「島ネタCHOSA班」2018年05月31日[No.1727]号
琉球新報の新本社ビルが、いよいよ本格始動しています。琉球新報の副読紙である週刊レキオでも、この一大トピックを見逃すわけにはいきません。そこで今回は、島ネタCHOSA班の特別編として、調査員が新本社ビルを探検。「新本社ビルCHOSA班」と題し、その見どころに迫ります。
見どころ満載新ホール!
響きの秘密は壁にあり
いよいよ扉を開け、ホールの中へ。座席数は606席。ズラリと並ぶ赤いシートが圧巻です!
舞台は幅も奥行きもひろびろ。「舞台の大きさが必要なバレエコンクールやダンス系のイベントでは、せり出しの舞台を設置することもできますよ」と仲原さんは特徴を解説。「そのため、前方の238席は収納可能な移動観覧席になっています」
へぇ〜、そんな仕組みが!
ホールのもう一つの見どころは、「壁」。壁面には、長方形の凹凸がつけられています。これ、じつは単なる装飾ではありません。演奏を効果的に響かせるため計算された形なんだそう。
「リハーサルで使用した皆さんも『音の響きがよく、奥まで声が届く』と驚かれていましたよ」と仲原さんは胸を張ります。
さらにホールには、世界中のピアニストから人気のあるスタインウェイのピアノも設置されていますが、現在はお披露目に向け、調律などの調整をしながら専用ピアノ庫に保管しているとのこと。
緞帳にこめられた数字
舞台を飾る緞帳(どんちょう)は、沖縄を代表する画家の一人・ウエチヒロ氏が原画を担当。「星のブランコ」と題したファンタジックな作品です。琉球弧の伝統的な文様を取り入れつつ、現代的な感覚でまとめられたデザインに魅了されます。
「絵柄には、明治まで沖縄で使用された算用数字『スーチューマ』も出てきます。琉球新報創刊日の『1893年9月15日』や、新本社ビルが完成した『2018年』を表しています」と仲原さんがちょっと種明かし。「過去から未来へつなぐという思いがこめられた、すてきな作品だと思います」
過去からつながる「未来」も、新本社ビルの大事なコンセプト。100年後を見据えた文化の殿堂として、「沖縄を代表する情報発信拠点」「文化の懸け橋=階(きざはし)」を目指しているのです。
外観照明にも注目
調査の締めくくりとして、調査員は、夜になって再び新本社ビルを訪れました。すると…。明るくライトアップされた新本社ビルが! その姿はまるで夜空に浮かぶ琉球帆船のようです。
外観照明のデザインは、東京スカイツリーの照明を手掛けたシリウスライティングオフィスの戸恒浩人(とつね・ひろひと)氏が担当。
時代の先端を進む帆船のような新本社ビルを眺めつつ、沖縄の未来にしばし思いを馳せた調査員なのでした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
社員の声を聞きました
新本社ビル6〜10階の事務フロアに通う社員に印象を聞いてみました。すると「オフィス街なので飲食には困らない」「営業先が近くなった」と優れた立地を喜ぶ声が。
モノレールやバス通勤に切り替えた社員も多くいますが、「交通渋滞に巻き込まれないので精神衛生上いい」「バス通勤は1時間かかってしまうけど、通勤時間を利用してスマホアプリを使って英語の勉強を始めました」とポジティブにとらえている様子。エコや渋滞解消にもつながりますね。
事務フロアの雰囲気については、「天井が高くなり窓も広いおかげで開放感を感じながら仕事に取り組めている」「机やイス、什器類(じゅうきるい)が一新され、統一感があり気持ちいい」との感想。「ホール、ギャラリー、1階の公開空地が県民のオススメスポットと言われるよう楽しいことをしていきたいです」と、意気込みを見せました。