「島ネタCHOSA班」2021年02月04日[No.1865]号
県産野菜をたくさん食べているとインフルエンザにかかりにくい…? 今回、島ネタCHOSA班では、そんな情報をキャッチしました。情報のもとになるデータは? そしてその理由はいかに!?
県産野菜にインフル予防力が!?
野菜に含まれる栄養素が、私たちの健康に欠かせないことはよく知られていますよね。しかし、県産の野菜でインフルエンザにかかりにくくなるというデータがあるとは驚きです。
根拠となるデータは…
根拠となるのは、医療法人陽心会 大道中央病院の権田憲士院長が採取したデータです。福島県立医科大学 特任教授でもある権田院長は、沖縄の動植物に備わっている健康パワーに注目し、さまざまな研究を行っています。
今回ご紹介するのは、そんな研究の中で得られたデータ。現在、海外の雑誌に結果をまとめた論文を投稿中とのことですが、一足先に内容を教えてもらいました。
権田院長は、県産野菜が健康に及ぼす影響を調べるため、大道中央病院への外来患者のうち、インフルエンザのワクチン接種を受けていなかった人153人を調査。沖縄で採取された県産野菜を日常的によく食べている人と、あまり食べていない人に分類し、インフルエンザの罹患(りかん)率をチェックしました。すると、「県産野菜をよく食べる人のほうがインフルエンザにかかりにくい」という結果が出たといいます。
具体的には、県産野菜を食べている人61人中、インフルエンザに罹患したのは17人。一方、県産野菜を食べていない人92人中では、73人が罹患。その差は明らかです。
ポリフェノールが鍵?
では、なぜインフルエンザにかかりにくくなったのでしょうか。権田院長は、県産野菜をよく食べる人、あまり食べない人の体に含まれる抗体の量を調べました(抗体は細菌やウイルスから体を守る働きを担います)。
すると、食べている人のほうがIgAという抗体の数が平均で約2倍多いことが分かったと言います。
なぜ県産野菜を食べると抗体が増えるのか、詳しいメカニズムは分かっていないそうですが、沖縄で栽培された野菜に含まれる豊富な各種ポリフェノール(植物が紫外線など周囲の環境から自身を守るため合成する抗酸化物質)が関与しているのではないか、と権田院長は推測します。
「沖縄で採取された野菜、というのが重要でした。同じ野菜であっても、県産と県外産では、含有されるポリフェノールの量が違います」。沖縄の強い紫外線から身を守るため、ポリフェノールをより多く合成しているのではないかと思われるそう。
権田院長が沖縄で採取したゲットウ、ユキノシタ、ボタンボウフウ(長命草)、ヤマグワ、ハンダマ、トウガン、ゴーヤー、シークヮーサーについて調べたところ、いずれも豊富な各種ポリフェノールが含まれることが判明。とりわけゴーヤーではルチン、ハンダマではフェノール酸、カロテノイド、アントシアンの含有量がきわだっています。
「ハンダマは、ものすごい量のポリフェノールを含んでいます。しかし季節性の野菜ということもあり、ポリフェノール摂取量を計算すると、インフルエンザにかからなかった人でも1日平均7〜100㍉㌘に満ちませんでした。もう少し食べていただきますとかなり効果的です」
ちなみに、こちらの研究で野菜をよく食べている人として分類されたのは、年間300日以上、1日200〜300㌘の県産野菜を食べていた人。量をしっかり食べることも大切なのですね。
もちろん、野菜だけで健康になるわけではありませんので、睡眠、適度な運動、手洗い、マスク着用など、さまざまな感染対策にも気を配り、この冬を元気に乗り越えてくださいね。調査員もハンダマをたくさん食べようと思います!