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[No.1844]

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「表紙」2020年09月10日[No.1844]号

愛される町のケーキ屋さん
ケーキの店 マルメロ(金武町)

家族で作る田芋スイーツ

 田芋スイーツをはじめ、種類豊富なケーキがショーケースに並ぶ「ケーキの店 マルメロ」。宮城康守さん・蘭子さん夫婦が40年以上営む、地域の人に親しまれている店だ。今では三男も一緒に働き始めて10年余りがたち、日々ユニークなケーキ作りにいそしむ。また、漆喰シーサー職人の次男は、商品の袋や箱に描かれる猫のデザインを手掛けている。当店の田芋スイーツ第一号で一番人気の田芋シューについて話を聞いた。

 宮城蘭子さんは、夫・康守さんと共に姉夫婦から引き継いだ店を「ケーキの店 マルメロ」と改名し、長年おいしいケーキ作りにまい進してきた。店名の由来は「丸く収めろ」からきている。「ケーキがあれば和やかになるでしょう?」と蘭子さんは笑顔で話す。

 シュークリーム、パイ、ロールケーキ、タルト、プリンなど地元金武町特産の田芋をふんだんに使ったスイーツが好評。中でも田芋シューは、クリームたっぷりだが甘すぎず、田芋の食感も味わえると多くの人に人気だ。これまでに、第24回やんばるの産業まつり「推奨品指定認定書」や、第15回商工会特産品フェア「ありん・くりん市」で「奨励賞(県連会長賞)」などを授与された。

商品化を目指して

 田芋シューは、次男の友人にふるまうため作ったのが始まりだ。 当時 、次男は金武観音寺のそばで工房を構えていて、蘭子さんは毎年年末年始になると、そこへケーキを作って持っていくのが習わしになっていた。

 「今年は何を作ろうか」と考えていたところ、以前から金武町役場の職員に、地元産の田芋でケーキを作ってほしいと言われていたこともあり、田芋のシュークリーム作りに挑戦。友人らの意見を参考に、試行錯誤しながら商品化を目指した。

 「最初は裏ごし器と木べらを使って、主人や息子と3人で田芋の裏ごしをしていました。すごく時間がかかったので、速くできるように網目が大きいものを使うと田芋の粒が大きくなるし、細かいとなかなか進まない。いろんなミキサーを買って試しても、すぐ刃がダメになる。大変でしたが、しばらくは手でこしていました」

 今は業務用のミキサーを使いだいぶ楽にはなったが、できる限り手作業にこだわりたいという。

皮むきから手作業で

 地元の農家でゆでてもらった田芋を大量に仕入れ、一つ一つ皮をむくところから作業は始まる。田芋シューは、田芋を粉にしてから、それをあんこにして生クリームと混ぜ合わせるという工程がある。粉にしてあんこを作るのは夫の康守さん、シュー皮を作るのは三男、そして、あんこと生クリームを混ぜシュー皮に入れるのは蘭子さんだ。

 一方、次男は商品の袋や箱に描かれる羽のついた猫のキャラクターデザインを担当。家族ぐるみで店を盛り上げている。

 以前は合格祝いやクリスマス用のケーキを買い求める人が多く、その時季は忙しかったが、それ以外は暇だったという。しかし、田芋シューがコンスタントに売れ始めると、計画的に仕事を進められるようになり、徐々に田芋を使ったスイーツの種類も増え始めた。

 「おかげさまで、あれよあれよという間にお客さんが来てくれるようになって、ありがたいです」と蘭子さん。

 当店では、三男が月ごとにユニークなケーキも焼いている。おまけに、季節限定や気が向いたときにしか作らない商品もあるというから、これからもマルメロに足を運ぶ機会が増えそうだ。  

(﨑山裕子)



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ケーキの店 マルメロ
(左から)田芋チョコシュー、田芋シュー、田芋パイ、田芋プリン(中央)
ケーキの店 マルメロ
金武町産田芋
ケーキの店 マルメロ
田芋ロール 1600円(左)、田芋パイケーキ 2200円(右)
ケーキの店 マルメロ
三男が作った4種のクリーム入りキングシュー2500円(左)、田芋シュー155円〜(右)
※全て税込
ケーキの店 マルメロ
次男作、癒やされる羽のついた猫のキャラクター。宮城家で飼っている猫がモチーフ
ケーキの店 マルメロ
ケーキの店 マルメロ
金武町金武146
☎︎098-968-2298
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