沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1907]

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「表紙」2021年11月25日[No.1907]号

今帰仁城跡麓の湧き水でクレソン栽培
ベンビー農場長と仲間たち

循環農法を取り入れ自然と対話

 自然に寄り添う持続可能な社会づくりを目的に掲げた「おきなわSDGsパートナー」の登録企業、株式会社クガニが運営する「KUGANI VILLAGE(クガニヴィレッジ)」。1万5千坪というやんばるの広い敷地で、一般廃棄物処理他多くの業務を行っている。今年は水産業と農業を掛け合わせた新規事業に参入し、農場「KUGANI FARM(クガニファーム)」の管理をスタート。農場長に就任したお笑い芸人のベンビーさんを中心に、思いを語ってもらった。

 芸歴20年を超えたベンビーさんは、お笑い芸人として名実ともに活躍を続け、ラジオパーソナリティーとしても帯番組を担当するなど幅広く活動中。今年元日には農場長という肩書きも加わった。

 「自然のチカラで自然を取り戻す、というクガニの企業理念に賛同し、循環型農業の『アクアポニックス農法』に興味を持ち農場長を引き受けました。上間宏明社長とは15年程前に映画の撮影で知り合った以降交流があり、信頼している方なんですよ」

 農場長という言葉の響きにワクワクし、面白そうな環境にピンと来たベンビーさんは引き受けようと即決した。

 実際に何をやっているのか聞くと、「説明できなくて答えに困るんですよ〜」と苦笑い。スタッフの給与管理に始まり、配達や広報活動が主な業務のようだ。

 「週に2〜3回は来ています。 農業に興味があった訳ではないのが本音ですが、環境問題やSDGsには時代の流れでいずれ関わるだろうと思っていました。農場で収穫しているクレソンは、農薬を使わずに自生株から増やしました」とのこと。 名護市内の朝市やファーマーズマーケット、浦添市のブエノチキンに出荷し、新鮮でおいしいと好評だ。

 「マンゴー・パパイヤ・オクラなども植えて、様子見している最中なんですよ」とのことで、今後出荷できる作物が増えていきそうだ。

楽しみながら農作業

 熱心に作業する岸本直樹さんは、ベンビーさんの後輩芸人。

 「クレソンの成長過程が不思議でしたが答えを発見し、日々勉強になると実感しました。来年はマンゴーなど新たな作物を収穫したいです」と話す。見守るベンビーさんは「バイトしても長続きせず紹介者の顔に泥を塗り、パーントゥと呼ばれた岸本が成長したな〜」とほほ笑む。

 長野県出身、ヒッチハイクがきっかけで農場と出合ったのが、ストリートミュージシャンのみちはるさん。

 「実家が農家で手伝っていたので、農業に携わるつもりはありませんでした。でも巡り合わせなんでしょうね」と不思議な縁を感じるそうだ。沖縄に来て約一年のみちはるさんは毎日が楽しく、「自作曲とカバー曲をYouTubeチャンネル『みちうた』で発表しています。農場のテーマソングも作りたいですし、引き続き頑張ります」と抱負を語る。

 「彼が一緒にやってくれるかどうかが、農場長を引き受ける判断材料の一つでした」とベンビーさんが信頼を寄せる後輩芸人のでこりん♪さん。八百屋勤務の経験があり、真面目な性格とのこと。

 「娘が成人したなど、良いタイミングでした。SDGsを意識する仕事に幸せを感じ、良い環境での暮らしでストレス解消。ネタ作りにも良い影響があります」

 関わるメンバーそれぞれが絆とやりがいを感じている。

目指すのは宇宙のベンビー

 「タイミングがぴたりとはまるのが人生」と普段から語るベンビーさん。芸人としてのスタンスや活動を変化させるつもりはないという。

 「コロナ禍でお笑いの仕事が減ったので今帰仁に通い、ダラダラする時間がなくなりました。移動の車中では英語の勉強をしたり、考えごともして自分を整理する時間に充てています。農場で自然に触れつつ歌手活動を始めたり、やりたい事はどんどんやっていきます」と良い刺激を与えてもらっている実感を持つ。

 「世界のベンビーを目指し、宇宙のベンビーになる目標へと前進しています。農場に来なくてもスムーズに回る仕組みを作りたいですし、植樹したサクラやイッペーが咲き誇ったら花見をするなど、ここでしかできない取り組みに挑戦します」とたくさんの構想がある農場長。ベンビーさんならではの発想や手腕で、農場運営の可能性がどんどん広がっていくだろう。

(饒波貴子)



ベンビー農場長と仲間たち


<インフォメーション>>
ベンビー歌手デビュー!
生い立ちから現在を歌ったCD「笑いじわ」、ジュンク堂書店 那覇店と公式ショップで販売中。

※最新情報は「オリジン公式サイト」をご確認ください。
https://origin-oze.com/

KUGANI FARM
フリーマーケット

12月5日(日)朝10時より開催!
住所:今帰仁村字今泊4321
問い合わせ:☎︎0980-51-5380



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ベンビー農場長と仲間たち
豊かな自然を活用し、生態系を循環させる「アクアポニックス農法」で農薬不使用のクレソンを栽培している観光農園「KUGANI FARM(クガニファーム)」。その取り組みや携わる心境などを生産メンバーに聞いた。右からでこりん♪さん、ベンビー農場長、岸本直樹さん、みちはるさん=今帰仁村KUGANI FARM 写真・村山 望
ベンビー農場長と仲間たち
ペットとして5匹のヤギを飼育
ベンビー農場長と仲間たち
収穫当日に出荷される、農薬を使わない新鮮なクレソン
ベンビー農場長と仲間たち
KUGANI FARMのベンビー農場長
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