沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1480]

  • (金)

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「表紙」2013年08月15日[No.1480]号

あちこーこー 20

情熱アチコーコー 20(2013年08月15日掲載)

波波Mama & Kids

子育て中も海楽しむ

 盛夏の日差しがきらめく北谷町宮城の宮城海岸。ボディーボードを手に、次々と沖に漕ぎ出す女性たちと後を追う子どもたちが歓声を上げる。主に子育て中のママたちで構成する「波波Mama&Kids」のメンバーは、月に1度の「集い」で波乗りや海の生き物観察を楽しんでいる。海岸を見下ろすあずまやでは、小さい子たちの面倒を見るメンバーが子育てのことや仕事のことなどをおしゃべり。潮が引くまでの約2時間、交流を深めた。波を介しての交流は、子育てにも好影響を与えている。

女性の視点で海大事に

 白波が立つ北谷町宮城の宮城海岸。「波波Mama&Kids」のメンバーが、ウエットスーツを着てボディーボードを手に波に向かっていく。「波波〜」は、「波乗りママ支援 海と遊ぼうokinawa」をキャッチフレーズに7年前に発足。きっかけはインターネットの交流サイトでの情報交換だった。結婚や出産を機に海から遠ざかってしまったママたちが海に戻れるよう、互いに助け合おうと立ち上げた。

 ボディーボードやサーフィンができなくても、シュノーケルや生き物観察、波打ち際での遊びなど海で思い思いに楽しむことをサポートする。同会では、月に1度定期的に海岸に集まり波乗りを楽しむほか、ライフセーバーを招いて安全のための講習会、パパも交えてのビーチパーティーなど、海を身近に感じる活動を行っている。常時集まる会員は約10人、インターネットの交流サイトで情報交換する会員は、約100人に上る。女性なら誰でも参加でき、独身から子育てを終えた人まで、会員は幅広い。

子ども同士子守役

 「真夏は台風が来ない限り波が立ちにくいんですが、私たちが集まる日はなぜか良い波が来て、いつもラッキーなんですよ」と笑顔で話す代表の上江田沢子さん (38)。同会が「サポート」と表現するのは、会員にママが多いためだ。取材した日は、会員が波乗りを楽しむ間、「臨月なんですよ」と笑顔で話すおなかの大きな会員や、「集まって情報交換するのも楽しみの一つなんです」という新米ママたちが、あずまやで子どもたちの世話をしている。

 上江田さんも2月に出産したばかりの長女をベビーチェアに寝かせ、海に入る。ヤドカリやカニを見つけてきた男の子とそれをのぞき込む女の子たちは、すぐに打ち解けた。代わる代わるむずかる赤ちゃんを、なだめたり抱っこしたり、ベビーカーをゆすったりする子も。子どもたち同士、子守りをしながら遊んでいる。

悩みも解消できる

 「海にいるのは満潮に合わせて2時間くらい。今日は子どもたちも連れて来ていますが、児童館に預けて思いっきり技の練習をしたり、水に浸かってぼーっとしたりする日もあります」と事務局を務める千葉史子さん(42)。千葉さんは沖縄の海に魅せられて神奈川から移住した。子育て中も海への思いは募り、何より自分の子どもたちにも海の素晴らしさを小さい時から感じてほしかったと語る。

 傍らで聞いていた上江田さんも、「波乗りって基本は遊びでしょう。だから、子どもたちを預けてまで海へ行くことに皆引け目を感じていたんです」と、子育て中ならではの悩みを話す。しかし、「波波〜」を結成し、ママ同士集まってみると「海」が生活の一部であることに気付かされた。

 「海に来ると、仕事や子育てなどの悩みがすっと解消して精神的に落ち着きます。波に乗っていると、また頑張ろうってリフレッシュできますね」と真っ青な海を眺め話した。

 今後も活動を続け、沖縄の海の素晴らしさ、美しさ、そしてホスピタリティーを伝えていきたいと話す上江田さん。「沖縄の人は海で泳がないといわれますけど、海風に吹かれているだけでもいい。海を身近に感じる入り口になればと思っているんです。子どもたちも海が遊ばせてくれる。言葉でなくて体で感じてくれればいいですね」

 海は沖縄の財産。子どもを産み、育てる女性だからこそ次代につないでいけることがある—。さっそうと波に乗る彼女たちの顔は、笑顔で輝いている。

島 知子/写真・桜井哲也

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波波Mama&Kids
白い波を追いかけボディーボードを楽しむ「波波Mama&Kids」のメンバー。(左から)スペンサー美佐緒さん、浦野直恵さん、入波平優子さん、翁長心さん、千葉史子さん=北谷町宮城の宮城海岸 
波波Mama&Kids
0歳から小学生まで仲良く遊ぶ
波波Mama&Kids
波を待つ上江田沢子さん(右)
波波Mama&Kids
ボディーボードは子どもでも比較的乗りこなしやすい
波波Mama&Kids
波波Mama&Kids
 2006年、県内で波乗りを楽しんでいた女性たちが子育て中も定期的に波乗りを楽しもうと結成。
ボディーボードができなくても海に関心のある女性なら誰でも入会可能。活動には託児費用や諸費用が必要なため、活動に賛同する個人・法人を募っている。1口3000円で募集。 naminami.mama.kids@gmail.com
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