「島ネタCHOSA班」2018年08月23日[No.1739]号
8月に入ってから近所でトンボが大量発生していますが、あのトンボの正体は何でしょう。例年より多い気がするのですが、実際はどうなのでしょうか。気になるので調べてください。
(宜野湾市 虹色眼鏡さん)
トンボ大量発生の謎!?
調査員の周りでもトンボの大群を見たという人が多く、話題になっていました。おびただしい数のトンボが飛翔していましたよね!
大量発生の謎を知りたい! というわけで、トンボの生態に詳しい人に聞いてみましょう!! 「沖縄のトンボ図鑑」(いかだ社)の著者で、沖縄昆虫同好会会員の小浜継雄さんのもとに向かいました。
コスモポリタンなトンボ
トンボが大量発生していますが。
「毎年のこと。この時季、特に8月はトンボがたくさん見られるのが普通です」と即答する小浜さん。
あら、そうなんですね。先日見たトンボのインパクトが強すぎて、去年の印象が薄れているのかもしれません。
トンボの種類を尋ねると「ウスバキトンボ」と教えてくれた小浜さん。トンボ図鑑で写真を見ると体色が薄オレンジ色で、確かにこの種類のような気がしますが、なぜすぐに同定できたのでしょうか?
「ウスバキトンボの特徴は群れで移動すること。他の種類は群れをなして飛ぶことはほとんどありません。このトンボは熱帯や亜熱帯地方から、南風に乗って海を渡り長距離移動し、ほぼ全世界に分布しているコスモポリタンの種類。街中でもどこでも群れで飛んでいるという、ある意味特別な種類です」
調査員が目撃したのも市街地でした!
ウスバキトンボは、全長5㌢ほどで、お腹は薄オレンジ色で背面に赤みがあるトンボ。成熟するとオスのほうが赤みが強くなるそうです。産卵から成虫になるまで約1カ月と、短期間で成長するとのこと。ほかのトンボは通常1年かかるものもいるので脅威的な早さです!
また、寒さには弱く、日本で幼虫(ヤゴ)が越冬しているのが確認されたのは、これまでの調査では八重山諸島だけだといいます。
8月に多くなる訳は
8月に突然多くなるのはなぜでしょう。
「春に南方から飛来し始め、5〜6月頃から成虫が現れ出し、8月になると多くなります。また、南風が多い夏の時季に、季節風に運ばれながら移動し、どんどん渡ってきます。南方から来た群れと沖縄で羽化した成虫が混ざり大群になっている可能性があります」
そのほかにも、風が収まって、吹きだまりになっているような所に集まっていると推測されるそう。
「低気圧や台風にも乗ってやってくるといわれています。沖縄でも『カジフチダーマー』(風吹きトンボ)という方言名で古くから親しまれています」
なるほど、よく「台風が近づくとトンボが増える」といいますが、当たっているんですね。
雨の後にできる一時的な池などでも繁殖できるというウスバキトンボ。移動中、風が収まった時に、パッと止まって産卵して移動していくそう。オス・メス連なって産卵します。「水面と反射率が近いビニールハウスや車のボンネットに勘違いして産卵することもあります」
おっちょこちょいな一面もあるんですね!
また、ウスバキトンボを「赤トンボ」と呼ぶ人がいるのですが、正確な赤トンボではないのだとか。アキアカネ、ナツアカネ、ミヤマアカネなど、アカネ属に分類される種類が本来の赤トンボで、沖縄には生息していないそうです。
ウスバキトンボを「流浪の民、移動するのが人生」と語る小浜さん。身近なトンボの生態を知り、トンボにもさまざまな特徴があると学びました。今度は、図鑑片手にトンボ観察に出かけようと思った調査員でした。