「表紙」2020年01月30日[No.1812]号
型にはまらない自由な舞台
舞台に立つ劇団として力を付け、知名度上昇中の「演撃戦隊ジャスプレッソ」。ドラマや映画などに出演し、メンバーの個人活動も増えてきた。アピールポイントは、劇団の特色や型を決めずに個性を表現していること。そして全員が発声を学んでいることだという。稽古場として利用している読谷村・波平公民館に集合した彼らに、話を聞いた。
リーダーの渡久地雅斗(とぐち・まさと)さんが公演などで出会ったメンバーに声をかけ、2018年9月に本格的に始動したこの劇団。それぞれが特技を持ち、豊かな個性がそろっている。
小学1年生の時に渡久地さんは初舞台を踏んだ。
「読谷村の子どもミュージカル出身です。舞台は楽しいと家族に話して続けました。6年生の時に尊敬できる演出家に出会って弟子入りし、演技や発声を学び、現在に至ります」
小学生の時に抱いた舞台への情熱と身に付いた実力は消えず、中高生のころオーディションを受けて現代版組踊『翔べ!尚巴志』他に出演。大学在学中にはさまざまなジャンルの舞台に挑戦して、活動を広げる。同時に脚本や演出も手掛け、舞台人としての存在を際立たせてきた。
夢を追う仲間たち
『翔べ!尚巴志』を見て、舞台に立ちたくなった眞境名(まじきな)あすかさん。三線を弾く赤犬子(あかいんこ)役の渡久地さんに憧れ、後日同公演のキャストに応募して出演。出番を重ね主役まで演じた。
「舞台に立つ興奮を止められず、同時期に複数の作品に掛け持ち出演したこともありました」と演劇に夢中に。タイ出身の母親からタイ舞踊を学び、空手も習っていた眞境名さんの活発なポテンシャルが開花したのだろう。
渡久地さんの同級生・山内和将(やまうち・かずまさ)さんは、歌が上手な人気者。
「演劇を恥ずかしいものだと思っていました(笑)。でも歌が好きで、カラオケボックスで練習したんです」
大学に進学した山内さんは琉大ミュージカルに参加、主役に選ばれた。「楽しかったですし、先輩の舞台出演に誘われるようになりました。歌を認めてもらえるのはうれしい!」
小学生の時に映画『涙そうそう』を見て、「スクリーンの中に入りたい」と思った仲間千尋(なかま・ちひろ)さん。現代版組踊に出演歴もあり、中心人物だった渡久地さんと眞境名さんに一目置いていたそうだ。
その後仲間さんは女優を目指し、オーディションを受けた。
「厳しさを感じながらもできることに挑戦を続けました。東京と沖縄の団体が合同制作するミュージカルライブに出演した時、リーダーと再会し、入団を誘われました。すごい事ができそうなメンバーだと思います」と期待を込める。
「スカウトしていないのはコイツだけ」と、渡久地さんが笑って指をさした竜斗(りゅうと)さん。ある時突然稽古場に現れるようになったそう。野球少年として活躍していた竜斗さんは、成人してからも続けるつもりでいたが、高校生の時に肩を壊してしまった。
「野球の夢が断たれました。俳優に憧れていた昔の気持ちを思い出し、地元の読谷に劇団があると知って当たって砕けろ精神で押しかけたんです」
当初相手にしなかった渡久地さんだが、竜斗さんが三カ月間通い続けたころ親身に話を聞いた。その時竜斗さんは「入団させてください」と泣きながら訴えたという。演者がそろった瞬間だった。
未来に向け挑戦
制作担当の照屋愛(てるや・まな)さんは渡久地さんの大学の同級生で、応援していた。
「県内外の公演を年間100本以上見る程、観劇にはまりました。リーダーに頼まれて裏方になりましたが、成長する劇団だと思いますし、観客が私に会いに来るくらいの有名スタッフになりたいです!」と熱意を燃やす。
メンバーの目標は「沖縄を芝居のメッカにし、全員売れっ子役者になる」(眞境名)
「ハリウッド映画に出演するまで頑張りたい」(竜斗)
「映画や大作ドラマに出演」(仲間)
「東京のミュージカルに主役級で出演」(山内)
「誰もが知る舞台俳優になり、県外の人が沖縄に旅をして見に来てくれる劇団になること!」(渡久地)
目を輝かせて未来を語った6人。これからの活動と活躍に注目したい。
(饒波貴子)
演劇戦隊ジャスプレッソ・プレゼンツシュールイカレコメディオムニバス
『ぷらさない』 日時(計4回公演):
・3月21日(土)開演14時/18時
・3月22日(日)開演13時/17時
会場:わが街の小劇場(那覇市松尾)
料金:前売り 一般2000円、高校生
以下1500円(当日500円増し)
※詳細
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