「表紙」2013年04月25日[No.1464]号
無限に広がるアイデア
正方形や五角形などをアレンジした幾何学的な模様が並ぶ。一見、グラフィックデザインのようだが、実は折り紙だ。フレーベル模様折り研究会は、フレーベルが考案した模様折りを応用し、自分らしい模様を追求。折り紙のイメージを覆す芸術作品を生み出している。同研究会・講師の島袋保子さん(75)は「アイデア、センス、色の組み合わせで、模様が幾通りにも広がります」と魅力を語る。約150年前にドイツで生まれた模様折りが、時を超えて沖縄でさまざまな形に発展している。
世界で一つの模様を
紙で動物や花、乗り物などさまざまな形を作り出す折り紙。約150年前、ドイツの教育学者で幼稚園の始祖・フレーベルが、教材の一つとして折り紙で考案したのが「フレーベルの模様折り」だ。当時、48の基本形を作ったという。
フレーベルの基本形を基に、折り紙の色や模様、素材などを変えると何通りもの組み合わせができる。自分らしい模様折りを楽しんでいるのが「フレーベル模様折り研究会」だ。
同研究会の発起人で、講師を務める島袋保子さん(75)は、小さい頃から折り紙が好きだったという。定年退職後、日本折紙協会認定の折紙講師らで構成する日本折紙協会沖縄支部の展示会を見て、その魅力に取りつかれた。折紙講師の資格を取得し、同支部に参加。中でもフレーベルの模様折りの素晴らしさに心を引かれた。
沖縄大会きっかけに
2005年に九州折紙コンベンション沖縄大会が県内で開かれ、模様折りの基本形で壁画を作成。大好評だったことから、数年後、同研究会を発足。現在、20〜70代までの24人が豊見城市社会福祉センターで活動している。
今やフレーベルの模様折りの研究で全国的にも知られる島袋さんは、「基本はありますが、工夫次第で人と違ったものができます。アイデア、センス、色の組み合わせを工夫すると、オリジナル作品ができます」と話す。
豊見城市社会福祉センターで開催中の「2013おりがみ展 フレーベルの模様折り展」(30日まで)では、個性豊かな作品を展示。正方形や五角形、円形などさまざまな折り紙で折った幾何学的な模様が並ぶ平面の作品から、キューブ多面体お菓子入れや箱などの立体までさまざまだ。
「レインボー」を出展した上間ツヤ子さん(74)は折り紙歴8年、フレーベル歴3年。「フレーベルは、折り紙をカットするのが大変です」と言う。折り紙を11・7㎝と7.5㎝の2種類の六角形にカット。全224枚を折り、つなぎ合わせ、1週間ほどで作品を完成させた。「色の組み合わせに迷いますが、孫と一緒に楽しめるのがいいですね。孫からは『折り紙名人』と呼ばれています」と笑う。
折り紙で笑顔広がる
同研究会会長の古堅幸江さん(62)は、島袋さんらと児童館や小中学校、公民館などで折り紙を教えるボランティア活動にも取り組む。「折り紙は出来上がった時に達成感があります。折り紙でみんなが笑顔になるのがうれしいですね」と交流を深めている。
また同研究会では、沖縄らしい絵柄の作品を作りたいと、紅型作家のたいらみちこさんに折り紙の制作を依頼。キジムナーやエイサー柄などの「たいらみちこ こだわりの折り紙 夢ゆめ紙 No1」も出来上がった。沖縄発の模様折りも誕生している。
2014年11月には九州折紙コンベンション沖縄大会が南城市で開かれる。大会に向けて作品のイメージを膨らませていくメンバー。無限に広がるアイデアは、次々と斬新な模様を生み出していく。
豊浜由紀子/写真・呉屋慎吾
日本折紙協会認定の折紙講師で構成する日本折紙協会琉球支部のメンバー24人(男性1人)が参加。個性あふれる作品作りに励んでいる。豊見城市社会福祉センターで活動。那覇市の若狭折り紙ギャラリーでは、初心者向けの会もある。児童館や図書館、小中学校、デイサービスなど、さまざまな場所でボランティアも行い、折り紙の楽しさを伝えている。現在、豊見城市社会福祉センターで2013おりがみ展を開催中。30日(火)まで。
問い合わせは☎098(850)1645〔島袋〕