「表紙」2021年04月29日[No.1877]号
応援したくなるロックスター
顔に描かれた稲妻がトレードマーク。金髪にサングラス、背中には電飾看板を背負って街を練り歩くミュージシャン、ナオキ屋さん。読谷村出身、48歳のロックスターが地道かつユニークな活動で認知度を高めている。5月9日(日)には「新報アートルネッサンス」の一環として、琉球新報ホールでのライブが決定。本番に向け、バンド練習と宣伝活動にいそしむ彼の等身大の魅力をお伝えする。
時は1990年代後半から2000年代初頭。モンゴル800やオレンジレンジなど県出身のバンドが全国的にブレイクする影でナオキ屋さんのキャリアは始まった。このとき30歳前後。バンドマンのスタートとしてはかなり遅い。当時は対人関係にも苦手意識があったので、自宅でパソコンを使い各楽器を打ち込む「自宅録音」を駆使し音楽制作をしていたそうだ。
地道な作業を重ね、ファーストアルバムが完成したのは2013年。本人いわく「粗だらけでいろんな人に怒られた(笑)」そうだが、自身の尊敬するビースティーボーイズやジャミロクワイ、山下達郎らの音楽、なんと落語まで詰め込んだアルバムにはしっかりと愛が込められていた。
大人のクラブ活動
楽曲もさることながら、ライブの宣伝も独自性が高いナオキ屋さん。
今回のライブのために、1月頃から「電飾看板おじさん」としてアピールを行っている。これは、持ち運び可能に改造した電飾看板を背負い、ライブ情報を表示しながら夕方の県内各地を練り歩くという活動だ。2年前、ミュージックタウン音市場でのライブに際し彼が編み出したもので、「足を使う」という言葉を地で行く宣伝方法である。
この活動にはほとんど毎日、彼がラジオ沖縄で持つ番組「ROcK魂手箱(ロックたまてばこ)」の常連リスナーたちが参加し、共に街中を歩いている。参加者の多くはナオキ屋さんと同世代。体力の要る活動だが友人と集うような感覚で思い思いに楽しんでいるようだ。
ナオキ屋さんも「おしゃべりもできるし、大体1時間以上は歩くから運動にもなる。大人のクラブ活動として皆んな自由に過ごしてますね」と話す。
バンドは実力者ぞろい
2018年発売のサードアルバムをきっかけに、生の楽器の演奏で制作、ライブができるよう「ナオキ屋バンド」も結成された。各楽器を担当するのは県内の音楽シーンの実力者たち。ベースのナリGラブさんが「みんなナオキ屋さんが好きで集まったメンバーです」と語る通りバンドの雰囲気は楽しげだ。
他のメンバーは「ナオキ屋さんは人を引きつける力がある」(石嶺デンヒロさん、ギター)、「ここまで真剣にバカなことをやるバンドはないので、そこを見てほしい」(サキマジュンさん、キーボード)、「元気よく行こう! ナオキ屋さんを見てください」(オノウェイさん、ドラムス)とライブでの意気込みと見どころを語ってくれた。
手作り感満載で荒削り、だけどなぜだか応援したくなる。これまでにいなかったタイプのロックスターを琉球新報ホールで目撃してほしい。
(津波 典泰)
ナオキ屋バンド ライブ&配信@琉球新報ホール
日時:5月9日(日)開場:17時、開演18時
会場:琉球新報ホール3F(那覇市泉崎1-10-3)
チケット:一般前売り2000円(当日2500円)、
高校生以下前売り1000円(当日1500円)、
小学生以下無料、身体障害者手帳をお持ちの方は前売り当日共に1000円
チケット販売場所:ナオキ屋オンラインショップ
(https://naokiya.thebase.in/)、または ☎︎ 090-9784-0585(島袋)
※感染防止のためマスク着用をお願いします。また、発熱(37.5度以上) や風邪などの症状がある場合はご来場をお控えください