研究? 一体どういうことなのでしょうか。
「生きてる言語」研究
セリックさんはフランスのHEC経営大学院に在学中の2009年から1年半、交換留学で日本に渡り、卒業後に京都大学大学院博士課程に進学、言語学研究室に所属しています。現在取り組んでいる論文のタイトルは「宮古語下地方言の記述的な研究」です。
「京都大学で宮古島言語研究の第一人者である田窪行則先生の授業を受け、言語学を学びたいと思いました。宮古語は少ないとはいえ今でも話者が存在します。その言語を使って生活している人が残っていることは、世界的にもかなり貴重で『生きてる言語』として研究のやりがいがあります。60代以上の人は、方言でコミュニケーションを取っていることにとても驚きました」
セリックさんは14年3月から宮古島市に滞在し、宮古方言の調査に励んでいます。
「宮古島のみなさんが本当に協力的なんです。今は研究のために長間三夫さんにお世話になり、とっても感謝しています。1日3〜4時間、仕事中も一緒に行動しながら方言に触れて、帰ってからICレコーダーを聞き返して単語や活用を整理しています。宮古方言を学ぶ環境が整っていて、とても楽しいです。この感謝を、宮古島のことを紹介するなどして、いつか返さないといけないと思っています!」
宮古を愛するセリックさん。最後に宮古言葉で宮古の魅力を伝えてもらいました。
「みゃーかー まーだどぅ ずみかー。いんまい てぃんまい まーだどぅ かぎかー(宮古は最高です。海も、空も、非常にキレイだ)。うり から ふぉーむぬまい まーだどぅ んまかー。じゃーん ぴんざぞぅーぬどぅ んまかー(それから、食べ物も非常においしい。特にヤギ汁は一番おいしい)。とーまい まーんてぃー、みゃーくんかい いき。ぶすかいばどぅ んにゃてぃ うー(本当に、誰もみんな宮古島に来たくてたまりません)」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇さあ読者のみなさん、地域の言語を残していきましょう。