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[No.1477]

  • (金)

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「表紙」2013年07月25日[No.1477]号

あちこーこー 17

アチコーコー 17(2013年07月25日掲載)

沖縄あやとり愛好会

ひもが織りなすアート 

 「あやとり名人」と子どもたちから親しまれている沖縄あやとり愛好会代表の山下智道さん(70)。退職後あやとりに魅せられ、さまざまな技を研究。歌いながら形を完成させ、曲の二番で元の輪に戻す「リズムあやとり」は、見る人を驚かせる。小学校などでボランティア講師を務め、その魅力を伝えている山下さん。一本のひもを宇宙に見立て、「輪っか状のひもという宇宙に潜む天地万物を一つ一つ訪ね歩いているような気がします」と瞳を輝かせる。あやとりは、壮大なロマンだ。

合唱団の結成夢見て

 山下さんは満州で生まれ、福岡県で幼少時代を過ごした。大阪で約40年勤務し、定年退職後、宮崎県に移住。趣味でロープマジックを始めた。

 そんな中、あやとりの本に出合い、その造形美に魅了された。「あやとりは表現がおもしろく、興味を持ちました。アートで、挑戦意欲をかきたてる幾何学パズルのようでした」

 その後、宮崎あやとり同好会を結成した。童謡や唱歌などを歌いながらあやとりをする「リズムあやとり」を追究。一番の歌詞を歌いながら形を完成させ、二番を歌い終える頃には元のひもに戻る—そんなマジックのようなあやとりで、見る人を楽しませている。

 橋やタワー、犬、白鳥、菊など、その技は数百種類になるという。インターネットの動画サイトに投稿した映像は、世界中からアクセスがあるそうだ。

ボランティアで技伝授

 2012年4月、宮崎県から那覇市に移住。「沖縄あやとり愛好会」を立ち上げた。小学校や学童、公民館、病院などでボランティアを行い、あやとりを教えている。

 ことし5月から、那覇市立高良小学校(兼城賢悟校長)のあやとりクラブで指導。4〜6年生の27人に、その楽しさを伝えている。

 クラブ活動日の金曜。取材した日は、「おぼろ月夜」の歌に合わせて山と月が現れるリズムあやとり「山の上のお月さん」に挑戦。山下さんが手本を見せると、「すご〜い」と歓声が上がった。「世界中から絶賛されている作品。日本の伝統的なあやとりです。僕は一番これが好きです」と紹介した。

 毎週火曜は那覇市具志のはなぞの児童クラブで教えている。「山の上のお月さん」ができるようになった宮城嬉生(きなり)さん=高良小4年=は、「あやとりは友達と一緒にやったり、教え合ったりしてとっても楽しい」とうれしそうに話す。山下さんは、「今日、覚え立ての技をみんなに教えましょう。あやとりをどんどん広げましょう」と子どもたちに語りかけた。

どこでも交流深める

 あやとりは、昔から世界各地で親しまれてきたという。アメリカのカリフォルニア州に本部がある国際あやとり協会の会員でもある山下さん。手と頭の体操になり、人々の心を和ませ、いつでもどこでも気軽にできるエンターテインメントで世代を超えた交流を深めている。行く先々で、「名人、教えて!」「ひもちょうだ〜い」と子どもたちが集まってくる。そのため外出時は、あやとり用のひもを20本ほど作り、常備している。

 そんな山下さんの夢は、「リズムあやとり合唱団」を結成すること。団員が歌声に合わせてあやとりのパフォーマンスをする光景を夢見ている。「私はことし、71歳になります。いずれ現役を引退し、パフォーマンスの振り付けと伴奏をする裏方にまわるつもりです。そのために毎日、大正琴の練習をしています」と熱く語る。最近は、琉球民謡なども積極的にリズムあやとりに取り入れている。四段はしごが現れる「安里屋ユンタ」も大正琴で弾けるようになった。

 さまざまな形を生み出し、出会いの輪が広がるあやとり。一本のひもでつながった子どもたちの顔は、笑顔で満ちあふれていた。

豊浜由紀子/写真・桜井哲也



沖縄あやとり愛好会
 那覇市立高良小学校のあやとりクラブでボランティア講師を務める沖縄あやとり愛好会の山下智道さん。 一本のひもから世代を超えた交流が始まる=那覇市高良の同校
沖縄あやとり愛好会
童謡「花咲か爺さん」のメロディーとともに現れる世界の名作「耳の大きな犬」。沖縄では、シーサーの赤ん坊の「あやちゃん」と呼んでいるという
沖縄あやとり愛好会
日本の名作「菊の花」(左)と、山下さんのオリジナル作品「とんぼ」
沖縄あやとり愛好会
「山の上のお月さん」ができるようになった、はなぞの児童クラブの小濱真帆ちゃん(5つ)
沖縄あやとり愛好会
あやとりで子どもたちと交流を深める山下さん=那覇市具志のはなぞの児童クラブ
沖縄あやとり愛好会
沖縄あやとり愛好会
 2012年4月、代表の山下智道さんが宮崎県から那覇市に移住したことをきっかけに発足。あやとりの魅力を伝えるため、幼稚園や小学校、病院などでボランティアを行う。あやとりを子どもやお年寄りに教えるボランティアメンバーを募集中。基本的なあやとりの技術は、国際あやとり協会会員でもある山下さんが無料で指導する。「子どもたちや高齢者と触れ合い、余暇を有意義に過ごしませんか」と参加を呼び掛けている。
 問い合わせは、☎090(8836)1972(山下)
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