沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1774]

  • (金)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2019年04月25日[No.1774]号



 キャンピングトレーラーを改装した移動式の床屋があると聞きました。定期的に場所を変えて、海辺などで営業しているそう。勇気がない私のために、ぜひ調査をしてください!

(沖縄市 ジャイアント・バーバーさん)

絶景を臨む移動式の床屋!?

 移動する床屋ですか? ヘアカットと同時に自然を楽しめてしまうとは、なんとぜいたくな!

 ネットで調査すると、3Murai Life & 3Cafe(サムライライフアンドミカフェ)というお店だと判明しました。連絡すると、取材当日は読谷村の渡具知ビーチに出店とのこと。さっそく現場に向かいました!

トレーラーで移動

 ビーチに到着すると、海の目の前に佇むキャンピングカーを発見。こ、これが床屋なのでしょうか?

 恐る恐る中をのぞき込む調査員を出迎えてくれたのは梶田貴伸さん。この床屋さんはアメリカから輸入したトレーラーハウス「エアストリーム」を改装したのだといいます。店内は開放的な空間。大きなフロントガラスからは青い海が一望できます。

 こんなユニークなお店がオープンしたのは2018年2月。これまでに、渡具知ビーチの他、残波岬、海中道路など、絶景スポットに赴き、出店してきたといいます。

 メニューもカットはもちろん、パーマ、カラーもでき、設備も充実。「妥協はしたくなかったんです。お客さんをがっかりさせたくなくて、機材も自分がこれと思うものを買いました」と梶田さん。こだわりを貫いています。

 7年前に沖縄に移住してきたという愛知県出身の梶田さん。なぜ、沖縄で移動式の床屋を始めたのでしょう。

 「結婚後すぐに夫婦でオーストラリアに留学し、自然の豊かさを知り、こんな所に住みたいと思ったんです」。技術があれば、オーストラリアに戻っても仕事ができると、帰国後理容師の道に。しかし、ビザなどの問題で、渡豪が困難になる中で、「夢の中に沖縄っていうワードが出てきたんです」と梶田さん。

 なんとドラマチックな展開! その後、家族と共にきれいな海のある沖縄に移住。読谷村のサロンで働きながら、独立を目指したといいます。

海の前で仕事がしたい

 梶田さんは移住当初、トレーラーでの営業は考えてなかったそう。

 「海を見ながら仕事をしたかったので、海の真ん前の物件を探していましたが、なかなか見つからなかったんです。僕が求めているものは、潮の満ち引きや地平線に沈むサンセットが見えたりすること。一番大事なのは人工物が視界に入らないこと。かなりハードルが高かったですね」と振り返ります。

 物件探しが難航していたある日、雑誌をめくっていると、「モバイルバーバー」というキャンピングレトーラーで町から町に移動しているアメリカの床屋を目にしたといいます。

 「このスタイルでビーチを移動しながらお店をやったらできるなと、頭の中で構想ができて、すべてが一気につながったんです」

 そして、移動式の床屋を思いついてから10カ月でオープンにこぎつけたという梶田さん。見事な行動力で突進し、数々の壁を乗り越えていきました。

 オープンから1年以上経ちましたが「お客さんは1年間で1500人ほど来てくれました」と言います。1年目でそれだけのお客さんが来てくれるなんてすごい!

 「SNSなどを見てくる人や、たまたま海に来ていた人が寄ってくれることも。旅行中のドイツ人ファミリーをカットしたこともありました」。訪れる人には、とっておきのスポットになっているはず。

 出店場所の情報はSNS、ホームページなどにアップしているそうなので、興味のある人はぜひチェックしてみてください。



3MuraiLife & 3Cafe
☎090-6637-3704
https://www.3murai.com/

このエントリーをはてなブックマークに追加


絶景を臨む移動式の床屋
梶田貴伸さん
絶景を臨む移動式の床屋
大きな窓ガラスからは海が見渡せます。視線を遮るものは何もありません!
絶景を臨む移動式の床屋
お店の外観。妻の美香さんが提供するカフェメニューもあり、飲み物やサンドイッチなどのメニューがそろいます
絶景を臨む移動式の床屋
お客さんが楽しめるようにと、店内にはDJマシーンや楽器も設置
>> [No.1774]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>