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[No.1803]

  • (金)

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「表紙」2019年11月21日[No.1803]号

大当窯/大当 シーサー屋 窯主・比嘉康雄さん

終わりのない芸術を追求

 読谷村波平にある大当(うふどー)窯の窯主・比嘉康雄さん(74)は、47歳のときに塗装業から陶芸家に転身。シーサーを作りたいという思いがあり、友人に紹介してもらった窯元「やちむん家」の新垣栄得さんに師事し、2年の修行を経て独立した。妻のサエ子さん(68)を中心に切り盛りしていた「波平額縁店」は、「手作りシーサー製造販売 大当シーサー屋」にリニューアルし、その店舗裏の工房で比嘉さんは日々シーサー作りに汗を流す。

 比嘉康雄さんは20代のときに「波平ペイント」という会社を興し、塗装業にいそしんでいた。しかし自分のこれからの人生を考え、ずっとやっていけるのかと考えたときに現場の仕事は続けられないと思った。そこで、第二の人生として挑戦したのが興味のあったシーサー作り。塗装業の傍ら、新垣栄得さんの弟子になったのは45歳のときだった。

 新垣さんからシーサーの作り方の基本を学び、技を身につけた比嘉さんは2年後に独立。会社は従業員にゆずった。

多種多様なシーサー

 絵を描くことも好きだった比嘉さんは「ライカム画廊」で1年ほど絵画を習っていた。沖展に出品した絵は2度入選した。

 シーサーを作り始めてからは、「親子シーサー」という作品で沖展の奨励賞を受賞。「低火度で焼き締め、素朴さを出した心和む温かみのある作品」だと評価された。

 「大当シーサー屋」には比嘉さん作の、いかつい顔やニコニコ顔のシーサー、丸みを帯びたかわいらしいフォルムのシーサー、さらに素焼きや釉薬(ゆうやく)で仕上げるなど、さまざまな表情や形、色合いのシーサーが並ぶ。また、シーサーの他にもダイナミックな龍や躍動感あふれる馬なども手掛け、販売している。

 店内では他の工房作品も取り扱うが、同じシーサーでも工房ごとに趣きが違い、見比べるのも楽しい。

 妻のサエ子さんは比嘉さんの作業を手伝いながら、主に店頭で接客を担当する。「大きなシーサーは重くて大変。高いところから下ろそうとすると、お客さんに『下ろしましょうか』と言われたりして気を使ってもらうこともあります。店は楽しいからできるだけ続けたいですね」と笑顔で話した。

 人柄の良さがうかがえる比嘉さん夫婦のもとには、シーサーを購入した人から時々手紙も届く。あるときには、北九州から「シーサーを設置したので見にきてください」と航空券入りの手紙が届いたことも。その手紙の主とは、お互い行き来するほど仲の良い友人になったという。

土と向き合う

 窯主になって27年。シーサー作りにまい進してきた比嘉さんは、「いまでも目に見えないところがある。言葉ではうまく言えないんだけど…。芸術だから終わりはないさ」と前を見る。その終わりがない芸術を日々、土と向き合いながら追求し続けている。

 そんな比嘉さんの仕事ぶりを間近で見てきた長男の康成さんと三男の康隆さんは、工房で手伝いながら腕を磨いた。現在、康成さんは比嘉さんと一緒に働き、康隆さんは恩納村に「琉陶工房」を構える。2人ともこれからがますます楽しみな存在だ。

 比嘉さんはこれまでを振り返り、こう話した。

 「人生、いい流れでやってこられた。まぁ、計画通りいってるような感じ。人生の終わりはシーサーで締めくくる。200歳まで生きるなら他のこともやるかもしれないけどね」と茶目っけたっぷりに笑った。

 これからも多くの人から愛されるシーサー作りを期待している。

(𥔎山裕子)



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特注のガス窯の前に立つ比嘉康雄さん 写真・村山 望
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比嘉康雄さんの作品「ホーヤ―シーサー」
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比嘉康雄さんの作品「双龍」
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三男・康隆さんの「家守(やもり)シーサー」は頭がシーサー、体がヤモリのユニークな作品
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長男の康成さん。真剣な表情で制作中
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50代のころの比嘉康雄さん
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手作りシーサー製造販売
大当シーサー屋(大当窯)

読谷村波平1821-2
☎︎098-958-1253
営業時間=9:00〜20:00
不定休
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