「島ネタCHOSA班」2016年09月29日[No.1640]号
道路脇のガジュマルを切っている人がいて、聞けば「沖縄こどもの国」で飼っているインドゾウの親子の餌にするそうです。ゾウたちは、リンゴやバナナ食べているのではないのですか?
(沖縄市 ダイエット頑張るゾウさん)
ゾウの親子、主食はガジュマル!?
「沖縄こどもの国」は、昨年子ゾウが生まれて話題になりましたね。お父さんゾウの琉人(13歳)とお母さんゾウの琉花(16歳)、子ゾウの琉美(るび、1歳半)は、見るからに大食漢、毎日の餌作りも大変そう。
さっそく沖縄こどもの国の飼育課の普久原学さんに聞きました。
リンゴ、バナナはおやつ!
ガジュマルがゾウの餌というのは本当ですか? リンゴやバナナではないのでしょうか?
「ゾウが主食にしているのは、リンゴやバナナではありません。沖縄に自生している木や草なのです。バナナは、葉や茎を好んで食べます。水分を多く含んでいるので夏の貴重な食料です。インドで荷物を運んでいるゾウの隊列は、バナナが自生している道を選ぶことによって水分補給をしています。
ゾウが1日に食べる餌の量は、大人のゾウ1頭が150〜200キロ、子ゾウが約50キロ。餌あげ体験(有料・1回200円)で来園者にお渡しているリンゴ・島バナナ・サツマイモ・ニンジンは、ゾウにとってのおやつ。1日の食事量の1%程度で5キロ程度です」
沖縄に自生している草や木が主食とは意外です。
「ガジュマルやアカギ、菩提樹やイヌビワ、ヤシの木。草ならアシやゲットウです。これからの季節はススキやギンネムなども良く食べます。ゾウも旬を感じているようですね」
沖縄で自生している草や木が主食ならば、ゾウが市街地や農道で食べ歩きの散歩することはありませんか?
「さすがに市街地の散歩はありませんが、園内で自生する草や木を食べる様子を見る事ができますよ。ゾウの食事は、1時間に1回。園内の草木で全てが賄えるわけではありません。職員が2日に1回の餌採りをしています。明日は餌の調達日ですよ。同行されますか?」
沖縄の草、木は故郷の味
調査員は、翌朝午前9時、普久原さん、チンパンジーやカバを担当している山城剛さんと待ち合わせて、餌採りに同行しました。
チンパンジーやカバ担当も動員するんですね?
「食べる量が量ですので、ゾウ担当の4人に他の部署からも4人が助っ人に加わり、8人でローテーションを組んでいます」
調査員が同乗したトラックは、園に隣接したガジュマルの木の下に駐車。餌を採る場所は、主に公園や学校など公共の場所なのだそう。約10分でトラックの荷台一杯になったガジュマルの枝は、ゾウが待つ飼育舎へと運ばれました。
ゾウに餌の好き嫌いはあるのでしょうか?
「採れたての鮮度の良い餌が一番好きですね。ゾウは葉より茎を好んで食べます。直径5㌢程度の茎ならば、そのまま食べてしまいます。茎の中でも木の皮が一番の好物。わざわざ鼻で器用に皮を剝がして食べるほどです」
新鮮な餌はおいしそうですね?
「インドでは、ゾウは乾燥餌を食べていません。温暖な沖縄では、故郷インドとほぼ同じ種類の草や木を与えることができます。”鮮度の良い故郷の味“が食べられて、ストレスが軽減し繁殖にも良い影響を受けているのだと思います。日本でゾウの繁殖は、沖縄以外難しい状況だといえます。産後は母乳もしっかり出ています」
おやつは適量、主食は鮮度の良いものを。人間もゾウも変わらないと実感した調査員でした。