「表紙」2018年06月14日[No.1729]号
大好きな絵をずっと描き続けたい
沖縄をテーマにしたイラストをはじめ、優しくかわいらしいタッチの絵で見た人を幸せにするイラストレーターのShu Ashimine(シュウ・アシミネ)さん。実はパーティーダンサー「粒マスタード安次嶺」としてイベントに引っ張りだこ。普段は「安次嶺 周」という本名で日常を過ごす多才な人物だ。今回はイラストレーターの顔にスポットを当てる。
「僕が描く女の子は全て、妻か娘なんです」とはにかむShuさん。目を細めるその優しい笑顔から、愛情深い人柄が伝わってくる。
「絵を描くのが大好きな子どものころの気持ちが、今も続いている感覚です。好きな時に好きな絵を描き続けてきたので、それが自分に合っている。美術学校に通っていたら続いていなかったかもしれません」
少年時代に漫画を読むのに夢中になり過ぎて、ついには自分でペンを握って描き始めた、というShuさん。イラストレーターを名乗るようになったのは2009年、29歳のころだった。7年間活動を続けてきたバンドの解散がきっかけだ。
「高校時代の同級生を中心に結成したバンドでボーカルを担当し、アルバムを作り全国ライブを開催するなど精力的に動いていました。やりたいことを見つけた思いで、バンドのことしか考えていない毎日だったんです」
何が起きてもバンド活動を続けていきたいShuさんだったが、30歳目前でメンバー個々の事情ができ泣く泣く解散の日を迎えたという。
僕の頭の中を見てほしい
「バンドが消滅し、好きなことは絵を描くことだけ。本格的に描いてみよう…」
それからのShuさんは作品作りに力を入れ、音楽仲間の紹介でアートディレクターや作家と知り合い、合同展示会を開催するなどイラストレーターの活動をスタートした。
バンド時代にCDジャケットや音楽誌のイラストを手掛けた経験はあったが、展示会のテーマに沿って絵を完成させたのは初。絵で世界観を表現する楽しさとうれしさを実感したそうだ。
そして翌10年には、友人の結婚披露宴の余興を頼まれたことをきっかけに、後にブレークする「粒マスタード安次嶺」が誕生。
「バンド時代から曲に合わせて踊っていたんです。お客さんが笑っていたので余興でも踊ることにしました。その録画映像を友達がYouTube(ユーチューブ)にアップしてくれて、アクセス数50万回を超えたんですよ。ビックリしました!」
それから余興出演のオファーが入り、有名ミュージシャンやテレビ番組から声がかかるなどして「粒マスタード安次嶺」の知名度が広がった。同時に、「あの粒さんが絵を描いているの!?」とイラストレーターとしても知られるようになっていった。
「誰が見ても分かる絵に僕が頭の中で考えた物語を込めているので、見て何かを感じたりほんわか気分になっていただけたら、うれしいです」
楽しくマルチに活躍
イラストレーターとしての喜びは「展示会を見に来てくれる方たちがいること」、ダンサーとしては「観客の皆さんが救われた気持ちで笑顔になるなら踊っていたい」と、どちらの立ち位置にいても人とのコミュニケーションを大切にするShuさん。
「役者になりたい夢があり、舞台『カジマヤー』に出演中なので、次は映画界を目指します。人間・安次嶺周としては、何をやるにも毎回120㌫で取り組んでいたい。その結果、楽しいと感じることをずっと続けていきたいんです」
マルチに活躍するShuさんは、常に楽しさを追い求めている。
(饒波貴子)
■プロフィル
Shu Ashimine/粒マスタード安次嶺 本名 安次嶺 周(あしみね・しゅう)。イラストレーター、パーティーダンサー。1980年生まれ、浦添市出身。11月下旬、沖縄市プラザハウスにて個展開催予定
・公式サイト http://ashimine.com/
・出演舞台:ノンバーバル パフォーマンスショー 「Kajimaya ―カジマヤー―」沖縄市ミュージックタウン音市場にて、定期公演化決定。
公演日=9月29日(土)/12月21日(金)/ 2019年3月9日(土)
写真・喜瀨守昭