「島ネタCHOSA班」2018年04月26日[No.1722]号
緑が勢いを増す季節ですね。この間、那覇市役所(本庁舎)に足を運んで気が付いたのですが、低層階を中心に、壁面を緑がけっこう覆っていますね。緑化計画の成果? 気になるので調べてください。
(那覇市 よりどりみどぅりさん)
那覇市役所の緑化計画!?
那覇市の中心・泉崎にスラリとそびえる那覇市役所本庁舎。地上12階、地下2階の規模を誇る白亜のビルディングも、ことしで落成から6年目を迎えます。
泉崎の風景にもすっかりなじんだ本庁舎ですが、言われてみれば、確かに緑が見え隠れしていたような気も……。
旧本庁舎の植物を移植
というわけで、泉崎に足を運んだ調査員。すぐには入り口に向かわず、まずは県庁側(東側)の壁面をチェック! 確かに、各階のベランダから、緑の植物が見え隠れしています。
状況を確認しやすい下層階を見ると、窓の外側に、植物をはわせるフェンスが設けられており、中にはブーゲンビレアがツタを絡めている場所も。
緑の育ち具合には若干のばらつきがあるようで、緑が濃い部分と薄い部分が見られますが、おおむね低層階のほうが元気に茂っているようです。
「本庁舎ができた時から、ツル性植物で壁面を覆う計画がありました」と、那覇市役所総務部管財課・庁舎管理グループ主幹の山城興伸さん。
壁面緑化のコンセプトは、4つあるとのこと。順番に説明していきましょう。
まず1つ目は、「庁舎を日光から遮り、省エネルギーを推進」すること。緑のカーテンで覆われることで、室温が下がるという話はよく耳にしますよね。エアコン代の節約にもつながり、エコです。
2つ目は「ストレス緩和の推進」。身近に緑があると、心がホッと安らぐのは、誰もが経験することだと思います。
3つ目は「地域特有の植物や芳香植物など、亜熱帯沖縄の特徴を生かした魅力ある植栽」。言い換えれば、沖縄ならではの植物をたくさん植えるということ。壁面緑化に利用される植物を含め、本庁舎には90種以上もの亜熱帯植物が植えられているそうです。
そして4つ目は「旧庁舎にあった植栽の移植」。読者の皆さんの中には、2009年に閉庁した那覇市役所旧本庁舎の壁をブーゲンビレアとアマミヅタが見事に覆っていたことを覚えている方も多いと思います。
これらのツル性植物をはじめ、クロキ、ガジュマル、フクギ、ゲッケイジュ、ホウオウボク、シンノウヤシなど、旧本庁舎にあった植栽は、可能な限り保存する試みがなされました。
県内各所の学校や公園などの公共施設に移植された樹種もありますが、ブーゲンビレアとアマミヅタについては、「緑の里親」と呼ばれるボランティアが鉢を預かり、新本庁舎完成時に返却したそう。個人、企業、公共施設等の50人の皆さんが鉢を大切に預かり、新しい本庁舎に再移植されたのだそうです。知りませんでした!
高層建築特有の悩みも
一方、新本庁舎の緑化計画には思わぬ問題も。「本庁舎は12階建て。上層階は風が強く、植物の成長が思わしくないんです」と管財課の主査・世名城盛勝さんは話します。うーん、高層建築ならではの悩みですね。
「風の影響をあまり受けない吹き抜け部分には、ポトスが成長しているんですけどね」
吹き抜けに案内してもらうと、外の壁面に比べると緑が豊か。風がなければここまで育つのに、少しもったいないですね。
「那覇市では、2018年から始まる第5次総合計画でも、『自然環境と都市機能が調和した住み続けたいまちNAHA』を掲げています。風や台風に強い植物を研究し、今後も緑化計画を進めていきます」と世名城さん。
本庁舎が今よりもっと緑でいっぱいになる日に期待しましょう!