「表紙」2021年04月22日[No.1876]号
コロナ禍に負けない芸能の島に
2020年の「かりゆし58」最大のニュースは、休養していたドラマー・中村洋貴さんの約5年ぶりの復帰。4人そろってステージに立つライブツアーが予定されていたが、コロナ禍で中止になってしまった。時間ができメンバーそれぞれ、思い思いに過ごしたという。年が明け今年2月22日には、デビュー15周年の記念日を迎えた4人。心境や抱負を語ってもらった。
昨年一年間は「音楽で生きること、本当の幸せとはなんだろう」と考える機会が多かったという前川さん。
「考えた結果、背負っていたものを下ろして自然体を目指すバンドの理想形になったと思えます」と語る。ライブ活動の場を失いながらも音楽の力を信じ、あるべき人生に近付いてきたのではないかという感覚を持っている。
メンバーが集まると密状態と言われかねない状況の中で学校行事に呼ばれ、一人でギターを弾き歌う機会もあったそうだ。
「中高生が40歳になる僕たちの曲を聞いて喜んでくれるんです。曲の寿命の長さとミュージシャンのしぶとさを感じました」と笑顔を見せる。「アンマー」や「オワリはじまり」などの代表曲を歌うと会場が沸き、老若男女が一緒に歌いはじめる。発表から10年以上過ぎた曲が彼らを知る入り口になり、現在でも共感を呼ぶのだ。
「新曲も聞いてほしいですが、人と人の間に音楽が入って広がっていく。僕らの力というより、愛される曲はみなさんの中で自然に育っていくのかもしれません」と語る。
自分を見つめた模索の一年
「音楽人生の中で一番楽器を弾かなかったのが去年」と言い切る新屋さんは、「個人的な収穫はダイビングと海キャンプとボルダリング」と苦笑い。「どこに音楽を発信したらいいのか分からなくなり、外で過ごした一年でした。今年は音楽を取り戻します」と決意を新たにした。
新屋さんと海に行き、ボルダリングにもチャレンジした中村さん。「海に行って星の下でまきを燃やして火を見ていました(笑)。楽しくてリラックスできましたよ」。手の力のコントロールが難しくなり5年近く休養していた中村さんは、活動再開を目標に前を向いてきた。「まだ治っていませんができる事をやっていく気持ちで復帰しました。時間がかかりましたが、やっと進んでいけます」と笑顔いっぱいだ。
ライブ開催ができない状況で別の楽しみ方を知ったと話すのは宮平さん。「配信ライブが多くなり、全国どこにいても視聴できます。大きな音を体感できなくても、好きなアーティストの配信ライブを見て僕も楽しんでいます」と新しい形式をポジティブに捉える。また神秘的な現象などオカルト話に興味があるという宮平さんは、「ミュージシャン仲間たちと時々オカルト系の配信ライブをやっています。スマホ一台で配信できるので新しい取り組みを考え、音楽活動にも生かしていけると実感しているんですよ」と、積極的な気持ちがあふれているそうだ。
彼らの最新シングル「HeartBeat」は配信のみでリリース。全4曲中2曲はSNSを意識した2分20秒内の長さに収め、サポートメンバーを含む5人で作詞したタイトル曲は自分で手掛けたパートを自ら歌うなど、新たな試みを取り入れ仕上げたそうだ。
アンマーが歌手デビュー⁉
今後の抱負を聞くと前川さんは「母親が歌手デビューしたいと言っていてどうやら本気。曲を作って夢をかなえてあげたらやっとアンマーに親孝行できます」と笑顔。
中村さんは「海に行く時間を減らした方が良いと思います(笑)。沖縄のみなさんに見てもらえるステージに早く立ちたいです」
「コロナ禍で大変な状況が続きますが、沖縄で気持ちを一つにして頑張っていきましょう!」と新屋さん。
宮平さんは「不思議な体験などあったらぜひ教えてほしいので、僕のSNSにメッセージをいただけたらうれしいです(笑)」とのこと。
最後に前川さんにレキオ読者にメッセージをお願いすると「芸能の島といわれる沖縄で、芸能に身を置く人がピンチを迎えています。芸能は負けないと証明するためにも、みなさんが寄り添ってくれたらうれしいです。よろしくお願いします!」と答えてくれた。
4人で15周年を迎えたことがバンドの軌跡のシンボルとして大きな喜びになっている「かりゆし58」。彼ららしい音楽とメッセージで、いつまでも感動させてくれるだろう。
(饒波貴子)
ワンマンツアー「ハイサイロード2021
-バンドワゴン-」沖縄公演決定!
6月19日(土)17時開場/18時開演
会場:ミュージックタウン音市場(沖縄市)
料金:全席指定 5800円
問い合わせ:PMエージェンシー ☎︎098-898-1331
●公式サイト
https://kariyushi58.com
●「HeartBeat」配信中!
詳細は「15周年特設サイト」へ
https://ldandk.com/kariyushi58/15th/