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[No.1875]

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「表紙」2021年04月15日[No.1875]号

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子どもの心に"色"で寄り添う
メンタルカラーコンサルタント 渡名喜早苗さん

今のあなたの心は何色?

"色"を通して子どもたちの個性や内面を読み取り、理解を深める―。メンタルカラーコンサルタントの渡名喜早苗さんは、学校教育の現場で色彩心理学を応用したセラピーを取り入れ、これまでのべ4500件以上の相談を行ってきた。「自分の気持ちを言葉にすることが苦手な子でも、色でなら表せる。色を通して子どもたちの心に寄り添うことができる」と話す。

 「あなたの今日気になる色は何色?」。沖縄市内の各小中学校には、現在、子どもたちに「自分が今どんな気持ちなのか」について理解を促す「色の扉」というパネルが設置されている。

 色の扉は、渡名喜さんが監修し、市内小中学校の養護教諭が作製した。10色の中から、気になる色の扉を開くと、この色を選んだ人は、今、どんな心の状態なのか解説する文章が現れるという仕組みだ。

 赤は積極的だがブレーキがききにくい。緑は気配り屋さんだが周りに合わせすぎてしまう―。色彩心理学では、個人の気持ちや考え方の特性、行動パターンなどを色と関連付けて理解する。色の扉は、その知見が分かりやすく伝わるよう工夫されたツールだ。

 黒は周りと距離を置きたい時、ピンクやライトブルーは頑張りすぎた時に選ぶ色など、時に自分でも気付きにくい心のSOSを自覚するツールともなるという。

言葉にしにくい感情を色に

 応用心理学を学んだ後、那覇地方法務局沖縄支局で人権擁護委員と共に人権啓発に携わっていた渡名喜さん。法務局には子どもたちから「SOSミニレター 」が届く。しかし立場上、直接関わることはできない。そこで、もっと子どもたちに寄り添いたいと、渡名喜さんは沖縄市役所こども相談健康課 家庭児童相談員を経て、同市教育委員会 教育研究所で教育相談員に就任。12年間でのべ4500件以上の相談を行ってきた。

 「沖縄の子どもたちは、自分の気持ちを言葉で表現するのが苦手な傾向にある」。通常の心理相談では、子どもの内面をくみ取りにくいと感じた渡名喜さんは、もともと興味のあった色彩に着目。本格的に色彩心理学を勉強し、色彩心理士、色彩心理カウンセラーなどの資格を得た。

 渡名喜さんが行う「パステルアート」のセラピーでは、「大切な自分」や「大切な人」といったテーマで、好きな色を使ってハートを描いてもらう。

 描かれたハートの大きさ、位置、色などには、子どもたちの状況や内面が如実に反映される。家庭環境や人間関係に困難を抱える子どもに表れる特徴的なパターンもあるという。外からは見えにくい問題が発見されることもあり「ここから相談につながった事例もたくさんある」と話す。

 「色彩心理を活用した家族カウンセリングをした生徒から、『先生と出会えて人生が変わった。先生の言葉と色に励まされ前に進めた。私を幸せにしてくれてありがとう』、またご両親からも『笑顔ある家庭に戻してくれてありがとう』というメッセージをもらいました」

色は人生を豊かにする

 色は子どもたちの内面を引き出すだけなく、自己理解・自己主張のツールとしても活用できる。また、周囲の人の個性を色でイメージすることで、『この人はこの色だから、こんな性格なんだな。だからこんなふうに接すればいいんだな』と、他者の個性の理解・受容、コミュニケーションの改善にもつながるという。

 「色は子どもたちだけではなく、大人にも有効」。実際に渡名喜さんの家庭では、夫と2人の子どもたちが今の気持ちを色にたとえて伝え合っている、と頬を緩める。

 渡名喜さんは、「相談を通して見えてきた独自の色彩のメソッドを伝えたい」と、昨年3月に教育相談員を退き「色彩心理研究所y –sana.(ユウサナ)」を設立。スクールカウンセラー、専門学校の外部講師を務め、学校での特別授業や教職員への講座を開催するほか、県内外での企業研修、子育て講座など幅広い場面で色彩心理学を伝えている。

 「色は人生を豊かにする」と確信をこめて語る渡名喜さん。さて、この記事を読んでいるあなたは何色だろうか。

(日平勝也)



色彩心理研究所 y –sana.
☎︎ 090(4461)5381
Facebook @sanae.tonaki

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メンタルカラーコンサルタント    渡名喜早苗さん
沖縄市立島袋小学校内に、子どもたちに色で自分の今の気持ちを知ってほしいとの目的で設置された「色の扉」の前に立つ渡名喜早苗さん。手に持つのは、渡名喜さんが開催したパステルアートの講座参加者が「大切な人」をテーマに描いた作品  写真・ヨシカワサトル
メンタルカラーコンサルタント    渡名喜早苗さん
教職員を対象に渡名喜さんが開催した「人生を豊かにする色彩心理学コミュニケーション講座」の風景。後半では、参加者たちが「大切な人」をテーマに、パステルを使って自由にハートを描いた=3月27日
メンタルカラーコンサルタント    渡名喜早苗さん
パステルアートでできあがる作品は一人一人まったく異なる。描いた人の心理が、ハートの大きさや位置、どの色をどこに置くかなどに反映されるという。大切な人を思いながら作品を描くことで抑えていた気持ちが解放され、涙を流す参加者の姿も見られた
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