「表紙」2019年03月21日[No.1769]号
トゥンジタルムンヤ、ありんくりん!
2014年にデビューした「ありんくりん」は、アメリカ人の父を持つクリスさんと、見るからにウチナーニーセー(沖縄の青年)のひがりゅうたさんによるお笑いコンビ。個性あふれるキャラクターと、方言やウチナー&アメリカーあるあるなど沖縄色たっぷりの漫才・コントで、老若男女に愛されている。活動や抱負を語ってもらった。
クリスさんとりゅうたさんは、高校生のころに出会い意気投合。当時からお笑い界に入ろうと誓っていたという。
「東京に出て芸人を目指したいと考えていました。でも県内によしもとの養成所・NSC沖縄校があると知って入学し、活動を始めたんですよ」とクリスさん。
りゅうたさんは「地元で学ぶ事が合っていたと思えます。本土からも呼ばれるような芸人になりたい、という気持ちはずっと持っていますよ」と続ける。
見た目の印象が強く、沖縄らしさがあふれるネタで養成所時代から注目されていた2人。賞レースで本戦まで進み、ガレッジセール率いる「おきなわ新喜劇」の座員に抜てき。明石家さんまさん司会のテレビ番組にも出演し華々しくデビューした。
「最初が順調で簡単に有名になれると勘違いしました。経験を重ねていない僕たちが、常に面白い事をしゃべれる訳ないんです」とクリスさん。
「祭りの司会やテレビ・ラジオ出演の機会をいただきましたが期待に応えられず、先輩と比較される事もあって自信をなくしました」とりゅうたさんは思い出す。経験不足を実感した2人は、「コツコツ努力しながら、実力を磨かなければいけない」と改心したという。
師匠は音楽家!?
芸人活動まっしぐらの2人には、意外な関係を持つ人物がいる。音楽家の照屋林賢さんだ。
「沖縄お笑い界の伝説の小那覇舞天さんや照屋林助さんが気になり、養成所に入る前に林助さんの息子の林賢さんを訪ねました。コンビ名を付けてもらったんですよ」(りゅうたさん)
「当時林賢さんはテレビ番組を持っていて、出演できる方法を聞きに行ったんです」(クリスさん)
世界を見てきた「りんけんバンド」の活動から教わる物があるはずだ、という気持ちで2人は林賢さんを慕い、交流を続けている。芸人の道ではない方向からも個性を出したいと思う2人にとって、「アドバイスをくれる恩師」なのだそうだ。
毎月新ネタを発表!
芸歴5年目の2018年は、「ありんくりんにとってありんくりん(あれもこれもあった)な一年だった」と2人は笑う。
りゅうたさんは「新年早々『O–1グランプリ』1回戦敗退で悔しかった」と話し、クリスさんは「気持ちを切り替え、全よしもと芸人(約6千人)が対象の『吉本坂46』オーディションに積極的に取り組みました」と振り返る。
その結果りゅうたさんが第五次審査(上位113人)まで残り、クリスさんは秋元康氏による最終審査まで進んだが残念ながら不合格。全国進出への夢が破れた現実をバネに、県内賞レースに本腰を入れる思いを強くした。まずは夏に開催された「お笑いバイアスロン」だ。
「予選で落ちてつらかった。敗者復活枠で決勝に上がり、無我夢中で舞台に立ちました」(りゅうたさん)
「コントがウケて勢い付き、結果より笑いを取る気持ちだけで、漫才ができました」(クリスさん)
方言や沖縄民謡を披露するパフォーマンスで見事優勝。19年1月には、ダンスを披露した「O–1グランプリ」でも優勝した。夏冬連続での2大賞レース王者は初で、県内お笑い界トップクラスのコンビになったのだ。
「優勝できましたが、果てしなく大きなお笑い界の現実が見えてきました。もっと上に行くために頑張ります!」(クリスさん)
「いるだけで面白いと言われる芸人になるため、芸を磨きます」(りゅうたさん)
その思いを行動に移すべく、月1回の単独ライブ開催を決めた。毎回新ネタ2本を発表するなど、楽しい企画を考え中だ。2人は「毎月違うありんくりんが見れます!」と意気込んでいる。ぜひ劇場へ!
(饒波貴子)
12カ月連続ライブ開催!「毎月ありんくりん」
会場:よしもと沖縄花月
那覇市前島3-25-5 とまりんアネックスビル2F
☎︎:098-943-6244
チケット:各公演1000円
(前売り・当日ともに/各公演の前月1日にチケット発売) ※年間パスポート(9800円)、3月31日(日)まで発売中。特典として、誕生月のご来場時にありんくりんが選ぶ「誕生日プレゼント」を贈呈します。
公演日:2020年2月まで、毎月最終金曜日に開催
1回目:3月29日(金) 2回目:4月26日(金) 開場 18:45/開演19:00
【沖縄花月HP】 http://www.yoshimoto.co.jp/okinawakagetsu