「島ネタCHOSA班」2021年04月29日[No.1877]号
友人が、カラフルな深海魚のブローチをかばんに付けていて、ユニークなので自分も欲しくなりました。ふわふわしていて、羊毛を使っているそうです。本部町の古民家で販売を始めたということなのですが…?
(宜野湾市 アノマロカリスさん)
ユニーク動植物が羊毛ブローチに!?
依頼文にはさらに続きがあり、タコ、オウムガイ、リュウグウノツカイ、オオゴマダラ、ドラゴンフルーツ、恐竜…などの羊毛ブローチがあるとか。うーむ、ますます訳がわかりませんが、面白そうなのは確かです!
古民家にショップ開設
依頼者とそのご友人にもっと詳しく話を聞いてみたところ、店名は「つむぎ屋」さん。県内のイベントなどに出品し、SNSなどの口コミで人気が広まっていたそうです。
これまではイベントのほか、卸販売やネット通販が主でしたが、ちょうど今月、本部町具志堅の古民家にお店をオープンしたばかりなのだとか。
「つむぎ屋」代表の神里菜月さんの連絡先を教えてもらい、お店を訪ねてみたいとお伝えしたところ、「少し入り組んだ場所にあるので、近くに着いたら迎えにいきます」とのお返事。
指定された場所に車を駐車し、待っていると…。現れたのは菜月さんの長男・湊斗さん。小学校3年生の元気な男の子です。湊斗さんは、走りながら調査員の車をお店へと先導してくれました。
着いたのは、すてきな古民家。中に入ると、壁一面に羊毛のブローチが並んでいました!
小3息子がプロデューサー
ブローチのモチーフになっているのは、カラフルな動植物。羊毛を使っているだけあって、モコモコと愛らしく、見ていると楽しい気持ちになります。
約200種類あるというモチーフはなかなかユニーク。フラミンゴやマントヒヒなどと一緒に、深海生物であるミドリフサアンコウやメンダコ、猛毒の生物など、普通に考えてまずブローチにはしないだろう…というマニアックな生き物たち。なぜこんなラインアップを?
「実は息子の湊斗が生き物好きで、私も影響されたんです(笑)」と制作者の菜月さん。2歳の頃から魚などが大好きだった湊斗さんを喜ばせようと、湊斗さんが好きな生き物の羊毛ブローチを作るようになったのだとか。
「好きな形にカットしたフェルトの上に、さまざまな色を染めた羊毛を専用の針で刺して固定させる『羊毛刺しゅう』という技法を使っています。自由度が高く、いろいろな形が作れるんですよ」
手芸というと、縫っていくというイメージがありますが、縫う作業は伴なわず、針を刺して羊毛を絡めていくだけ。あたかも絵を描くような感覚で作れるのだそうです。
羊毛ブローチにはティラノサウルスをはじめとする恐竜のシリーズもあり、これも湊斗さんの影響。印象的な藍色は、やんばるの山奥「オーシッタイ」で藍の生育、染色に取り組む「藍ばたけ」さんが染めた琉球藍染なのだそうです。
モチーフは湊斗さんが「こんなの作ってみたら?」と提案することも多いといいます。いわば、プロデューサーというわけですね。「作ってみて、『違う』とダメ出しされることもあります」と苦笑する菜月さん。
なかなか厳しいプロデューサーの湊斗さんですが、一方で「本当に画用紙に描いているようなブローチをフェルトと羊毛で作れるのはすごいと思う」と称賛の言葉も!
菜月さん側でも、「昔は魚は魚としか思ってなかったのに、湊斗が世界を広げてくれた」とニッコリ。そんな息のあった二人が生み出す独特の世界を皆さんも見にきてくださいね。
つむぎ屋
本部町具志堅143番地
営業時間=月〜金 10時〜15時、土日祝はインスタグラムDMで予約制
GW祝日営業 5月1日(土)9時〜15時、2日(日)11時〜14時、3日(月)・4日(火)11〜15時
Instagram @tsumugi.ya