沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1837]

  • (金)

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「表紙」2020年07月23日[No.1837]号

動物いっぱい・愛いっぱい!
祝50周年「沖縄こどもの国」

目指すのは日本一ユニークな動物園

 50年前の1970年、5月5日のこどもの日に開園した「沖縄こどもの国」。動物がいる子ども向けの大型施設として注目を集め、開園当初は多くの県民が来場しにぎわっていたという。90年代には敷地内に遊園地もあり、2004年のリニューアル時には体験型の「ワンダーミュージアム」をはじめとした施設がオープン。時代によって少しずつ姿を変えてきた。同園園長の神里興弘さん、相談役の比嘉源和さんに話を聞いた。

 子どもも大人も楽しめる「沖縄こどもの国」。動物園エリアでは日本での飼育が希少とされるホワイトライオンやジャガーを観賞でき、愛らしい小動物の広場や琉球列島の生き物を集めた飼育場もある。池ではバードウォッチングや釣りが楽しめ、「ワンダーミュージアム」と「チルドレンズセンター」という子どものための施設が併設されているなど、他にはないテーマパークだ。

 「種の保存や教育普及など動物園の役割を果たすのはもちろんですが、何にでも挑戦する動物園でありたいと思っています」と話す園長の神里興弘さん。6月にお披露目となったヤクシマザルの新しいサル山は遠くから見物するのではなく、人がサル山に入り込める設計になっている。

 「自然体のサルたちのダイナミックな動きを楽しんでください。去年はチンパンジー、最近はサルの赤ちゃんが生まれましたが、母ザルがわが子である子ザルを大切にする姿は感動的。集団で助け合って子ザルを育てていることも分かりますし、人が忘れている愛情や行動を彼らから教わっています」と神里さんはほほ笑む。動物たちから学ぶことも多いようだ。

 「今後クマ舎やワニ舎をリニューアルしていきますが、動物福祉に配慮して設計します。面積拡張の長期計画もあり、現在の約2倍に広げる予定です。ジャングルのように自然により近く、動物たちが暮らしやすい環境づくりを目指します。園内はどんどん変化していますので、遊びに来てください」

 神里さんは、過去の50年と未来の50年をつなぐ九代目の園長として、今日も活躍中だ。

願いはゾウの赤ちゃん誕生

 「沖縄こどもの国が動物園として全国で認められるようになったのは、イリオモテヤマネコのケイ太のおかげです」と語るのは比嘉源和さん。75年に飼育員として入園し園長も務めた比嘉さんは、2016年の退任後に相談役となり、今も熱心に動物を世話している。ケイ太と過ごした13年3カ月は思い出深そうだ。

 「生後約1カ月で保護されてここに来ましたが、普通のネコとは違った。哺乳瓶は嫌がるので皿でミルクをあげ、バッタやトカゲで遊ばせて、ヒヨコを置くと一瞬で食べた時もありました。皿の水を体にこする姿を見たのがきっかけで水を怖がらないと知り、洗面器や水槽へと器を大きくして泳げると確認したんです」

 比嘉さんとケイ太の日々の触れ合いが、イリオモテヤマネコの生態を明らかにする貴重な観察記録になったのだ。

 「動物に関する知識は必要ですが、長時間観察し実際に触れてみないと分からない」と比嘉さん。近年はゾウの世話をしているが、オスの琉人(りゅうと)とメスの琉花では性格も好物も異なるそう。

 「付き合い方は人間の子どもと同じで勉強させてもらっています。僕の飼育員生活はゾウから始まりましたが現在も担当。今は琉人と琉花の赤ちゃんゾウを誕生させなければ、という使命で頭がいっぱいです」

 比嘉さんは続けて「動物の顔と動きを見て、何をしているのか考えてほしい。飼育員に質問したり、自分で調べて答えを見つけてくださいね」と、動物園の楽しみ方を教えてくれた。

動物観察も展示物も満喫

 沖縄こどもの国は、千点以上の動物たちに会える動物園エリア以外にも、触って遊ぶ展示物や体験プログラムを用意した博物館「ワンダーミュージアム」が大人気。また7月25日〜8月29日の間の土曜日は、開園時間を延長する「夜の動物園サタZOOナイト」を開催予定。20時迄に入場すれば、星空の下で動物たちに会える。(閉園時間は21時で餌あげ体験などはナシ、詳細はHP参照)

 子どもや孫を連れて家族一緒に、また幼いころに行ったきりと懐かしく思う人も、歴史と新しさを感じる「沖縄こどもの国」で、三密に気を付けながら楽しい1日を過ごしてほしい。

(饒波貴子)



沖縄こどもの国
沖縄市胡屋5-7-1 ☎︎ 098-933-4190
https://www.okzm.jp
【営業時間】4〜9月 9:30〜18:00(入園は17:00迄)
10〜3月 9:30〜17:30(入園は16:30迄)
【休園日】火曜日・年末年始
【入場料】大人500円/中高生200円/4歳以上〜小学生100円/幼児(3歳以下)無料
※ワンダーミュージアム入館料、乗り物代などは別途必要

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目指すのは日本一ユニークな動物園
 今年5月5日に開園50周年を迎えた「沖縄こどもの国」。ヨナグニウマほか沖縄ならではの動物からライオンやキリンなどの世界の動物まで、145種類・約1100点が園内で暮らしている。園のアイドル「インドゾウの琉花(りゅうか)ちゃん」と、どんな時も愛情を持って動物たちを見守るスタッフのみなさんが元気に記念撮影=7月4日、沖縄市・沖縄こどもの国 写真:村山 望
目指すのは日本一ユニークな動物園
動物園課相談役の比嘉源和(ひが・げんわ)さん
目指すのは日本一ユニークな動物園
園長の神里興弘(かみさと・おきひろ)さん
目指すのは日本一ユニークな動物園
開園当時の「沖縄こどもの国」(提供写真)
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