「表紙」2022年07月14日[No.1940]号
10年ぶりの新作で沖縄民謡、新曲を披露
伊是名島出身。子どものころは太鼓チームの一員として演奏し、中学時代にギターを始めるなど、物心ついた時から音楽と歩んできた伊禮俊一さん。高校で三線を学び、県立芸術大学に進学して琉球古典音楽を専攻。卒業後にシンガー・ソングライターとしての活動をスタートさせた。2007年に県内のレコード会社からデビューした後に、10年には東京の事務所に所属してメジャーデビューを果たし、活躍の場を広げてきた伊禮さんの軌跡を追った。
「音楽で沖縄を感じてもらいたい」という思いで最新アルバム「南国ビート」を制作した、という伊禮さん。新作発表は2012年以来だという。
「南国テイストを楽しんでいただけるアルバムです。沖縄に行きたくても来られない方にも聞 いていただきたいです」と語る。
5年程前からライブで歌っていたというタイトル曲「南国ビート」は、ウキウキするリズミカルな曲。
「ストレスが多い世の中なので、この曲を聞いてリラックスしてください。沖縄が住みやすい土地の代表県になればいいなと思っていますので、楽しい島だと伝えるイメージで作った曲でもあります」
空の向こうへと思いを届ける「プレシャス デイズ」は「亡くなった祖父への気持ちをつづった曲です。近くにいていつも応援してくれている感覚があるんですよ」と伊禮さん。「歌詞を書き始めて誰のために歌うのかなと考えたら、祖父の姿が浮かんだんです」と教えてくれた。
沖縄民謡をCDに収録したことが過去になかったため、今回は「安里屋ユンタ」と「月の美しゃ」を録音。自身の代表曲といえる「先生」含め3曲の再録音も行った。
「DJ SASAさんにアレンジをお願いしたので、ラテン風やレゲエ調に仕上がっています。少し大人になった自分で過去曲を歌いたいと思いました」
「ハナミズキ」は三線の音色に合う曲調で、沖縄民謡の節回しのような歌い方にし、南国テイストで仕上げたいと思ったそう。自作曲以外の歌唱や演奏への挑戦で、表現力を広げたアルバムだといえるだろう。
つながりに感謝
ギターを始めた中学生のころから、伊禮さんはポップス系の歌手になりたい思いがあった。
「三線も始めたので賞を受賞して免許も取得したい。大学で本格的に学び、卒業した後に 自分のやりたい活動をスタートさせよう」と決め、計画通りに進めたそうだ。卒業後ライブ活動を続ける中で出会った音楽プロデューサーのイクマあきらさんに認められ、2007年に県内でCDデビューした。次はメジャーデビューを目標に掲げたが、アプローチ方法が分からず、声の不調に悩むなどつらい時期が続いたという。
「声が出ない中で北谷でライブをしたら、家族旅行で来た東京の音楽関係者の方がたまたま見てくださって、印象に残った曲があったそうです。後日偶然のようにBGMで耳にして、いい曲だと思い僕を探し当てて会いに来てくれたんです」
ちなみにその歌は故郷・伊是名の夏の思い出を歌ったデビュー曲「夏鮮想歌」。この曲が結んだドラマチックな縁でメジャーデビューが現実に。以降、東京を中心にした県外での活動が増えていったそうだ。
魅力を高めてライブ開催
沖縄が拠点で他県に行く機会も多い伊禮さんだが「南国ビート」は10年ぶりに発表した新作。その間はライブや俳優活動、ラジオ出演、CMソング制作、DJ SASAさんとのBGMプロジェクト他さまざまな事をこなしていたとのこと。
「この10年、今までとは違う時間の使い方をしてきました。ゆっくり自分に向き合い、どんな在り方が人間にとって良い生き方なのかと考えることで伝えたいメッセージが変わりました」とほほ笑む伊禮さん。7月16日開催のライブについて、「新作リリースライブは10年ぶりです。夏にピッタリな曲から沖縄民謡まで、いろんな曲を演奏して歌います。ライブ開催が難しい現状もあり貴重な機会ともいえますので、ぜひ足をお運びください」とアピール。
爽やかな楽曲を伸びやかな歌声で披露する伊禮さんのライブ。鑑賞すると元気な夏が過 ごせそうだ。
(饒波 貴子)
伊禮俊一最新アルバム『南国ビート』
県内主要CDショップ、通販サイトで発売中
<伊禮俊一ショップ>
https://shunichi.base.shop
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●伊禮俊一「南国ビート」リリースライブ
日時:7月16日(土)19時開演
場所:桜坂セントラル(那覇市牧志 ☎098-861-8505)
料金:前売り3500円/当日 4000円(ドリンク代別)
問い合わせ:ピーエムエージェンシー
電話:098-898-1331/月~木11時~14時
https://www.pmnet.co.jp