「表紙」2021年12月02日[No.1908]号
表現する楽しさを実感
那覇市おもろまちを拠点に活動する「那覇シティ・ミューゼ少年少女合唱団」はミュージカルも上演する合唱団。国立音楽大学声楽科出身の西山恵子さんが、帰沖後1999年に西山音楽事務所を設立。聖歌隊や音楽家を派遣し沖縄でのリゾートウエディングの草創期から携わっていたが、長年の夢だった児童合唱団を設立した。以来、子どもたちのきれいな歌声を響かせてきた。
児童合唱団「那覇シティ・ミューゼ少年少女合唱団」は、2012年に誕生した。「ミュージカルができる児童合唱団をつくるのが長年の夢だった」という団長の西山恵子さんが温めていた続けていた構想を実現した。メンバーは小・中・高校生を中心に34人が在籍。毎年夏のミュージカル公演やイベント出演、県内のコマーシャルソングを歌うなど、多彩な活動を展開している。
ミュージカルは今年7月に上演した「ピーターパン」のほか、これまでに「サウンド・オブ・ミュージック」「シンデレラ」「メリー・ポピンズ」などに挑んできた。西山さんがブロードウェイミュージカルの脚本を子ども用にアレンジ。本格的な小道具や衣装でも観客を魅了する。
情操教育の場にも
ミュージカルの練習期間は年明けから約半年間にわたる。合唱・歌唱の練習のほか、楽譜の読み方や絶対音感を身に付ける「ソルフェージュ」、専門の講師も招いての演技・ダンス指導など、多角的なレッスンで子どもたちの感性を磨いている。西山さんはコロナ禍に襲われる前は、毎月1回は東京に行きミュージカルを鑑賞。時には生徒を連れて日帰りで行くなど、レベルの向上にも余念がない。
ミュージカルは情操教育としても一役買っているという西山さん。「台本に書かれている表面的なことではなく、キャラクターの年齢や性格、状況を考えながら、自分たちでどう表現するかを考えるようになった」と子どもたちの成長を実感している。人前で表現することの楽しさを知り、さまざまなことにチャレンジする生徒も増えたそうだ。「積極的に学校でのスピーチコンテストなどに出て、沖縄代表として選ばれたりした子も何人もいる」と感慨深げに語った。
県外合唱団とも交流を
小学3年、宮里海和(かいと)さん(8)は「(レッスンは)楽しい。歌が上手になったし、やっていてよかった。みんなやさしいし、友達もできてうれしい」と笑顔を見せる。
今年のミュージカル「ピーターパン」で主役を演じた中学2年、矢島苺空(はぐ)さん(14)は、「演じることや自分で表現すること、演技もダンスも楽しいと思わせてくれた教室。いろいろな先生が自分の得意分野を教えてくれる中で成長でき、ミュージカルではどんどんアドリブを入れることができた」とのびのびと活動している様子がうかがえる。
西山さんは「今後は県外や海外の他の合唱団との交換演奏会や交流会がしたい。自分が児童合唱団に入って一番楽しかったことは、県外や台湾の合唱団と交流ができたこと。そういった経験は、子どもたちの心に絶対残るはず」と意欲的だ。貴重な経験を積み続ける合唱団の一層の活躍が楽しみだ。
(坂本永通子)
那覇シティ・ミューゼ 少年少女合唱団
那覇市おもろまち4-10-36
☎098-941-7002
http://nishiyama-music.sakura.ne.jp/muse-chorus.html
出演情報
◆クリスマスコンサート
12月24日(金)①17:00〜 ②18:00〜
Tギャラリア沖縄 by DFS
2階レセプションホール 入場無料