「島ネタCHOSA班」2023年06月01日[No.1986]号
先日、北中城村の中村家住宅に行った時、川柳ポストというものを見つけ ました。シーサー型のポストで、村内数カ所に置いてあるそうです。気にな るので、ぜひ調べてください。
(宜野湾市 大江センリュー)
北中城村に点在する川柳ポスト!?
川柳ポストですか。しかも シーサー型とはユニークです。 調べると、北中城村の川柳句 会「北中城三水会」が設置した と判明しました。4月から「レ キオ川柳・レキオ琉歌」の連 載を開始した週刊レキオとし ては調査せねば! ということ で、「北中城三水会」の花崎為 継会長と世話役の新垣秀昭さ んに会いに行ってきました。
村内6カ所に設置
シーサーポストが設置して あるという中村家住宅で2人 と合流。中村家住宅のお土産 品店前にはシーサーの形をし た「川柳ポスト」が置いてあり ます。調査員がポストをまじ まじと見ていると、「(シーサ ーの)口から投函して、背中か ら取り出すことができる」と 新垣さんが仕組みを説明して くれました。楽しく投句がで きそうです!
川柳ポストを始めた三水会 は北中城村文化協会に所属し ている人たちが2013年に 発足した川柳句会で、現在9 人が所属しています。
「毎月第3水曜日に集まって 川柳を披露し、批評し合って 楽しむ句会で、愉快な仲間が 集まっている」と笑顔を見せ る花崎さん。「全国でも珍し く、夜に酒を飲みながら句会 をやっている」と新垣さんも 続けます。コロナ禍の3年間 はメールで句会を開いていた そうですが、川柳をさかなに 楽しんでいる様子が伝わって きます。
「川柳の里」を目指して
そんな愉快なメンバーがそ ろう三水会が2016年から 展開しているのが北中城村の 村民提案制度を活用した「川 柳の里づくり」事業。川柳を沖 縄で広めたいという思いがき っかけとなりました。花崎さ んは「沖縄の人はとってもユ ーモア精神がある。それなの に川柳が普及せず、『川柳不毛 の地』といわれている。沖縄こ そが川柳王国にふさわしい」 と普及への意欲を見せます。
そこで三水会は北中城村を 川柳の里にしようとシーサー 型ポストの設置・運営の他、 シンポジウムを開催してきま した。川柳ポストは助成を得 て、村内の6人の陶芸家に依 頼し作ってもらったそうです。 中村家住宅の他、あやかりの 杜、イオンモール沖縄ライカ ム、北中城村役場など村内6 カ所に置いてあり、それぞれ 作風の違うポストになってい ます。
ポストには県内外から毎年 200句以上が投句され、3 月下旬にはその中から天賞、地 賞、人賞と五客、合わせて8句 が入賞句として選出されます。
「入賞作品の表彰式と園遊会 が国指定重要文化財の中村家 住宅の中庭で行われる」と新 垣さん。同住宅の協力により、 伝統的な場所で表彰式が実現 できているそう。入賞者には 表彰状や副賞の陶芸作品が授 与されます。また、表彰式の後 は入賞者を囲んで”園遊会“と 称するささやかな祝賀会を開 いているそうです。
これら8句の入賞作品は展 示もされるといい、「陶板に焼 き付けた一枚一枚の句を中村 家住宅通りの壁面に貼付して、 半永久的に鑑賞していただく」 と花崎さん。壁面には初年度 からの作品がずらりと並んで います。ずっと残り続けてい るなんてすごい栄誉ですね。
「川柳はユーモアや皮肉だけ ではなく、人間の喜怒哀楽も 詠むのが魅力。約束事といえ ば五・七・五ぐらい」と花崎さ ん。新垣さんも「五・七・五を並 べて推敲(すいこう)して、表 現をめぐらす。脳トレや認知 症予防にも最適。北中城を散 策しながら、川柳を投句して ほしい」と呼びかけています。
「北中城に来て一句ひねって ほしい。川柳ポストがあなた の投稿を口を開けて待ってい ます」と花崎さん。誰でも自由 に投句できる川柳ポスト。思 い思いの句を気軽に投稿して みては。