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[No.1687]

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「島ネタCHOSA班」2017年08月24日[No.1687]号

やんばるの山、なぜ形が独特

 この間やんばるに遊びに行った時、山がブロッコリーみたいな独特な形をしていたのが印象的でした。テレビなどで見る本土の山とはだいぶ雰囲気が違いますよね。なぜなのか調べてください。

(那覇市30代女性)

やんばるの山、なぜ形が独特!?

 山? ブロッコリー? そんな目線で沖縄の山を見たことがありません。
 沖縄の山の形を思い出そうにも、どちらかというと海が大好きな調査員、全然頭に浮かんできません。
 こんな時は、本物の山を見るのが一番。デスクワークを放り出し、思い切って現地に向かいました。

まるでブロッコリー

 まずは那覇から県道329号線を北上し、本島中部の山道をのぼっていきます。

 しかしながら、眼前に広がる山はというと……。ブロッコリーにも見えなくはありませんが、どちらかというと、普通の山の形にしか見えず、なんだか納得がいきません。こりゃ、もう沖縄が世界に誇る大自然の本場、ヤンバルの山を見に行くしかない! ということで、今度は大宜味村から国頭村にかけて再び車を走らせると、あったあった! どこもかしこも、まさにブロッコリーのような山たち。しかも、国道58号の西海岸線から東海岸に向かう横断道路や東海岸線沿いの東村にも、ブロッコリーの山がたくさん。感動のあまり、思わず「おー!」と雄叫びをあげてしまった調査員でした。

 はっと我に返って、まずは専門家へ電話してみることに。沖縄の植物に詳しい方といえば、この方。日本植物学会会員で農学博士の與志平尚さん。

 「ブロッコリーですか? 私のような専門家にはとてもブロッコリーに見えませんが、素人にはそう見えるかもしれませんね」と話し始める與志平さん。

 「沖縄の北部の森に多い木は『スダジイ』というのですが、山がブロッコリーに見えるのは、この木のような広葉樹が多いからだと思いますよ」とスダジイの木と葉を教えてくれました。

 「広葉樹は、光合成をするために枝を広げてたくさん光を受けようとします。それに対して、本土に見られるようなスギやヒノキのような針葉樹は、枝ぶりが上に向かって成長していくんです。雪が広葉樹の葉に乗っかってしまうと、重くて木が倒れてしまうでしょう? だから本土の針葉樹は枝が折れないように、雪が積もりにくい針のような葉の形をしているんです」。なるほど。自分が生きている場所の気候によって木の種類や葉の形が違うということですね。

 ちなみに與志平さんによると、沖縄本島でも地域によって植物の顔ぶれが変わるらしく、東海岸側は山地性の植物が目に付き、西海岸側は海浜植物が多いそうで、西原町から読谷村を境にして、生えている植物の種類が異なるそう。

自然遊びで植物を観察

 與志平さんに話を聞き、地域ごとに種類が変わる植物の様子を見ながら、のんびりドライブするのもいいなぁと思った調査員。が、週末ドライブの予定を立てたものの、植物の見分け方も、自然の中での遊び方も分からない……。

 そこで調査員が訪れたのは、東村慶佐次にある「やんばる自然塾」。到着すると、すぐに「こんにちは!」と快く迎えて下ったのは、副代表の島袋裕也さん。

 やんばる自然塾では、「やんばるの森トレッキング4時間」「やんばるの沢トレッキング3時間」など豊富なプログラムがあり、東村をよく知る村民か県民スタッフが、山の植物や歴史などを交えながら案内しているそう。

 やんばるの森の植物を観察しながら、鳥のさえずりと水の音、葉のゆらぎのなかでおにぎりを頬張っていると、悠久の時のなかでずっと人間を見守ってきた自然の姿が見えてきた調査員。ブロッコリーのような独特の形の山を生み出した、沖縄の自然の豊かさに感動を覚えたのでした。



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やんばるの山、なぜ形が独特
與志平尚さん
やんばるの山、なぜ形が独特
北部の森に多い広葉樹によって、やんばるの山はブロッコリーのようにも見えます
(写真:村山望)
やんばるの山、なぜ形が独特
スダジイの木と葉
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