「表紙」2020年08月06日[No.1839]号
父のレシピ守り、笑顔で接客
北中城村島袋の「パブラウンジ エメラルド」は特製ジャンボステーキで知られ、外国人や観光客、地元の人など幅広い客層が訪れる。お酒中心だったころの店名の名残「パブラウンジ」はそのままに、今年で41年目を迎える。「クラシックアメリカン」をイメージした店内には心地よいBGMが流れ、落ち着いた雰囲気が漂う。両親から受け継いだ店を切り盛りする二代目オーナーの新田(あらた)保雄さんに話を聞いた。
「パブラウンジ エメラルド」は、オーナーの新田保雄さんの両親が1979年に創業。近隣にあった泡瀬ゴルフ場帰りのアメリカ人に来てほしいと始めた店だ。当初は店名にある通り「パブラウンジ」として、お酒を中心に提供する店だった。
創業の前年に生まれた新田さんは、「小さいころは店内をうろちょろしてよく遊んでいました。当時から、いいお客さんが多くて、かわいがってもらいました。若い方というより、少し上の世代の落ち着いたお客さんが多かったですね」と振り返る。
店を継ぐための勉強
新田さんが店を継いだのは12年前。もともと継ぎたいという気持ちはなく、通訳士になりたいと思い、勉強のため海外へ行くつもりだった。しかし、その矢先に父が倒れ予定をキャンセル。新田さんは3人の姉がいる末っ子だが、長男だったことから、店を継ごうと決意した。
父の代わりに働きながら、今後の役に立つと思い米軍基地内でバーテンダーの仕事も経験した。父が回復し、仕事に戻れるようになると、新田さんは約2年間、アメリカと沖縄を行ったり来たりするようになった。
アメリカではステーキハウスやレストランをあちこち見て回り、店の雰囲気、じゅうたんや壁、天井の色、ソファーの材質などを調べ、自分が求めているものを固めていく作業をした。また、友人を介し、現地の店で雑用をさせてもらいながら学んだ。
その後、新田さんは「パブラウンジ エメラルド」をリニューアルし、店内は「クラシックアメリカン」の落ち着いた雰囲気に。イメージは「映画のワンシーンに出てくるレストラン」。さらに、洋食メニューも少しずつ増やしていった。
同店がステーキを提供するようになったのは、オープンから2年ほどたったころにさかのぼる。「ステーキが食べたい」というアメリカ人の要望に応えたところ、「おいしい」と評判になった。どちらかというと日本人好みのその味は、意外とアメリカ人にもうけ、約40年たった今でも看板メニューとして人気だ。一日、特製のタレに漬け込み、肉自体に味を染みこませて作る父のレシピを忠実に守っている。
「今はおいしくて安いステーキをカジュアルに食べらるようになりました。でも私の中では、ステーキは特別な日やイベントごとに食べる『ごちそう』です。お客さんには、そういった雰囲気も提供していきたいですね」と話す。
従業員を大事にする
二代目になった新田さんは、父から「従業員を大事にしろ」と言われた。以来、従業員が笑顔で接客できるよう、楽しく働ける環境づくりを常に心掛けている。「今でも父には『大丈夫か?』と言われますけどね」と苦笑い。
今後のことを尋ねると「生演奏を聴きながら食事を楽しんでもらったり、ステーキメインのバフェもやってみたいと思ったり…」と模索中。
現在、自らの力を試したいと立ち上げた北谷町宮城海岸沿いにある姉妹店「エメラルド オーシャンサイド」も切り盛りする新田さん。「夢が多くて」と楽しそうに話す姿が印象的だった。
(﨑山裕子)
パブラウンジ エメラルド
北中城村島袋311
☎︎098-932-4263
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エメラルド オーシャンサイド
北谷町宮城2-208 5F
☎︎098-936-8788