「表紙」2013年11月28日[No.1495]号
愛くるしい顔に夢中
深いシワが刻まれ、グチャッとつぶれたような憎めない顔。そんな小型犬・パグをこよなく愛する人たちが2010年5月に結成した「沖縄ちゅらパグ会」。10歳以上の長寿パグを祝う敬老会や年に一度のちゅらパグ会などを開催する他、ブログで情報を交換している。同会を立ち上げた粟國(あわくに)裕子さん(46)は、「パグ同士はもちろん、飼い主も交流を深め、パグを飼って良かったと思ってほしいですね」と話す。その愛くるしい顔は、見る人を優しい気持ちにしてくれる。
パグ通し笑顔広がる
パグは中国原産でおとなしく、あまりほえない。ドッグカフェを営んでいた粟國さんは、客から生後6カ月のパグ・タイニー(雌・9歳)を譲り受け、飼い始めた。県動物愛護管理センターで保護されたノーマン(2013年6月に12歳で他界)と看板犬としてかわいがっていた。
全国のパグ好きが集う「全国パグミーティング(パグミ)」があると知ったが、沖縄からパグと参加するのは難しい。「ブログを見て、『いいはず〜』と皆で話をしていました」と言う。
「パグミの沖縄バージョンをやってみよう!」と10年5月、仲間と「沖縄ちゅらパグ会」を結成した。パグ好きなら誰でも参加でき、ブログや口コミでメンバーが増えていった。イベントに参加したら、皆会員だ。
年に一度の大集合
中心メンバー約20人は、不定期でパグ会議を開く。普段はネットで情報を交換。10歳以上の長寿パグを祝う敬老会の他、メーンイベントのちゅらパグ会を毎年11月に開催。4回目の今年は17日にうるま市州崎の津梁公園で行われた。数え方は「匹」を使わずに「パグ」で表現する。同日は「31パグズ」とその他の家族犬3匹、飼い主ら約50人が参加した。
会を盛り上げたのが「パグ相撲」。1本のリードの両端に1パグずつつなぎ、「はっけよ〜い、のこった」の合図でリードを離す。両サイドで待機する飼い主の元に先に着いた方が勝ちだ。トーナメント方式の試合は、大歓声に包まれた。
優勝は、リードを力強く引っ張った楽(らく、雄、6歳)。飼い主の倉岡歩さん(34)は楽との運命的な出合いについて「ペットショップで『一緒に帰る?』って聞いたら、『ワン』って鳴いたんですよ」と振り返る。「前回は決勝戦で負けたので、やっと勝てました」と、「横綱」を誇らしげに見つめていた。
年代も職業もさまざまな参加者は、パグ談議に花を咲かせる。たろう(4歳)と参加した松田伊代さん(17)は、「『うれしい』『寂しい』など表情豊かで見ていて飽きません」と話す。ネットで同会を知り、第1回に続き2度目の参加。たろうのお嫁さんを探しにやって来た。
「もともと顔がつぶれた犬が好きなんです」と話す児玉弓恵さん (40)と夫の一さん(52)はパグ歴7年。権蔵(ごんぞう、雄、7歳)と幸蔵(さくら、雌、6歳)、その子どもの意蔵(いくら、雌、5歳)、福蔵(ふくぞう、雄、5歳)の4パグズを育てている。「いびきをかいて寝るなど人間臭いしぐさがいいですね」と魅力を語る。
遺棄されるパグも
表情豊かで見る人を癒やすパグだが、粟國さんは「遺棄されるパグも多い」と胸を痛めている。
千田篤史さん(47)と亜矢子さん(39)夫妻は、沖縄で保護されたステラ(雌、推定5〜7歳)と一緒に大阪府豊中市から参加した。ステラは繁殖犬だったが、子どもが産まれなくなって捨てられたという。県動物愛護管理センターで処分されるところを引き取られ、沖縄の友人を介して今年4月、千田さん夫妻の元にやってきた。「繁殖犬としてつらかったと思うので避妊手術をしました。食いしん坊で体重も増えましたよ。年に一回は里帰りでちゅらパグ会に参加したいです」と亜矢子さんは話す。
粟國さんは、「他の子の芸を見てまねしたり、年をとった時や病気をした時の情報交換をしたり、集まることでパグを飼うことが楽しくなればいいですね。みんなでいろいろと楽しめる会にしたい」と抱負を語る。全てのパグの幸せを願う同会は、優しさで満ちあふれていた。
豊浜由紀子/写真・呉屋慎吾
パグが大好きな人たちが集まり2010年5月に結成。ブログで情報交換をしたり、10歳以上の長寿パグの敬老会を開いたり、毎年11月にちゅらパグ会を開催したりして交流を深めている。パグが好きなら、飼っている人もそうでない人でも参加OK! イベントに参加すると会員になる。
問い合わせは okinawa_cyurapug@yahoo.co.jp
ブログ「沖縄ちゅらパグ会」
http://okinawa-pugs.a-thera.jp/