「表紙」2022年07月07日[No.1939]号
眼鏡 × コーヒーで、もっと地域貢献
創業36年を迎える名護の眼鏡店「そうわメガネ」。地域の人々に親しまれる店は今年、店内に「SOWA MEGANE COFFEE(そうわメガネコーヒー)」を新たに併設。眼鏡店とカフェというユニークな営業形態でリニューアルオープンした。ハンドドリップの一杯が、眼鏡の購入や修理の時間を豊かなものにしてくれる。新しいサービスを考案した店の総務・広報担当、上地貴文さんに話を聞いた。
歴史ある名護十字路のアーケード街で店を構えるそうわメガネ。創業者、上地元さんが店を開いたのは1986年。個人店としてスタートし、現在は「メガネ21」グループの加盟店として眼鏡作りを続けている。
店の経営は元さんの長男・理文(まさふみ)さんと次男・貴文さんに世代交代した。理文さんは検眼や眼鏡の加工など技術分野を、貴文さんは総務・広報を主に担当している。
地域への感謝忘れず
今年1月のリニューアルオープンで、外観もカフェのようになった店舗。店内にもコーヒーの心地よい香りが漂う。おしゃれな雰囲気だが、昔から店を知る高齢者は「ここはそうわメガネだよね?」と心配そうに来店するそうだ。
そんなお客さんには、貴文さんがこう声をかける。「今は創業者の息子兄弟でやっていますよ。店がこれまで発展してこれたのは地域の皆さんのおかげなので、もっとよろこんでもらえるようにコーヒーも出し始めました。だからこれからもよろしくお願いしますね」
地域の人々との関係があったからこそ店を続けることができた。貴文さんは、まずその感謝を伝えることを欠かさない。
店がコーヒーを提供するきっかけは「従業員が全員コーヒー好き」という理由もさることながら、同じ地域にあるカフェの存在も大きいそうだ。
名護市営市場近くの「innocof fee shop (イノーコーヒーショップ)」をよく利用していたという貴文さん。一杯一杯を丁寧に入れる店主の姿に、「僕たちの眼鏡作りと一緒だ」と感銘を受けたという。
眼鏡選びを特別な時間に
眼鏡店でコーヒーを提供するメリットは少なくない。お客さんはリラックスしてフレームを選ぶことができ、加工や検眼の待ち時間もカフェにいるような気分で過ごせる。眼鏡を仕立てる時間を特別なものに演出できるのだ。ここにしかないサービスで「そうわメガネで買ったよ」と周りに自慢できるような店になることを目指している。
眼鏡作りの精度を高めることにも余念がない貴文さん。近年は、加工の待ち時間にスマホを操作するお客さんの様子にも気を配っている。スマホを持つ手と顔の距離は人それぞれ。貴文さんはお客さんが無意識にとる距離を遠目に確認し、より快適な度数をレンズに反映している。購入後のアフターケアに無料で対応していることも強みだ。
コーヒーを入れるのは、貴文さんの妻・亜由美さん。大手コーヒーチェーン店で勤務経験があり、コーヒー豆の種類、味わいについての知識も豊富だ。暑い時期にぴったりなアイスコーヒーは、本部町の「自家焙煎珈琲みちくさ」で焙煎された豆を使用。子ども連れのお客さんにも気を使い、ココアや抹茶ラテなどもラインアップしている。
店舗はコーヒーのテイクアウトだけでの利用も歓迎。貴文さんは「近隣のカフェや喫茶店にも歩いてアクセスできるので『カフェめぐり』も楽しめますよ」と提案する。新たな営業形態を名護市街地活性化の一助にしたい、そんな展望も明かしてくれた。
(津波 典泰)
そうわメガネ/SOWA MEGANE COFFEE
名護市大中1-3-5
☎ 0980-54-3170