「島ネタCHOSA班」2023年09月21日[No.2002]号
週末に、知人の田中えりさんが主催する、カシジェーを利用した食事会に参加しまし た。田中さんは、家庭料理の本の取材でカシジェーと出合い、カシジェー料理家として 活動を始めたそうです。レキオでも取り上げてもらえませんか?
(玉寄真紀さん)
泡盛の蒸留粕「カシジェー」を料理に活用!?
恥ずかしながら、依頼者か らのメールに「カシジェーっ て何?」と首をかしげた調査 員。調べたところ、カシジェ ーとは泡盛の製造工程で生 まれる蒸留粕。栄養価が高 く、豚の飼料として利用され てきた歴史があり、もろみ酢 や畑の飼料に使われること もありますが、現在はその多 くが捨てられてしまってい るそう。
酸味と爽やかな香り
調査員はさっそく、そのカ シジェーを料理に役立てよ うとしている田中えりさん を訪ねてみました。
まずは、田中さんが個人的 に醸造所から分けてもらっ てきたというカシジェーを 見せてもらいます。甘酒のよ うな乳白色の液体で、そのま ま飲むこともできるそう。 「ちょっとクセがあるかもし れません」という言葉に、お そるおそる口にしてみたと ころ…。確かに独特の酸味は ありますが、爽やかと形容で きそうな香りが印象的。で も、このカシジェーをどうや って料理に活用するの?
レシピを開発
大阪生まれ、東京育ちなが ら、沖縄好きが高じて200 8年に沖縄に移住した田中 さん。「私はとにかく食に興 味がある」と目を輝かせます。
沖縄に移住後、琉球料理の 教室に通い、その歴史や文化 に触れてきた田中さん。やが て、県内各地の普通の家庭で 食べられている料理を一冊 の本にまとめ、出版すること になりました。
「それで与那国島を訪ねた 時、民具作家・唄者の與那覇 有羽さんに、カシジェーの和 え物をふるまってもら ったんです」
それは、新鮮なカツオ に、にんにく、しょうが、 玉ねぎ、モウイ、サクナ、 香りのよい野菜を加え、 酢の代わりにカシジェ ーで混ぜた和え物。同じもの を田中さんに作ってもらい、 調査員も食べてみたところ …。酸味と香りが、カツオと 野菜にマッチ! とりわけ、 サクナやモウイなど、島野菜 との相性が抜群です。
カシジェーの魅力を知っ た田中さんは、もっと広く知 ってもらいたいと、今年5月 からカシジェー料理をふる まう食事会を定期的に開催。
レシピのほとんどは田中 さんのオリジナル。その中か ら、カシジェーと島豆腐を混 ぜ、クリームチーズ風にアレ ンジした料理を試食させて もらいました。
また、カシジェー料理に は、料理人やパティシエが興 味を示すことも多いそうで、 田中さんの友人が焼いた、カ シジェーを使ったチーズケ ーキもいただくことができ ました。二品とも、カシジェ ーの爽やかな香りが、料理に 大人っぽい上品な彩りを与 えているように感じました。
「クエン酸も多く含まれる カシジェー料理を食べると、 元気になる気がしますね」と 田中さんはニッコリ。
「長持ちしないのが課題」 としつつ、「将来は商品化し たり、給食で子どもたちに味 わってもらったりしたい」と 夢を語ってくれました。
食事会の情報は 田中えりさんのイ ンスタグラムで更 新しています。インスタグラム