「表紙」2011年08月11日[No.1376]号
妻・母親、非常勤職員として働く一方、港川小学校男子ミニバスケットボールクラブ監督として子どもたちの指導に情熱を注ぐ名城真由美さん。スポーツを通してマナー順守や人間教育の育成にも努める。2011年3月の浦添地区大会では部員と監督、チームスタッフ、父母が気持ちを一つ「心のパス」をつなぎ、栄冠をつかんだ。指導歴3年目の「新米監督」はさらに大きな目標に向かって日々奮闘中だ。
子どもと一緒に成長
コートを激しく動き回る子どもたちの動きに合わせ「ナイスパス、そこでシュート」と大きな声をかけ、何度も往復する。納得いかないプレーには練習を中断。自らフォームを示す。「スポーツ少年団」の指導者としては若い33歳の女性監督は24人の男子部員とともにバスケットボールに熱い気持ちを注ぐ。
名城さんは中学、高校、社会人とバスケットボールに親しんできた。2007年4月から2年間、チームアシスタントコーチを務め、2009年4月、監督に就任した。
当初、就任には消極的だった。コーチとしてチームに所属する小学校4年生の長男の成長を見守るとともに、大会・試合会場の送迎や父母会など部活動を側面からサポートしてきた。
やっと子育ても一段落し、「これから自分も好きなバスケをしたい」と思っていた矢先のこと、当時の監督から「次はあなたしかいない」と依頼された。
これまでの経験と指導力を見込まれての就任要請だった。「びっくりした。まさか私が」と、要請に対し「私には荷が重い」「家族にも負担を掛ける」と何度も断り続けた。
当時の監督は「残った部員の面倒はだれがみる」と畳みかけた。その一言が名城さんの気持ちを揺さぶった。何日も悩みぬいた末、「やります」と気持ちを固め監督を引き受けた。
新監督も決まり、新チームの活動に弾みがつくはずだった。就任直前の09年3月に6年生10人が卒業。残った部員は4年生含め4人。ゼロからのスタートだった。メンバーが構成できず大会にも出場できない時期もあった。部員は練習には参加するものの、監督の指示に従わず、チームの雰囲気が乱れた。
その時、子どもたちが自ら考え行動を起こした。ポスターを制作し、部員集めに動いた。また、bjリーグの地元チーム「琉球ゴールデンキングス」の活躍でバスケット人気が高まり、入部希望者が増えた。
自主性を尊重
練習は週2回。他のクラブと比較して回数、時間とも少ない。前半は基本中心に組み立て、後半はミニゲームでフォーメーション、攻守の切り替えなど子どもたちの理解度を確認。その場で失敗の原因、理由などを指摘し部員同士で話し合う。
自主性を伸ばす指導を心掛け、指示はシンプル、明確、元気に声を出して。練習終了後には高学年と低学年に分かれ、部員だけのミーティングを開く。その日の練習内容や達成度の確認。個人、チームの反省など一人一人が意見や感想を話す。
チームの方針は「一致団結」。一つの目標に、夢に向かって全員が心を一つにする。「人は努力した分だけ、夢に近付ける」と監督。「バスケットボールを通して、仲間や友だちを増やしてほしい。そして彼らには中学や高校でもバスケットボールを続けてもらいたい」と笑顔をみせる。
一方、子どもたちの将来を見据え、ボールを使った練習を一時減らし体作りや体幹、バランスを重視した練習法を取り入れる。中学高校でのプレーを念頭に置いた体力、技術向上を目指す。
名城監督は「子どもたちの真剣さ、ひたむきさが人の心を動かし感動を与える」と話し、 「私はまだまだ未熟。子どもたちと同じように父母や多くの人から指導を受け、取り組んでいる」と話し、「バスケットボールの技術向上と人として成長していければ」とほほ笑んだ。
新米監督と子どもたち。心を一つに「一致団結」し、夢に向かって挑戦が続く。
編集・池原雅史/写真・池原康二
田仲龍馬主将
もっと厳しくしてほしい
港川小男子ミニバスケットボール部
2001年結成。部員6年生~1年生男子24人。練習日火、木曜日 午後4時30分~6時30分、土日は練習試合、各種大会 11年3月の浦添地区大会で優勝