「表紙」2018年09月27日[No.1744]号
認知症、理解することから始めよう
2006年度、県では認知症の人やその家族を支える認知症サポーターの養成に乗り出した。あれから12年、認知症サポーターの数も年々増え、少しずつ認知症に対する意識も変わってきたように思う。県子ども生活福祉部高齢者福祉介護課の担当者、地域の人々と協力し合って認知症の人やその家族のために日々活動する人々に話を聞いた。
認知症サポーターとは、認知症について正しく理解し、認知症の人やその家族を温かく見守る応援者。2005年度に厚生労働省が開始した取り組みだ。
県では、その翌年度から認知症サポーター養成講座のボランティア講師となるキャラバン・メイトを養成し、県内各地で認知症サポーターの養成講座を推進している。
10万人を目指して
県によると、2018年度6月現在で8万471人が認知症サポーターとして認定され、その証しであるオレンジリングを受け取った。
県子ども生活福祉部高齢者福祉介護課の主任・杉田恵梨子さんに認知症サポーターの取り組みについて伺った。
「県内で毎年1万人のサポーターを養成することを目標としていますが、2015年度以降からその目標を達成し続けています。さらに、2020年度には10万人に達成することを目標としていて、今後は認知症に対して知識をより深めるための『ステップアップ講座』にも積極的に取り組んでいきたいと思っています」と話した。
偏見や差別なくす
浦添市内の浦西中学校区で、認知症の人やその家族のために力を注ぐグループホーム浦西の介護支援専門員・認知症ケア専門士の富田幸江さんを訪ねた。同グループホームでは認知症サポーター養成講座や認知症カフェ「かたりぃーなカフェ」を定期的に開催している。認知症カフェとは、認知症の人やその家族、専門職員、地域住民などが集まり情報交換をする場だ。
富田さんは「認知症の人の良き理解者であり、応援者でありたいと思っています。認知症について偏見や差別などもあるので、多くの人に認知症の症状をきちんと理解していただきたい」と話す。
同グループホームは地域密着型で、地域の人々がさまざまな活動に協力している。そのうちの2人に話を聞いた。
浦添市民生委員・児童委員連絡協議会副会長の砂川清徳さんは「認知症は誰にでも起こりうるものだから、予備知識としてみんなで勉強しましょう。高齢者だけでなく、若い人も認知症になることもあるんですよ」などと呼び掛け、講座に参加するよう促しているという。
砂川さんは地域を回り、日ごろから住民に声掛けをする。例えば普通に歩いているように見える人でも、その足取りを見たり話をしたりしてちょっとおかしいと思ったら関係機関につなぐ役割などを担う。
居宅介護支援事業所の主任介護支援専門員・友寄濱子さんは「対応の仕方によって認知症の方も変わっていき、日常的に楽しく地域で暮らせるんですよ。認知症の人の家族は大変だと思いますが、学ぶことで無理せず介護ができるようになったりします。また、ボランティアをしてみたいという方は地域に役立つことで自身につながると思いますので、いろいろな方に『一緒に勉強しませんか』とお誘いしています」と話してくれた。
認知症は誰もがなりうる病気。他人事だと思わず、まずは認知症について「理解する」ことから初めてみてはいかがだろうか。良き応援者がさらに増え、誰もが住みなれた場所で安心して暮らせる明るい未来を願う。
(﨑山裕子)
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認知症サポーターになるには…
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