「表紙」2013年05月02日[No.1465]号
名言響き 心成長
年齢、性別、職種が異なる4人。彼らの共通点は漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の大ファンであるということだ。同漫画は1987年に「少年ジャンプ」(集英社)で連載が開始され、現在も「ウルトラジャンプ」(同)で掲載が続いているロングラン作品。国内外で多くの熱狂的なファンがいる。「ジョジョは名言が多いんですけど、とても哲学的で考えさせられることが多いんですよ」と當眞毅(たけし)さん(34)は話す。彼らは「パッショーネ沖縄」というサークルを結成し、ジョジョについて熱く語り合う会を楽しんでいる。。
人物に共感 勇気湧く
「ジョジョの奇妙な冒険」は、主人公ジョースター家と敵キャラクターのディオ・ブランドーの数世代にわたる闘争の歴史が描かれている。
メンバーが出会ったのはインターネットの交流サイト「mixi(ミクシー)」。ジョジョが好きな全国の人たちが情報交換をする同サイトでやり取りをしているうちに、同じ県内在住のメンバーで集まることになった。
メンバーの當眞さんは100冊以上ある単行本を全巻そろえ、きれいに保管しているという。ジョジョの関連グッズを手づくりするなど、文字通り熱狂的なファンの一人。
「石仮面は半日かかって作りました。紙粘土で形を作り、固めて色を入れるんですけど、なかなか漫画に出てくるような仕上がりにならなくて苦労しました。リングは『メメタァ』と書いてあります。これは波紋を使ってカエルを攻撃した時の擬音です」
擬音語も魅力の一つ
當眞さんはジョジョの擬音についても語ってくれた。「波紋というのは、吸血鬼の敵ディオに対して太陽と同じ力を使った効果的な攻撃法なんです。ジョジョの魅力の一つは擬音です。普通、パンチなどの攻撃は『バキッ』とかだと思うのですが、ジョジョでは『メメタァ』です。面白いですよね!」
他にもキスシーンで「ズキュウウウン」や、ひざを攻撃され階段で転んだ時は「グッパオン」などさまざまな擬音があるそうだ。
伊波みなみさん(21)のストッキングには「ジョジョの奇妙な冒険」という文字とキャラクターが描かれている。これも伊波さん自身がペンで2時間以上かけて描いたものなんだとか。
他の漫画では味わえない魅力を聞くと、全員の話す勢いが増した。
「やはりそれぞれのキャラクターの存在感ですね。人間らしくて共感できるし、『正義』と『悪』の違いが分からなくなるくらい、両方が自分の考えを貫いているんです。個人で戦う時もあれば仲間と協力することもあって、勇気ある行動や言葉に感動させられますね」とメンバーを代表して幸地良太さん(24)が語ってくれた。
漫画で自身に変化
生活している上で、ジョジョの漫画に影響されることも多いという。
伊波さんは4巻でのジョージ・ジョースターが息子ジョナサン・ジョースターに伝えた言葉が好きだ。「飼っている犬ダニーがおもちゃの鉄砲をくわえて放さないと言ってきた時に『それは無理やり引き離そうとするからだよ。逆に考えるんだ。あげちゃってもいいさと考えるんだ』と伝えるんです。この言葉にいろいろ気づかされました」。伊波さんは力で解決しようとするのではなく、優しさを伝えることを学んだという。
堀内百恵さん(28)は「本当に名言は多いです。私はジョルノ・ジョバーナが戦闘中にピンチの時『このジョルノ・ジョバーナには夢がある』と言って乗り切るところが好き! 私も何か困難に遭遇した時はその言葉を思い出します」と話す。 堀内さんは夫の拓也さん(30)もジョジョが好きで、普段からジョジョについての会話を楽しんでいる。ストーリーの中に出てくる攻撃を仕掛け合ったりしてコミュニケーションをとっているそうだ。
メンバー4人は「ジョジョの奇妙な冒険」に出合って良かったと話す。勇気与える漫画にこれからも情熱を注ぐ。
普天間光/写真・呉屋慎吾
パッショーネ沖縄
「mixi」の交流サイトで出会った「ジョジョ」のファンサークル。不定期で活動。「ジョジョの奇妙なローリングストーン(ズ)」というテーマでボウリングをしたり、実際に漫画に登場する料理を食べに行ったりと自由に楽しんでいる。