「島ネタCHOSA班」2018年12月06日[No.1754]号
ウチナーグチで歌われているクリスマスソングがあると聞きました。興味があるので調べてもらえませんか?
(那覇市 クリスマスが楽しみな来間さん)
方言のクリスマスソング!?
クリスマスソングは数あれど、ウチナーグチで歌われている曲はこれまで耳にしたことがありません。いったいどんな曲なんでしょう?
ポップス調の楽しい曲
調べたところ、インターネットの動画再生サイト・ユーチューブで、その曲が聴けると判明。曲のタイトルは「サンラークルーシュー」。再生をはじめると、楽しげなイントロが流れてきました。沖縄音階と三線を用いながらも、ポップス調にアレンジされていて、思わずリズムに合わせてウキウキと体を動かしたくなってきます。
ほどなく「♪サンラークルーシュー〜」とボーカルが始まりました。歌っているのは、小学校低学年ぐらいの子どもたちでしょうか。かわいい声で「♪クリスマスにないどぅんしぇ〜」と歌います。「童ぬ為 世間ぬ為 はまゆんどー 島尻中頭山原とぅ あは走いくま走い 忙し者… (子どもの為 みんなの為に動き出す 島尻中頭山原とあっちこっち駆け巡って忙しい)」と続く歌詞は、全編すべてウチナーグチ。覚えやすく、親しみやすいメロディーに乗せて歌われていきます。
ところで、サンラークルーシューってどういう意味なんでしょうか。直接会って話を聞こうと、作詞・作曲を手がけた仲宗根創さんのもとを訪ねました。
沖縄サンタの活躍歌う
「ウチナーグチのクリスマスソングがなかったので、子どもたちにメッセージをこめて面白い曲を作れればと思って2014年に作りました」と仲宗根さんは爽やかな笑顔で話します。
仲宗根さんは、民謡好きの祖父の影響で、3歳から民謡の稽古を始めたという生粋の唄者。11歳で琉球民謡コンクールの新人賞に輝き、13歳で照屋林賢氏のプロデュースによりCDデビューを飾ったという輝かしい経歴の持ち主です。金城秀之氏・松田弘一氏・登川誠仁氏に師事し、現在は沖縄市美里の自宅で教室を開いています。
ボーカルを担当したのは、教室に通うあやなさん(当時9歳)、たいがさん(当時6歳)の2人。グループ名は「黄金の子ども」を意味する「クガナーズ」で、アレンジは県内で活躍中のバンド『ザ・ブルー・スカイ・キックス』の石川一機さんに依頼したそう。
伝統を重んじながらも、ポップスやキッズソング、イベントテーマ曲の作曲など、民謡とポップスの融合を目指す活動も行う仲宗根さん。ウチナーグチのクリスマスソングもその一環だといいます。
「曲名の『サンラークルーシュー』は、『三良(サンラー)という色の黒いおじいさん』の意味。歌詞の内容は、子どもたちの笑顔が大好きなおじいちゃんが、子どもたちのためにお菓子を配り、家庭の幸福を願って島唄と三線を披露するというものです」
サンラークルーシューが配るのは、ポーポーなどの沖縄菓子。「のーまんじゅうも歌詞に入れたくて、首里の儀保まんじゅうさんにあいさつに行きました」と仲宗根さんは笑います。
4番まである歌詞は、「子どもたちに純粋な心を忘れてほしくない」という仲宗根さんの思いを込めて、「清らさる心ぬ童んちゃー いちまでぃん 親ぬ寄事忘んなよー 沖縄の心忘んなよー(きれいな心を持った子どもたちよ いつまでも 親の教えを忘れないでね 沖縄の心を忘れないでね)」との言葉で締めくくれられています。
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曲はユーチューブで一般に公開されているほか(インターネットで「サンラークルーシュー」と検索)、CDの販売もあり。「希望があれば県内各地のイベントにも演奏しに行きますので、お声がけください」と仲宗根さん。皆さんも、ぜひ「サンラークルーシュー」を聞いてみてくださいね。
仲宗根創琉球民謡研究所
☎090(6865)8201