「島ネタCHOSA班」2015年3月5日[No.1559]号
去年の3月中旬、沖縄市の中央パークアベニューで緑色の衣装などを着た人たちがパレードをしていました。友人に聞いたら、毎年見るとのこと。いったい何のパレードでしょうか? ぜひ調べてください。
(那覇市 むらさきイモ子さん)
謎の緑の集団 コザに出現!?
緑の衣装に身を包んだ集団がパレード? 面白そうじゃありませんか。お祭り大好きな調査員、さっそく調査開始です。
まずは、中央パークアベニューの商店街組織、沖縄市センター商店街振興組合に電話で問い合わせてみました。すると、「うちが主催しているイベントです」との回答。中央パークアベニュー事務局イベント担当の真栄田義人さんに話を聞きに行ってきました。
アイルランド大使館公認!
緑のパレードについて知りたいのですが。
「『セントパトリックスデイ』のイベントのことですね。アイルランドの守護聖人、聖パトリックの命日を祝う同国の祭典なんです」と真栄田さん。
この日はアイルランドのシンボルカラーの緑と祭りの象徴でもあるシャムロック(三つ葉)を身に着けて、お祝いをするそう。緑を身に着けるだけではなく、パブなどでは緑色のビールが出されるとか。
何でまた、沖縄市でアイルランドの祭典をするようになったのでしょう?
「以前、商店街にアイリッシュパブが2軒あり、各店舗でこの日になると、緑色の服を着たアイルランド系のアメリカ人などが集まって盛り上がっていたんです。それを見た沖縄市センター商店街の理事長が街を挙げて一緒にやらないかと声をかけたのがきっかけで始まりました」
「国際文化観光都市」を掲げている沖縄市。国際的なこのイベントは同市の目指す方向性に合致するという思いもあったそうです。
今年で9回目になる同イベントには、昨年は約2000人が参加したといいます。加えて、このイベントは沖縄県で唯一、アイルランド大使館公認というから、すごいです。
聖パトリック由来の祝典
もっと詳しく知りたくなった調査員。県内在住のアイルランド人、沖縄キリスト教短期大学英語科助教のマイケル・ブラッドリーさんを訪ねました。
聖パトリックってどんな人物なのでしょう?
「アイルランドにキリスト教を布教したとされる聖人です。3月17日が命日で国の祝日になっています。聖パトリックにまつわる伝説は数多くありますよ。よく知られているのは、アイルランドから蛇を追い出したとされる言い伝え。そのおかげで今でもアイルランドには野生の蛇がいないと言われています」
アイルランドには蛇がいないんですか? 初耳です。
また、セントパトリックスデーはキリスト教の四旬節(断食などを行う期間)の真ん中に当たり、その日だけは、食べたり、飲んだりすることが許される日だそう。
マイケルさんは、この日はどう過ごすのでしょう?
「私の出身地は、北アイルランドで、南部よりも祭りの規模は小さかったです。うちでは家族で食事に出かける程度でした」
実は、海外の方が盛り上がっているとか?
「正直、本国よりもアイルランド系移民の多いアメリカやオーストラリアなどの方が、盛大のように思います。アメリカではシカゴ川が緑色に染められたり、ニューヨークのパレードはすごい規模です。それをテレビで見てすごいなと感じていましたよ(笑)」
世界各地に広まっていったこの祝日。そんな遠い異国の祝日をさまざまなバックグラウンドの人たちと祝えるなんて、さすが「国際文化観光都市」の沖縄市。
今年の「セントパトリックスデイ2015」は沖縄市中央パークアベニューで3月15日(日)に開催されるそう。パレードや国際色豊かなパフォーマンスも楽しめるので、緑の物を身に着けて参加してみては。