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[No.1858]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2020年12月17日[No.1858]号



 11月17日ごろ、沖縄自動車道を南下中、金武ICあたりの上空でV字の隊列を組んで飛んでいる、十数羽の鳥を見ました。枕草子などで登場する雁が来ているのでしょうか? 気になって仕方ありません…。

(名護市 いっちゃんさん)

金武ICで見た冬鳥の正体は!?

 越冬のため、本土や大陸から渡り鳥がやってくる季節になりました。琉球新報本紙でも、時折、渡り鳥関連のニュースが紙面をにぎわせていますね。

雁ではない?

 さて、今回の調査依頼についてですが…。依頼者のいっちゃんさんが目撃した「V字の隊列を組んで飛行する鳥」の正体はいったい何なのでしょう? いっちゃんさんが推測するように、雁なのでしょうか?

 調査員は、県内の野鳥に詳しい沖縄県鳥獣保護管理員の糸数多寿子さんに話を聞くことにしました。

 調査依頼のメールは文字のみで画像は添付されていなかったのですが、糸数さんに内容を伝えたところ、「それは雁ではなく、おそらく『カワウ』だと思います」とほぼ即答。

 ええーっ、どうして画像も見ていないのに分かるんですか!?

 「まず雁は、沖縄には大きな群れでやってくることはほとんどありません」

 えっ、そうなんですか。ちなみに、雁とは、カモ科の鳥のうちのガン類の総称。カモより大きく、ハクチョウより小さいもの、なおかつ雌雄が同型同色のものをガンと呼んでいるのだそうです。まれに渡りのコースから外れた「迷鳥」(めいちょう)としてガンの仲間が飛来することはあるそうですが、ニュースになるほど珍しいのだそうです。

 「この鳥が目撃された金武ICのそばの金武ダムの湖面には、カルガモやオナガガモも渡ってきています。飛んでいたならカモ類の可能性もありますが、カモは飛んでいてもあまり目につかないんです」

 ふーむ…。

 「となると、カモと同時季に渡ってくる『カワウ』である可能性が極めて高いと思います」

 カワウとは、毎年10月ごろ、冬鳥として、県内各地の海岸やダム湖などにやってくる渡り鳥。漢字で表記すると河鵜または川鵜となります。

 ウというと、ウに魚を捕えさせる鵜飼いが有名。厳密には、鵜飼いで訓練されるのはカワウとは少し異なるウミウ(海鵜)という種類だそうですが、両者の姿は酷似しているとか。

 カワウはカモより大きく、ガンと大きさが近いので、ガンだと思ってしまうのかもしれません。

沖縄は冬鳥の楽園

 「実は、カワウはこの10年ほどで、沖縄でもたくさん見かけるようになってきたんです」

 えっ、それはどうしてなんでしょう。

 「理由ははっきりは分かりません。ただ、近年、繁殖地である本土で数が増えています」

 なるほど、それで沖縄でもよく目にするようになってきたんですね。そういえば、2日付の琉球新報本紙にも、名護市の真喜屋ダムにカワウが飛来したという記事が出ていました。

 「カワウは木の上をねぐらにしています。金武ダム周辺の樹木もねぐらにしていて、朝夕には集団で飛んでいるのをよく見かけますよ」

 「沖縄では約500種類もの野鳥が確認されていますが、その9割が渡り鳥。しかも、冬にやってくる水鳥(冬鳥)が多いのが特徴です。これからの時季はバードウオッチングにピッタリですよ」と糸数さん。

 初心者には、いろいろな水鳥を間近に観察できる豊見城市字与根の三角池(第一遊水池)や、同市字豊見城の漫湖水鳥・湿地センターの木道の観察台などがオススメのスポットだそう。この冬は、バードウオッチングを始めてみるのもいいかもしれませんよ。



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金武ICで見た冬鳥の正体は
糸数多寿子さん
金武ICで見た冬鳥の正体は
編隊で飛ぶカワウの群れ=11月下旬、金武ダム。村山望撮影
金武ICで見た冬鳥の正体は
カワウは、体が黒色でくちばしの基部が黄色いのが特徴。村山望撮影
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