「島ネタCHOSA班」2023年02月09日[No.1970]号
北部在住の映画好きです。先日友人から「やんばるシネマ」という グループがあり、定期的に名護市で上映会を開催していると聞きまし た。ぜひ調べてください。
( 国頭村 クリキントン・イーストウッド)
映画館のない名護で上映会!?
2005年に北部唯一の映 画館「名護シアター」が閉館し て以来、北部には映画館がな いと聞いていた調査員。そん な北部で上映会を行っている グループがあるとは初耳です。 さっそく話を聞きに名護市に 向かいました。
名護市で月1回開催
インタビューに応じてくれ たのは「やんばるシネマ」代表 の豊島晃司さん。2017年 に北海道幕別町から名 護市に移住してきた豊 島さんは、発足当初から のメンバーです。
活動を始めたきっかけは「名 護市に住むことになり、映画 サークルをつくりたいと思っ た」から。力になってくれそう な人たちを知人に紹介しても らい協力を仰いだといいます。
実は豊島さん、北海道時代 は高校教師の傍ら、自主上映 グループの代表を何十年も務 めていた人でもあります。そ の後、縁あって古くて小さな 映画館「CINEとかちプリ ンス劇場」を2003年に買 い取り、そこを拠点に活動。月 に4日間上映するスタイルだ ったという同館は、老朽化で 12 年に閉館したといいます。
17 年に発足したやんばるシ ネマの第1回目の作品は老夫 婦のスローライフを追った『人 生フルーツ』。会場の名桜大学 ホールには北部在住の人を中 心に250人以上も集まりま した。一時は中断していたも のの、 22 年3月に再開を果た したやんばるシネマ。現在は メンバーの入れ替わりを経て、 8人の有志で運営していると いいます。
上映会は主に名護市立中央 図書館のAVホール(収容人 数約130人)を会場に、基本 毎月第3土曜日に開催。「でき るだけたくさんの人に見てほ しいので、入場料は大人80 0円、大学生500円、高校生 以下は無料に設定している」 そうです。
これまでに上映した作品は、 インディペンデント系の映画 が中心。アフガニスタンで人 道支援に献身した医師・中村 哲の半生に迫った「荒野に希 望の灯をともす」や、政治風刺 ネタで知られる芸人・松元ヒ ロを追った「テレビで会えな い芸人」、沖縄関連の映画など を紹介してきました。機材が ないため今はかなわないもの の、今後は「メジャーな作品も やりたい」と豊島さんは話し ます。監督や出演者などを招 いたトークショーを開催する など、貴重な機会も提供して います。
他地域の巡回も予定
「荒野に希望の灯をともす」 は、依頼を受け、他の北部地域 や中南部でも上映会を開いて きました。作品を広めたいと いう思いもあり「県内を一巡 したい」と意気込みます。
調査員も1月下旬、名護の 上映会の様子を見に行ってき ました。その日は、香港の民主 化デモをテーマにしたドキュ メンタリー映画「B L U E ISLAND 憂鬱之島」を上 映。北部在住の中高年世代を 中心に 20 代〜 80 代の観客、 30 人弱が来場しました。上映後、 観客たちに話を聞くと、「映画 が好きでよく来る」「名護には 映画館が必要」「子どもたちに 映画館を体験させたい」「一番 近い映画館でも中部なので助 かる」「映画はスクリーンで見 たい」など、さまざまな思いを 話してくれました。かつて存 在した名護シアターのことや 過去に自主上映会に奮闘して きた人たちのことを知る人も いて、貴重な話も聞くことが できました。
これからも良い映画を上映 していきたいという豊島さん は「若い人たちが連れ立って 来てくれるような上映会が最 大の課題」と話します。動画配 信などで映画を見る機会が多 かった調査員でしたが久々に スクリーンで映画を体験し、そ の迫力を堪能しました。北部在 住の人もそうでない人も、映画 好きな人はHPで上映情報を チェックしてみてください。
やんばるシネマ
https://yanbaru-cinema.jimdosite.com
※上映作品、スケジュールなどの詳細はHPを参照
☎090‐9081‐1597(豊島さん)